ニッカウイスキーのラインナップのなかでファンから根強い支持を集めていた「ニッカカフェグレーン」、「カフェモルト」と「ザ・ニッカ12年」が3月をもって終売・休売に入り、在庫限りで販売終了。
4月9日にザ・ニッカ12年の後続品として「ザ・ニッカ テーラード」が販売されます。
ここでは終売・新発売になる商品についてまとめていきます。
- 止まらぬ国産ウイスキーの終売…ニッカカフェグレーン、カフェモルト、ザ・ニッカ12年も終売へ
- 「ニッカカフェグレーン「ニッカカフェモルト」「ザ・ニッカ12年」が終売
- ファンにとっては最後の砦だった「ザ・ニッカ12年」「ニッカカフェグレーン」「ニッカカフェモルト」
- 新発売の「ザ・ニッカ テーラード」とは?
- まとめ|ニッカカフェグレーン・カフェモルト・ザニッカ12年が終売|ザ・ニッカ テーラード発売へ
止まらぬ国産ウイスキーの終売…ニッカカフェグレーン、カフェモルト、ザ・ニッカ12年も終売へ
国産ウイスキーの終売・生産調整が相次ぐ
当ブログ内でも継続的に取り上げ、注目し続けている昨今の国産ウイスキーの現状。
今年(2018年)の9月には白州12年、響17年というここ10年の国産ウイスキーシーンを牽引してきたボトルが終売に、2019年3月にはキリン擁する富士山麓のメイン製品であった「富士山麓 樽熟原酒50°」も終売がいちはやく報道されました。
終売情報が出るたびに繰り返し書いてきたことですが、国産ウイスキーはここ10年ちょっとのスパンを経て海外・国内でさまざまな形で取り上げられ、いまや「世界を代表するいま最もアツイお酒」として認知されつつあります。
日本ウイスキーの需要は最近になって急激に高まってきたため生産が追い付かず、安定供給や今後の製品展開に向けてラインナップが整理され続けているのが現状です。
ニッカウイスキーも度重なるラインナップ整理を実行
サントリーに次いで国産ウイスキー市場を牽引してきたニッカウイスキー。
万人受けを狙うサントリー製品に対してマニアック層に受けが良かったニッカのウイスキーですが、国産ウイスキーへの注目に2014~15年に放映された連続テレビ小説「マッサン」の影響がかさなり知名度はうなぎのぼり。
急激な原酒不足に悩まされ、ある意味一番リリースが安定しないブランドとなってしまいつつあります。
2015年にはコア層向けの「宮城狭」「余市」のビンテージ表記の製品が終売し、ファンの中にはショックを受けた人も少なくないことでしょう。
「ニッカカフェグレーン「ニッカカフェモルト」「ザ・ニッカ12年」が終売
そんななかずいぶん前から業界で噂されていたのが「ニッカカフェグレーン」「ニッカカフェモルト」「ザ・ニッカ12年」の終売情報です。
最近では買い占めや転売への悪影響が懸念されるせいか、終売情報のプレスリリースには各メーカーかなり気を遣っているように思います。
今回の終売に関してはながらく確定的な情報が流れてきませんでしたが、2019年4月現在、ニッカの公式ホームページの「カフェモルト」「カフェグレーン」のページの左隅にさりげなく「商品は現在休売中です」の文字を見つけることができます。
よって4月に入ってこの先、おそらく市場在庫がなくなりしだいこの三銘柄を見かけることはなくなっていくはずです。
「ニッカカフェグレーン」「ニッカカフェモルト」に関しては終売ではなく休売ということですので、体制が整い次第再発売される可能性が残されています。
いっぽうで「ザ・ニッカ12年」は後述する「ザ・ニッカ テーラード」が後継品として4月9日の発売が決定されており、12年はほぼ終売と考えていいだろうと思います。
ファンにとっては最後の砦だった「ザ・ニッカ12年」「ニッカカフェグレーン」「ニッカカフェモルト」
余市や宮城狭の確保が難しくなった2010年代に入って、ニッカファンの最後の砦といわれていたのが「ザ・ニッカ12年」「ニッカカフェグレーン」「ニッカカフェモルト」の三銘柄です。
ここではその特徴をまとめておきましょう。
カフェ式蒸留器を使った「ニッカカフェグレーン」「ニッカカフェモルト」
ニッカカフェシリーズはニッカウヰスキーが持つ伝統的なカフェ式連続式蒸溜機(カフェスチル)でつくられたウイスキーです。
「カフェモルト」は大麦麦芽から、「カフェグレーン」はトウモロコシを中心に麦も加えた原料から作られています。
このカフェ式連続式蒸留器は蒸留効率は悪いものの蒸溜した液体に原料由来の香りや成分が残りやすいという特性があり、完成したウイスキーには原料の風味と独特の芳ばしさや甘みが加わります。
決してコーヒーのような味がするわけではないのですが、まろやかで甘みの強い酒質はウイスキーの個性的な味わいが苦手な人からもウケがよく、カフェシリーズはウイスキーラバーはもちろん特定のファンも獲得し、結果的にニッカウイスキー全体のファン層を増やすことにもつながっていたと思います。
コスパの良いブレンドとして人気を博した「ザ・ニッカ12年」
いっぽうの「ザ・ニッカ12年」は『2015年度グッドデザイン賞』を受賞するなど特徴的なボトルデザインにも注目が集まったブレンデッドウイスキー。
発売は2014年でニッカウヰスキー創業80周年、創業者・竹鶴政孝の生誕120周年を迎えたことを記念して販売されたウイスキーでした。
12年以上の熟成原酒のみを使ってブレンドされた意欲作で、長期熟成原酒がほとんどみられないニッカウイスキーにおいては非常に貴重な立ち位置のボトルで、そのコストパフォーマンスの高さは有名なボトルでした。
しかし12年以上の原酒を安定して確保するのはいまのニッカウイスキーには難しく、こちらは後継品となる「ザ・ニッカ テーラード」へバトンタッチする形となるようです。
また「ザ・ニッカ12年」の終売によってニッカ製品は現状において竹鶴シリーズのみが17年と21年の年数表記製品がラインナップされていることになります。
2020年3月末に竹鶴のエイジングシリーズ(17、21、25年)も終売。
新発売の「ザ・ニッカ テーラード」とは?
「ザ・ニッカ テーラード(THE NIKKA Tilored)」は「ザ・ニッカ12年」の後継品として4月9日に発売が予定されているボトルです。
その全容はまだ明かされていませんが、推測するに使用する原酒の平均熟成年数の縛りをなくすことで原酒を自由に使い、ザ・ニッカ12年と同等のクオリティを維持していこうという狙いなのだろうと思われます。
熟成年数の表記がなくなってしまうのは残念ですが、ザ・ニッカのバランスのとれた味わいとコストパフォーマンスの高さをどれだけ引き継げるかが重要となるでしょう。
2019.6追記
すでに市場では「ザ・ニッカ テーラード」が流通しています。
まとめ|ニッカカフェグレーン・カフェモルト・ザニッカ12年が終売|ザ・ニッカ テーラード発売へ
とどまることをしらないジャパニーズウイスキーのラインナップ整理。
しかしいっぽうでいよいよ新世代のジャパーズウイスキーも市場投入が秒読みとなりつつあり、また大手メーカーも2010年代に大量製造したであろうウイスキーが足がりつつあるなかで、2020年代には新しい流れがくるのではなかろうかと推測できます。
そのような意味においては今はまさに国産ウイスキーの転換点。新しい時代に向けて整理されるボトルを惜しみつつも、新しいボトルに目を向けて楽しんでいきたいものです。
新発売となった「ザ・ニッカ テーラード」
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