世界には数えきれないくらいのリキュールが存在していますが、そのなかでも日本において比較的親しみの深いリキュールがシャルトリューズです。
このリキュールは洋酒が豊富な酒屋や飲食店であればほぼ確実に取り扱いのあるお酒で、フランス国内においても非常に知名度のあるお酒です。
一度その味わいの魅力に気づくと家で飲みたくてついつい買い揃えてしまう魔力を秘めています・・・。
本記事ではそんな魅惑のリキュールの魅力と特徴を解説。
長寿の秘薬ともいわれるその秘密を明らかにしていきましょう。
フランスが誇る銘酒シャルトリューズ
リキュールはヨーロッパに昔から根付いているお酒で国ごとに多様な種類が作られており、日本に輸入されているものはそのごく一部、じっさいによく見かけるものはさらにそのごく僅かという、まだまだ未知のお酒が存在するジャンルです。
特にシャルトリューズは日本においてももっとも有名なリキュールのひとつとして数えられており、洋酒やリキュールに興味を持っている人であれば名前くらいは聞いたことのあるお酒でしょう。
このリキュールはブドウの蒸留酒に無数の薬草を加えて作られる薬草リキュールのひとつで、フランス版養命酒のような位置付けだと思ってもらって構いません。
カルトジオ会のシャルトリューズ修道院に伝わる秘伝の薬草酒で、そのレシピを知るものはごく限られた修道士のみだとされています。
もともとは薬用として利用されていたと考えられ、集めた薬草のエキスを効率よく得るためにアルコールに浸透させていたことが考えられます。
時代を経て嗜好性を高めたものがシャルトリューズとして世界中に広がっているわけですが、こうした薬用から嗜好品としての転換は多くの薬草リキュールで起こったことでもあります。
100種以上の薬草をブレンドして浸漬・蒸留して作られており、その複雑なフレーバーに魅了されるファンは少なくありません。
また宗教に結び付いた古くからあるお酒なのでさまざまな逸話や歴史があり、そうしたこともファンを獲得するゆえんとなっているのでしょう。
たとえばシャルトリューズをめぐる逸話で有名なものに「2~3人の修道士しかレシピを知らない」というものがあります。
じっさいは現在シャルトリューズ蒸留所は民間企業に製造を委託して世界中にたくさん製造・販売しているためレシピを知る人はもっといるのではないかと思いますけどね。
こうしたウンチクを考えながら楽しむのもシャルトリューズの魅力のひとつです。
シャルトリューズヴェール(緑)とジョーヌ(黄色)
2種類のシャルトリューズがスタンダード
シャルトリューズブランドにはいくつかの種類がありますが、基本となるのはシャルトリューズヴェールとシャルトリューズジョーヌの2本です。
ヴェールは緑のラベルと液体で1700年代半ばに作られたもので、それ以前のかなり苦味の強かったシャルトリューズを飲みやすくするために甘さを加えてアルコールも下げて作られたものです。
ジョーヌは黄色いラベルと液体でシャルトリューズの誕生から200年ほど経過した1830年代に作られました。
ヴェールよりさらに飲みやすさを求めたもので、蜂蜜などを加えてマイルドに仕上げられています。
嗜好性の高まったシャルトリューズの新しい方向性が示されたものともいえるでしょう。
シャルトリューズはヴェールがアルコール55%、ジョーヌが40%と基本的には高めの酒精を持ったお酒です。
シャルトリューズヴェール(緑)とジョーヌ(黄色)の味
ヴェール
ヴェールはアルコール度数も高く薬草の風味も強いザ・薬草酒といったお酒です。
とはいえ100種以上の薬草が使われているため他に例えようのないシャルトリューズ味に仕上がっており、強いていえば少しミントに通ずるような爽快感、ナツメグのような甘い香りが感じられます。
薬草酒にありがちな苦味はほぼなく、口に含むとシロップのような甘さと薬草のフレーバーがアルコールのボリュームと共にぐわっと口内で広がる感じを楽しめます。
ジョーヌ
ヴェールと比べると蜂蜜をたくさん使っているのが感じられるマイルドでやわらかい味わいです。
甘さも強く、薬草感はそこまで強烈ではないため薬草酒嫌いの方でもジョーヌは飲めるという方も多いようです。
一方で甘すぎてヴェールの方が好きという人も多く、この辺りは好みがわかれるといえるでしょう。
酒精が強く薬草感があるのが好きであればヴェール、甘くてマイルドな方が好きであればジョーヌをチョィスするといいかもしれませんね。
シャルトリューズの飲み方
シャルトリューズはそれを用いたカクテルもたくさんあるのですが、まずはストレートで少量をそのまま舐めるように飲むのがおすすめです。
アルコールがとても強いのではじめは刺激的に感じるかもしれませんが、少しずつ舌で転がすように舐めていると複雑なハーブのフレーバーが感じられるはずです。
もともとフランスではシャルトリューズを食後にディジェスティフ(食後酒)として楽しむ習慣があります。
甘さがデザート代わりに、高いアルコールと薬草のエキスが胃の消化促進にと食後に飲むのに適したリキュールなのです。
ストレートでキツければソーダ割りやトニック割りなどにして楽しむのもおすすめ。
まずはシャルトリューズの風味をそのまま活かした飲み方に挑戦してみてください。
単体で飲むのに抵抗がある方はおつまみと一緒に楽しむのもおすすめ。
おつまみの味わいとシャルトリューズの風味があわさると口のなかでカクテルを作るような楽しさがあります。
ナッツ、ドライフルーツ、チョコレートのような定番の乾きものはもちろん、ケーキや生フルーツなどと合わせても楽しめますよ。
生フルーツならメロン、いちご、洋梨など、ケーキなら少しビターなガトーショコラやパウンドケーキとの食べ合わせを個人的におすすめします。
じつは甘いものとお酒の相性は抜群なので、ぜひ自分なりの組み合わせを見つけてみてはいかがでしょうか?
シャルトリューズの種類
シャルトリューズ ヴェール
基本となるシャルトリューズ2種のうちの一本。
ヴェールはその名の通り緑色の美しい液体とラベルで、シャルトリューズのラインナップのなかでも歴史が古い。
シャルトリューズを語る上で外せないもので、濃厚なハーブの風味とアルコールの高さが特徴です。
シャルトリューズ ジョーヌ
シャルトリューズヴェールを飲みやすくするために作られたとされるジョーヌはヴェールと比べてマイルドで飲みやすく薬草酒初心者向けの一本。
ソーダやトニックで割れば日頃はサワーしか飲まないような人でも楽しめるクセの少ない素晴らしい味わいが魅力的です。
シャルトリューズ VEP
VEPはヴェール、ジョーヌそれぞれにある熟成タイプのシャルトリューズです。
熟成年数は8年で、その期間を木樽で寝かせるというウイスキーやブランデーのような熟成を経ています。
製造量が少ないため市場に出回るのはごく稀で価格もリキュールとは思えないものですが、熟成を経て得られたまろやかで複雑な味わいはもはやリキュールという枠を越えた銘酒。
ぜひストレートで、日本酒、ワイン、ウイスキーといったお酒をこだわって飲んでいる人にぜひ知ってもらいたいリキュールのひとつです。
シャルトリューズ エリキシルヴェジタル
もともとのシャルトリューズは嗜好品として楽しむものではなく、薬用として非常に飲みづらく強烈な味わいだったといわれています。
そんなもともとの味わいに近いシャルトリューズがこのエリキシルヴェジタル。
アルコール度数は69%、味わいもハーブの風味と苦味が全面に出ていてかなり通好みのものです。
こうしたお酒が得意な方であればソーダで割ったりして楽しむところでしょうが、角砂糖にこのエリキシルヴェジタルを垂らして染み込ませ、場合によっては軽く火をつけてアルコールを飛ばしてから砂糖ごと楽しむ飲み方もあります。
本当の意味でのシャルトリューズの味わい、薬草酒の本質を試したい方向けの一本です。
シャルトリューズ 9 センティネア
まだヴェールとジョーヌが厳密に区別されていなかった頃のシャルトリューズをイメージして作られた9センティネア。
9センティネアとはグランドシャルトリューズ修道院の創設900周年を祝うという意味を込めてつけられています。
このボトルは1984年にはじめて発売され、以来不定期に日本にも輸入されています。
その味わいもヴェールとジョーヌの中間くらいで、ヴェールでは強いがジョーヌでは甘いという方におすすめしたいシャルトリューズでもあります。(アルコールも49%と中間くらい)
ボトルは18世紀頃のシャルトリューズに使われていたもののレプリカです。
シャルトリューズ キュヴェ MOF
MOFはフランスの国家勲章で卓越した職人に与えられる名実ともに一流の技術者であることを示すもの。
この称号を得たソムリエがシャルトリューズとタッグを組んで産み出したのがこちらのキュヴェMOF。
ジョーヌをベースに特別に調合されたシャルトリューズはシャルトリューズの基本を守りつつ、従来のジョーヌとは明らかに異なる絶妙なブレンドになっています。
ファン向けの企画ボトルなのでいつ在庫がなくなってもおかしくありません。こういうボトルは気になるなら買えるうちに買っておくのが吉ですね。
シャルトリューズ、フランスを代表するリキュールのまとめ
本記事ではフランスを代表する薬草リキュールであるシャルトリューズについて解説してきました。
このリキュールは本当に奥深いもので、リキュールという言葉で片付けるのにはもったいないじつに魅惑的なお酒です。
こういうタイプのお酒からお酒の世界の奥深さに気づく人も多いと思うので、ぜひ機会を見つけて試してみてくださいね。
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