タンカレーはジンを代表するブランド。緑色でスタイリッシュなデザインは少しお酒が好きな人であれば必ず目にしたことのあるものでしょう。
そんなタンカレーですが、じつは代表的なスタンダードボトルに加え、No10というプレミアムライン・・・そしてそれ以外にも何種類かのアイテムを展開しています。
ここでは気になるタンカレーブランドについて、スタンダードボトルのタンカレーとプレミアムラインのNo10を中心にその違いやラインナップ情報を整理していきます。
ジンを代表するブランド・タンカレーとは?
タンカレーの歴史
1830年、ロンドンのブルームスベリーにひとりの若者が蒸留所を開設しました。その若者の名はチャールズ・タンカレー、当時20歳だったといいます。
若くて熱意に溢れたチャールズ・タンカレーの作り出すジンは「タンカレージン」と呼ばれ評判を呼びました。1868年にチャールズが亡くなった後も息子が製造を引き継ぎ、ブランドは存続していくことになります。
1898年には世界的なジン需要の高まりから、ジンブランドの頂点もいえるゴードン社に買収されタンカレー・ゴードン社としてタンカレー名は世界中に広がっていきます。
伝統あるジンブランドとしてタンカレーはいまなおジンを代表するブランドとして挙げられることが多く、じっさいに日本でも酒屋をはじめとした小売店、バーなどの飲食店、お酒好きな方の自宅でも目にする機会があるのではないでしょうか?
タンカレーの特徴
「ジンのロールス・ロイス」「ジョンFケネディが愛した酒」などかずかずの逸話を持つタンカレー。
そうした名声を抜きにしてタンカレーの魅力と特徴を簡潔に紹介するならば「キレのあるクリアな酒質」「スタイリッシュでおしゃれなボトルデザイン」「ハイクオリティで豊富なラインナップ」にあるといえるでしょう。
タンカレーの製法上の特徴は4回蒸留にあり、他のジンよりも蒸留回数を多くして作られており、手間はかかる分だけお酒の荒々しさは消え非常にクリアで洗練された味が特徴。
緑色のクリアボトルでデザイン性の高いボトルも魅力で、思わず部屋やお店に飾っておきたくなりますよね。
ほかのスタンダードなジンと比べても特にキレがあり飲み心地のいいタンカレーはファンの多いブランドなんですよ。
タンカレーとタンカレーNo10の違い
さて、タンカレーには複数の商品ラインナップがあるのですが、基本となるのはスタンダードボトルのタンカレーとプレミアムラインのタンカレーNo10のふたつでしょう。
ふたつの商品の違いはどこにあるのでしょうか?
基本的な味の作り方はどちらもタンカレーらしい4回蒸留を活かしたキレがありクリアな味わい。しかしNo10は蒸留所で10番目に製造された小型単式蒸留器「タイニーテン」を使っている点に特徴があります。
加えてフレッシュな果実を使用するなど、香りづけに使用されるボタニカルもスタンダード品よりも厳選したものを選んでいる点も忘れてはいけません。
じっさいに飲み比べてみましょう。
まず香りは明らかにNo10のほうが華やかで鮮烈です。ベースは両社ともジン特有のジュニパーベリー香とシトラス系の爽やかな香りですが、No10のほうが立体的でぐっと鮮明に香りが押し寄せてきます。シトラスなどのフルーツ香が強く出ているのはフレッシュ果実を使用している点に由来するのでしょうか?
口に含んでみるとNo10のほうが重厚な口当たりで甘みがしっかりと感じられることがわかります。甘みといっても糖分由来のそれではなく、蒸留過程や使われる原料に由来するもの・・・端的に言えば「丁寧に作られた蒸留酒によく出てくるお酒の厚みとしての甘み」とでもいえましょうか。
総じてタンカレーよりもタンカレーNo10のほうが味に奥行きがあり濃い口。香りの鮮烈さも強く、そのままストレートで飲んでもじゅうぶんに楽しめるクオリティであることがわかります。
タンカレーのジンの種類
ここからはタンカレーとタンカレーNo10以外のタンカレージンをひととおり紹介しておきましょう。限定発売のものも多いので在庫があるうちに興味のある商品はおさえておくよいでしょう。
なお、タンカレーのラインナップはスタンダードのタンカレー以外は1000mlサイズの商品も多く(普通のタンカレーは750ml)、値段も少し高くなっている傾向にありますが、クオリティと容量を考えればむしろお買い得の商品が多い印象です。購入する際はサイズにも注目して買い物するお店を選んでみてください。
タンカレー ラングプール
通常のタンカレーでは使用しないラングプール、ベイリーフ、ジンジャーを使ったタンカレー。特にラングプールという小型のライムのような柑橘の風味がとてもよく出ていて、ソーダやトニック、ロックで楽しむことでそれだけでカクテルのような味わいを楽しめます。
ある意味、基本となるタンカレー、タンカレーNo10以上におすすめしたい商品で、特に家飲みに一本揃えるなら単体でカクテルのような味わいを楽しめるラングプールは使い勝手バツグン。
輸入されるたびにすぐ完売してしまうことも多いので、市場に流通しているうちにぜひ試してみましょう。
タンカレー マラッカジン
1999年に1839年当時のオリジナルレシピを再現した「タンカレーマラッカ・ジン」が発売され、タンカレーファンの間では「美味しい」と絶賛されていました。
その後マラッカジンは終売になってしまうのですが、ファンの根強い人気に応える形で数年前から限定生産で再販売されるようになりました。
マラッカジンの特徴は従来のタンカレーよりもジュニパーベリーをおさえ、シトラス感を強調したスタイルにあります。軽やかでフルーティー、それでいてしっかりとまとまりのあるタンカレーで、通好みの一本といえるでしょうね。
タンカレー ブルームスバリージン
タンカレー創業者の息子であるチャールズ・ウォー・タンカレーがしたためたレシピ帳に記されていたレシピを現代に復活させたジン。当時蒸留所があったブルームズバリーに由来した名がついています。
タンカレーのボタニカルのキモでもあるリコリスをあえて使わず、ジュニパーベリーの香りをより強く強調したボトルで、非常にクラシックなジンの味わいを目指しています。
イメージとしてはどちらかというと兄弟ブランドのゴードンを目指した重厚な方向性で、逆に近年ライト化しつつあるゴードンの代替ボトルとしても面白い商品だと思います。
タンカレー オールドトムジン
オールドトムジンは昔ながらのジンの製法で、ジンに甘み(糖分)を添加して飲みやすく仕上げます。
じつは昔のジンは甘みが加えられているのが普通(もとの酒質が悪すぎてそうでもしないと飲めなかったという説もある)で、全く市場に出回らない時期もありましたが、最近ではその意義が再び見出されて各ブランドからオールドトムジンが発売されています。
タンカレーのオールドトムジンは創始者であるチャールズタンカレーが1835年に考案したレシピを忠実に再現するというコンセプトのもと商品化されており、スムースでかすかな甘みが飲み心地よく、ジンに苦手意識のある方にも試していただきたい商品です。
タンカレー セビリア ジン
タンカレーの創業者であるチャールズ・タンカレーがスペインのオレンジ畑に感銘を受けて作ったレシピをもとに作られたセビリアジン。
その由来通りにビターオレンジやオレンジの花を用いたオレンジの風味を強くきかせた一本。色合いから分かるとおり、他のシリーズと比べると明らかにオレンジの果実感を意識した仕上がりで、特徴が分かりやすいフルーツタイプのジンです。
いっぽうで他のラインナップ比べると流通量も少ないのか、見かけることも少ないので興味のある方は早めにおさえておいた方がいいでしょう。
タンカレーやNo10の飲み方は?
数あるタンカレーのラインナップですが、ベースとなるタンカレーとタンカレーNo10に限った話でいえば基本的な使い方は冷凍庫でキンキンに冷やしてストレートで楽しむか、カクテルの材料にするかの二択でしょう。
ストレートで楽しむ
タンカレーは非常にクリアでキレのあるお酒なので、ストレートで飲んでも嫌味がなくおいしく頂けます。生のフルーツなどをつまみにして飲めば、フルーツカクテルを飲んでいるような気分も味わえそうです。
タンカレーもNo10も、ストレートで飲むならぜひ冷凍庫でキンキンに冷やしてみてください。アルコールの高いタンカレーは冷凍庫で凍ることなく、むしろトロトロとした質感があらわれ、アルコールのツンツンとした感じがとれてまろやかになります。
特にNo10はその品の良い甘みが冷凍していも微かに感じられ、それだけで非常に贅沢な味わいを楽しむことができるんです。オススメですね。
カクテルで楽しむ
ジントニックやマティーニといった代表的なジンのカクテルはタンカレーで作るとキレのある味わいに仕上げることができます。ちょっと贅沢にNo10を使えば適度な重厚感を持った味わい深いカクテルに。
また、ソーダ割りや水割りも立派なカクテル。意外かもしれませんがタンカレーの水割りやソーダ割りはとっても美味しいんです。焼酎好きな方なら絶対にハマること間違いなしなのでぜひ試してみてください。
レモンやグレープフルーツを用意してスライスを沈めるだけでソーダ割りや水割りをよりカクテルっぽく楽しむことも可能ですよ。
まとめ
ジンを代表するブランド・タンカレーのスタンダードラインナップであるタンカレーとタンカレーNo10の違いや飲み方を中心に、タンカレーブランドの特徴やラインナップについてみてきました。
タンカレーはジンに興味を持った人が絶対に通るブランドです。
今はジンのプチブームが来ていて、いろいろなジンが市場に出回っていますが、まずは昔からあるブランドをおさえてジンとはどんなものなのかの基準を明確にしておきたいですね。
ぜひご自宅や飲み会でいろいろなタンカレーを飲み比べてみましょう!