大手の商品ラインナップが軒並み整理され、入手困難も続く国産ウイスキー。
造り手・飲み手にとって非常にシビアな環境下にある現状ですが、そんななかで通なウイスキーラバーの間で国産ウイスキー最後の砦といわれていたキリン擁する富士山麓ブランドの「富士山麓 樽熟原酒50°」が終売になるというニュースが入ってきました。
今回は終売を控える富士山麓 樽熟原酒50°、ひいては富士山麓ブランドについての情報を改めて整理しつつ、今現在から今後の国産ウイスキーをとりまく状況についても改めて考えていきたいと思います。
2020年5月に満を持して実質「富士山麓樽熟原酒50°」の後継ボトルとなる「陸」の発売が決定しました。
このボトルは富士山麓の特徴であったアルコール50°のこだわりを引き継ぎ、容量や内容を調整したボトルで確実に富士山麓の存在を意識したものとなっています。
- 国産ウイスキー終売の流れにキリン・富士山麓が続く
- 終売になる富士山麓は評価の高い隠れた銘酒
- 富士山麓 樽熟原酒50°がやばいことになる?
- 終売になる富士山麓 樽熟原酒50°おすすめの飲み方はソーダ割り
- まとめ|高評価ウイスキー・富士山麓が終売へ!価格の高騰が予想
国産ウイスキー終売の流れにキリン・富士山麓が続く
国産ウイスキーの終売・生産調整が相次ぐ
当ブログ内でも継続的に取り上げ、注目し続けている昨今の国産ウイスキーの現状。
今年(2018年)の9月には白州12年、響17年というここ10年の国産ウイスキーシーンを牽引してきたボトルが終売になるということで大激震が走ったばかりでした。
とりあげるたびに書いてきたことですが、国産ウイスキーはここ10年ちょっとのスパンを経て海外・国内でさまざまな形で取り上げられ、いまや「世界を代表するいま最もアツイお酒」として認知されつつあるジャンルです。
一方でウイスキーは飲み頃になるまで気が遠くなる時間を要するお酒で、短くても4~5年、長ければ10年、20年というスパンで仕込みを行う必要があります。
日本のウイスキーの需要はここ10年で急激に高まってきたため、生産が追い付かず、需要過多に陥ってるというのが現状。そのため10年以上の長期熟成原酒の製品化が抑えられる、商品の高騰が進むという事態に発展してきました。
※2019年1月13日追記
立て続けに3月にサントリーの白角、ニッカカフェシリーズ、ザニッカ12年も販売終了との情報が入ってきました。詳しくは下記記事もご覧ください。
「サントリー白角が休売に…他数種が整理へ|角瓶との違いもおさらい」
「ザ・ニッカ テーラード新発売!ニッカカフェグレーン・カフェモルト・ザニッカ12年は終売へ…」
※2020年1月12日追記
ついに竹鶴シリーズもラインナップ整理へ・・・エイジングシリーズは20年3月末に終売に。
「ニッカウイスキー竹鶴が終売へ|原酒不足によりエイジング製品がなくなる!?」
最後の砦・キリンの富士山麓が終売
知らない人もいるかもしれませんので後ほど詳しく紹介しますが、キリンの富士山麓はウイスキー通のなかでも安心して日頃から楽しめる最後の砦として重宝されていました。
すこしウイスキー、お酒そのものに精通している人であればこの商品のコストパフォーマンスが際立って高いことに気づいていた人も多いことでしょう。
そうした反面で「いつ終売や出荷制限がかかってもおかしくないのではないか」というふうに考えていたのは筆者だけではないはずです。
そうして今回、富士山麓ブランドのなかで特に人気の高かった「富士山麓 樽熟原酒50度」を2019年春を目処にして終売する方針をキリンが発表。
ファンの間でも衝撃を受けるとともに、どこかで「ついにその時がきたか・・・」という雰囲気も漂った状況になっています。
終売になる富士山麓は評価の高い隠れた銘酒
今回終売となる「富士山麓 樽熟原酒50°」と、ベースとなる富士山麓ウイスキーとはどのようなものなのでしょうか?
富士山麓はキリンの子会社となるキリンディスティラリーが静岡県にある富士御殿場蒸留所で製造しているウイスキーブランドで、2005年の発売以来「ウイスキー本来の香りと味わいを持つ、本格的なウイスキーを低価格で」というコンセプトのもとで展開されています。
富士山麓はいままで「富士山麓 樽熟原酒50°(旧富士山麓 樽熟50°)」、「富士山麓18年」を2005年から展開。その後2015年に18年が終売し、2017年より「富士山麓 Signature Blend」が販売されており、ラインナップは決して多くないもののコンセプト通りにコストパフォーマンスのよいウイスキーとしてウイスキーの好きの間では密かに愛されていたブランドでした。
「富士山麓 樽熟原酒50°」以外では現在プレステージの「富士山麓 Signature Blend」が展開されている。
特に今回終売が決定した「富士山麓 樽熟原酒50°」は加水を最小限にして高いアルコール度数を残すことでウイスキー本来のうまみを活かした佳酒で、なによりもそうした作りの中で低価格帯を維持し続けたことでファンの多いボトルで。
発売当初1000円を切っていた値付けが1500円程度にまでは価格改定されたものの、軒並みプレミアム化していく国産ウイスキーのなかではある意味ずば抜けて高いコスパを持っており、日常的に愛飲できる数少ない存在でもありました。
しかし高めのアルコール度数へ設定して商品を展開する場合は加水量が減ってしまうために製造できる量も少なくなり、そこに国産ウイスキーをとりまく環境の変化から想定を超える需要が発生したため、商品の安定供給が難しいという結論に至り、「富士山麓 樽熟原酒50°」の製造を中止するという今回のニュースにつながっていきました。
富士山麓 樽熟原酒50°がやばいことになる?
終売情報で価格の高騰が予想?
今回の終売騒動で早くも「富士山麓 樽熟原酒50°」の買い占めに走る人、オークションなどで高額でふっかけた転売を行う人なども現れてきています。
しかしキリン側の発表では商品の具体的な終売は2019年3月頃。それまでは今まで通りの商品流通が続くそうで、買占めなど需要の急増に伴う出荷制限は行われるかもしれませんが、もともとの知名度や価格の問題もあって白州や響のときのような混乱は起こらないのではないかとも思われます。
いずれにせよ平均相場となる1500~2000円を大幅に超えてくるような価格帯で手を出すべき商品ではないことは明白。あくまでコスパが命の商品ですから、価格を上乗せしてまで手に入れるべき商品ではないと筆者は考えています。
終売になる前に一度は飲んでみたい富士山麓 樽熟原酒50°
いっぽうで、家のみにとって心強い味方であった商品だけに寂しさがあるのもまた事実。もしもまだ試したことのないという人は、ぜひ終売してプレミア化してしまう前に一度は楽しみたいお酒であるといえるでしょう。
また「富士山麓 Signature Blend」については継続発売、「富士山麓 樽熟原酒50°」の後継ラインについてもまた発表があるかもしれません。そういう意味では富士山麓そのものが終了するわけではありせんので、今後もその動向に注目していきたい所です。
終売になる富士山麓 樽熟原酒50°おすすめの飲み方はソーダ割り
ロックや水割りも適していると思いますが、富士山麓 樽熟原酒50°の真価を発揮できるのはソーダ割りでしょう。
度数の高さと原酒の濃さからくるコシのあるウイスキーの風味がソーダによって引き伸ばされ、他の国産ウイスキーではなかなか体験できない骨太なハイボールを楽しむ事が可能。
気の利いた居酒屋さんや料理屋さんでもあえて富士山麓をハウスボトルにしているのを見たことがあり、味にこだわりのある方々にもうける仕上がりになること請け合いです。
まとめ|高評価ウイスキー・富士山麓が終売へ!価格の高騰が予想
以上、今回また新たに終売が決定された国産ウイスキーの「富士山麓 樽熟原酒50°」について、そのニュースと商品情報をあらためて整理してまとめて参りました。
今後「富士山麓 樽熟原酒50°」の後継ラインはどうなるのか?「富士山麓 樽熟原酒50°」を愛飲していた人にとって次なるハイコスパアイテムはなにになるのか?
まだまだ落ち着くことを知らないジャパニーズウイスキーブームがウイスキーシーン全体を盛り上げる一方で、ふだん愛飲している人にとっては大変な事も多い時代ですが、引き続きウォッチしていきたいと思います。
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