居酒屋、バー、レストランなどアルコールを楽しめるお店でどんなドリンクを注文するか悩んだ経験のある人はすくなくないでしょう。
人によっては頼み方や楽しみ方がよくわからなくてお酒の場を嫌いになることも…。
けれど分からないからこそまだ知らない素晴らしいお酒と出会えるチャンスでもあるんです。
そこで本記事では飲食店でお酒を頼むときの頼み方や飲む順番のセオリーについて、飲食店勤務経験があり自身もさまざまな飲食店に足しげく通う筆者の考えを解説します。
はじめに言っておくと「そんなこと気を遣う必要なく好きに楽しめばいい」という考え方も正解です。
ただ、ちょっとした方程式を知っておくことで楽しみが増やせる可能性があるのも事実。
飲食店の使い方に限らずものごとを深く愉しむには必ず能動的に学ぶ瞬間が必要です。
ぜひ少しだけ勉強してからお酒を飲む場へ赴いてみてはいかがでしょうか?
- お酒も料理と同じくコースのように順番を意識して愉しむべし
- お酒を飲む順番を組み立てて頼み方を考えて実際に頼んでみる
- お酒の頼み方や飲む順番のセオリーは全てのシチュエーションで意識する必要はない
- 居酒屋、バー、レストランにおける注文の仕方Q&A
- 居酒屋、バー、レストランにおけるお酒の頼み方や飲む順番のセオリーのまとめ
お酒も料理と同じくコースのように順番を意識して愉しむべし
軽いお酒から重いお酒へと順番に飲み進める
お酒を頼む順番の基本は料理のコース料理のように軽いものから重いものへと飲み進めていくことです。
コース料理は多少の差異はあるものの基本は前菜のような軽いものからメインディッシュのような重いもの、そしてデザートのような甘いものと提供の順番に起承転結があります。
レストランの場合は料理に合わせてドリンクを注文したり、お任せでペアリングしてもらえばおのずと正しい順番になっていきますが、居酒屋やバーのようにはじめから好きに注文できるタイプのお店であってもこの頼み方は変わりません。
飲む順番を意識している人は「この人飲み方わかってるな」と店員さんにも感じてもらえると思いますよ!
お酒の軽い重いとは?
飽食の時代と呼ばれる時代において私たちは生まれたときからさまざまな食べ物を食べて生きています。
そのため多くの方がなんとなく食事の軽い重いというさじ加減を理解しているのではないでしょうか?
居酒屋で注文する時も自然と枝豆や冷奴のような軽いものから注文し、そのあとにもつ煮とかからあげ、最後に〆の雑炊を…という風に自由に頼める状況下でも無意識にコース料理のような順番で注文することも多いはず。
お店側でも気の利くスタッフがいれば適切な順番を考えて提供してくれます。
しかしお酒の注文はそうはいきません。
自分で意識的にお酒を飲む順番を考えないと、一緒に食べる料理の味やそのあとに飲む別のお酒の味まで壊したりしかねないのです。
もちろん本人がよければそれでよいのですが、より美味しく楽しむためにも飲む順番を意識するのは無駄なことではありません。
接待のようなビジネスシーン、勝負デートのときなどでもスマートな順番で注文できればデキる奴と思われる可能性が強くなります。
では具体的にお酒の軽い、重いとはどのようなものになるのでしょうか。
酒の軽い重いはこの4つの基準からおおよそ導き出すことが出来ます。
炭酸があるかないか
最もシンプルな基準は炭酸の有無です。
ビール、シャンパン、ハイボールが代表例でしょうか。
カクテルならカンパリソーダやジントニックはアペリティフ(食前酒)として扱われるように、炭酸のある酒は総じてのど越しも爽やかでアルコール度数も低く軽いお酒の傾向にあると言えます。
アルコールが強いか弱いか
アルコールの濃度も指標のひとつです。
いきなり40度あるテキーラをショットで飲むというのは、若気の至りで…というならまだしも純粋に食事やお酒を愉しむ場ではナンセンス。
このアルコールの濃度という基準は、炭酸の有無と関係してくる部分でもあります。
炭酸入りのお酒は基本的にはアルコールは抑えめで割材の量しだいで濃度を調節することもできますね。
強いアルコールは舌を刺激して味覚を鈍感にさせます。その反面で胃を活性化させて消化を促す効果もあるため、濃度の高いお酒は食後に食後主という形で楽しむのが基本です。
まずはビールからスタートするというのはちゃんと理にかなった注文だったわけです。
ただし炭酸飲料はお腹を膨らませる効果もあるため、小食な人は避けたほうがいいかもしれません。
筆者はビールを飲むと食事が食べれなくなるので付き合いで飲むとき以外はあまりチョイスしなかったりしますね。
甘さの程度
お酒の持つ甘さも判断基準のひとつです。
コースでデザートが〆にくるように甘めのお酒も最後の方に持ってくるのが基本となります。
フレンチやイタリアンののコース料理ではメインが終わってデザートにさしかかると甘口のワインやリキュールをあわせることも多いです。
もともとヨーロッパでは食後にリキュールを嗜む文化がありました。
最近ではリキュール=カクテル用のお酒という認識が強くなりましたが、本来はそのまま飲むためのお酒でもあったんですね。
日本では料理の味付けに砂糖やみりんといった甘みを多用しますから最後に甘いお酒を飲む文化や考えが希薄だといわれています。
しかし和食の後はともかく今では日本人でも洋食を食べる機会も多いわけですから、そんな時はお酒の飲み方も西洋的な飲み方にシフトさせて甘いお酒でしめるのもオススメですよ。
バーでも〆にクリームやチョコレートを使うようなデザート系のカクテルやリキュールをデザート代わりに飲むとステキですね。
甘いお酒はふだん飲まないお酒だからこそ特別な食事やお酒の時間のときにこそ頼んでみてほしいお酒です。
味の濃度
同じワインというお酒であっても基本は赤ワインより白ワイン、白ワインよりスパークリングワインを先に飲むのがセオリーです。
料理と合わせる場合は料理の順番に影響されるというのもあるのですが、白ワインより赤ワインのほうが基本的には味が濃い傾向にあるため白→赤ワインという順番で飲み進めるのは理にかなっています。
これはワインに限らず日本酒やウイスキー、もっといえばカクテルにおいてもそれぞれのお酒のなかで軽い、重いものが存在しています。
この辺りの判断はある程度の経験値やセンスも要求される部分です。
分からなければ素直に店員さんに投げてしまいましょう。きっとそのシチュエーションにあったものをチョイスしてくれるはずです。
お酒を飲む順番を組み立てて頼み方を考えて実際に頼んでみる
では具体的にお酒を飲む順番を組み立ててみましょう。
例えばイタリアンに行ったとします。
コース料理が出るほどのフォーマルな感じではなく、アラカルトで何品か頼むお店だとしましょう。
本格的に注文を考える前に、とりあえず軽めのドリンクからスタート
レストランや居酒屋でメニューを見ているとこの時に先に飲み物だけ聞きに来るパターンがあって戸惑う方も多いようです。
お酒(ドリンク)を出すことを前提としているタイプのお店は料理より先にドリンクだけ決めてもらいにオーダーを取りに来ることも多いです。
この時は悩まずビールでもスパークリングワインでもさっと頼んでしまいましょう。
ワインやビールが苦手ならカンパリソーダとかミモザ(オレンジとスパークリングワインのカクテル)とかもいいかもしれません。果実酒のソーダ割りとかサングリアのソーダ割りなんかでもオーケーです。
ここで頼むべきお酒はいわゆるアペリティフ(食前酒)と呼ばれるお酒です。軽めのアルコールで胃を刺激し食欲を促進させることを目的としています。
またこの後に続く料理やお酒の味わいを壊さないように爽やかでナチュラルな味わいのお酒がオススメです。
料理に関してはこの時点で頼みたいものが決まっていれば頼んでおいても良いでしょう。
大抵の場合はアミューズ、お通しが出てくるため、まずはそれを肴に乾杯して食事をスタートさせてからゆっくり考えても良いわけです。
ちなみにバーのようにお酒メインのお店でもはじめの注文は炭酸系から始める人が多く、このあたりのセオリーは食事のでるお店とあまり変わりません。
せっかくバーに来たのであればビールを頼むよりはジントニックとか、せめてハイボールのようなお店のこだわりを感じられるものを頼めるとより楽しめるかもしれませんね。
シチュエーショにあわせて少しずつ重いお酒を頼む
レストランならここから料理に合わせて徐々に白ワイン→赤ワイン→食後は甘口ワインや蒸留酒という風に少しずつアルコールの濃度や味の濃さを上げていきます。
もちろんお酒に弱ければ途中を端折っても良いと思います。
筆者はお酒好きですがあまり強くないので、スパークリング飲んだら白ワインは飛ばしてメインで赤ワインだけ飲むというのもよくやります。
バーならジントニックの後はマティーニにしてみるとか、ウイスキーにしてみるとか、少しずつ強くて濃いお酒にシフトしていきます。
バーやワインバーのようにお酒に重点を置いているお店でもレストランでペアリングしてもらうような感じで店員さんにオーダーを丸投げしてしまうのもオススメです。
予算と杯数だけ伝えれば後は店員さんがなんとなくコース仕立てのようにしてお酒を提供してくれるはずです。
自分の思いもよらないお酒が出てきてそれが気に入ると本当に得した気分になれますよ。
ただしある程度の信頼関係がないと完全お任せは難しいかもしれません。
レストランの場合は料理ありきなので選択肢は限られますが、お酒中心のお店では選択肢が多すぎるためある程度の好みは伝えるようにしましょう。
お酒の頼み方や飲む順番のセオリーは全てのシチュエーションで意識する必要はない
お酒の順番を意識する上での注意点です。
お酒の順番にこだわることは楽しみの幅を広げますが、どんなシーンにおいてもこれが正しく通用するとは限りません。
ではどのようなシーンだと意識しすぎない方がいいのでしょうか?
安いチェーン店のような飲み屋
例えば学生のアルバイトさんがホールを回してるような安いチェーン店で「この料理に合うお酒を選んで」といっても無茶ぶりにしかなりません。
そういうお店は基本的に料理とお酒のペアリングに意識を置いていません(もちろんお店にもよりますが)。
変な話、最初から最後までカルーアミルクを飲んでいてもスタッフはなにも思わないのではないでしょうか?
一緒に行く人があまりお酒に興味がない
一緒に飲みに行った人にもよります。
飲食に無頓着な人の前で「この料理にはこれがあう」「甘いお酒は最後にするべき」などと言っていると煙たがられます。
こういう時は押し付けることはせず、自分は自分で勝手に料理に合わせて相手には好きな物を飲ませた方が無難です。
もし相手に少しでもお酒の面白さを知ってもらいたいなら「せっかくだからお任せで作ってもらえば?」とか「こういう飲み方もあるんだよ」くらいの軽いアドバイスをしてあげるのは相手の世界を広げるきっかけになるかもしれません。
お酒の飲み方や飲める量は人によります。
徐々に重くしたくても強いお酒、甘いお酒が飲めない人もいますよね。
強制するのはよくないですし、場の空気を悪くしてしまうことにもつながります。
しかし相手がお酒の嗜み方を心得ている人だとしたら順番を意識した飲み方ができることは非常に好印象になるでしょう。
また飲み方を知らない人の前で自然とここで紹介したような飲み方をしていたら、もしかしたらカッコイイなーと思ってもらえるかもしれません。
こういう嗜みはあくまで自然に、当たり前のように実践していてはじめて体得したと言えるのではないでしょうか?
バーのマスターはなぜネクタイをしているのか? 僕が渋谷でワインバーを続けられた理由
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居酒屋、バー、レストランにおける注文の仕方Q&A
まったくそんなことはありません。
むしろサービスする側からするとヘタに知識だけある人(正直お酒を仕事にしていない人でそんなに詳しい人はほとんどいません)のほうがやっかいです。
純粋にお酒を楽しむ時間を大切にしたくて「詳しくないですけどこんな感じのものが飲みたい」みたいに注文してくれた方がお店側も「この人分かってるな」と思うのでは?
飲食店のなかでもバーはメニューがないことがあります。
最初は戸惑うと思いますがスタッフさんとコミュニケーションしながら自分が本当に欲しているお酒を探すのがバーの醍醐味。バーってエンターテインメントなんですよね。
とはいえ慣れないうちは頼み方をテンプレートのセリフを覚えておくといいですよ。
➡初心者がバーで注文する時に使えるセリフ集【初めてでも通にみせる頼み方】
焼酎やウイスキーのような蒸留酒は飲み方を聞かれることがあります。
ストレート、ロック、水割り、ソーダ割り、お湯割りあたりが基本の選択肢です。
素直に飲みたい飲み方で答えればいいのですが、お店が頼んだお酒のジャンルに力を入れているのならオススメの飲み方を聞いてもいいかもしれません。
➡ウイスキーの美味しい飲み方6種を学ぶ【今日から通を名乗れる嗜み方!】
お店によってテーブルチェックかレジカウンターで支払うか違うので事前にほかのお客さんの動きを見て把握しておくのがいいですね。
➡飲食店のお会計マナーとテーブルチェックとは?いまさら人に聞けないルールを学ぶ
居酒屋、バー、レストランにおけるお酒の頼み方や飲む順番のセオリーのまとめ
お酒をお店で楽しむうえで知っておくといい頼み方のルールをザックリ解説してきました。
あまりこだわりすぎるのも大変ですが、なんとなくこうやって頼むと良いらしい程度に覚えておくのが一番良いと思います。
「お店で飲むとコスパが悪い」なんて言われてしまう悲しい世の中ですが、順番までこだわって色々なお酒を料理やおつまみにあわせたり見たこともないお酒を楽しめるのは外飲みならではの楽しさですよね。
ぜひ素敵な飲み方ができるようになって飲食店とお酒の席をより楽しめるようになってみませんか?
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