ジャパニーズウィスキー業界がバブルに沸き立つ昨今。山崎の50年が3000万という目が飛び出る価格で取引されニュースになるなど、世間からの注目も集まるところですが、一方で愛好家からは度重なる値上げや品薄状態に辟易した声も聞こえてきます。
そんな中、山崎率いるジャパニーズウィスキー代表ともいえるメーカー・サントリーから新たな動向が発表されました。
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- 「響 BLENDER'S CHOICE」をニューラインナップとして発売
- 「響17年」が休売ないしは終売?白州のエイジング商品もあるいは・・・
- ジャパニーズウィスキーにおける「響」の存在
- 白州や響のラインナップを整理・終売にし、大量生産時代へ?
- まとめ
「響 BLENDER'S CHOICE」をニューラインナップとして発売
サントリーは2018年2月、自社の看板ブランドのひとつである"響"から「響 BLENDER'S CHOICE」なる新商品の発売を発表しました。
ワイン樽を用いた原酒を使用し、甘く柔らかい味わいを表現するとのことで、平均熟成年数は15年、30年オーバーの原酒も投入するとのこと。値段は小売希望価格が10,000円とのことで、現在のラインナップでは価格・クオリティ共に「響17年」と並ぶ商品になることが予想されます。
ここ10年程度で販売数が著しく増加し、需要と供給がマッチしていないことが問題視されていたサントリーウィスキーのラインナップに、このタイミングであえて新商品を投入するサントリーの意図は、情報が飛び交いはじめてすぐ愛好家の間でもさまざまな議論がなされている模様ですが、この情報に後ろ向きな予想を立てているファンも少なくないようです。
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2018年6月14日追記 ブレンダーズチョイスは一般販売はされず業務店向け用に9月4日発売とのこと。
「響17年」が休売ないしは終売?白州のエイジング商品もあるいは・・・
原酒不足がささやかれているジャパニーズウィスキーにおいては、消費者に売れる商品をいかにたくさん作り、需要と供給をマッチさせるかが課題になっています。
その流れの中であえて新商品を展開するということは、逆にいえば既存の商品のなかで製造が難しいものを廃止し、新商品に動きを集中させたい意図がある・・・と考えるのが自然。この考えで行くと、まず真っ先に矛先が向くのが響17年ということになります。
価格帯・熟成年数の平均値で考えても被る部分が多いので、サントリーが響17年に取って代わる商品を市場に出すことで、響17年をフェードアウトさせたいと考えているとしても不思議ではありません。
加えて、山崎の単体需要から考えて、響のようなブレンデットウィスキーに回せるモルト原酒が白州に集中しがちなことで、白州自体の原酒確保も困難になり、白州の12年ものも販売中止する・・・という流れのようです。
今後ますますの需要が見込まれる中で、ラインナップを整理し、新しい主軸となる商品を展開するのはメーカーとしてはある意味当然の行動。
愛好家としては、ここまでジャパニーズウィスキーの一端を担い続けてきた「響17年」と「白州12年」の終売説には思うところも多いことでしょうが、これによってただでさえプレミア化が進む熟成を経たジャパニーズウィスキーがさらに高騰していくなんてこともあるのかもしれません・・・。
ジャパニーズウィスキーにおける「響」の存在
ジャパニーズウィスキーのなかでも国内外から根強い支持を集めるブランド・響。サントリー擁する山崎・白州を中心にブレンドされたまろやかで芳醇な飲み口はウィスキー初心者から舌の肥えた酒飲みまでを満足させる銘酒として知られています。
ある意味、日本のウィスキーの地位をここまで引き上げたのは響の存在あってこそと言えます。2004年、国際的なコンペティションであるISC (インターナショナル・スピリッツ・チャレンジ)において響30年がトロフィーを獲得、これ以後、日本のウィスキーは世界に通じる逸品として注目を集めるととなるわけです。
響に関しては数年前に「響12年」が終売し、年数表記の無い「響 ジャパニーズハーモニー」が発売されました。
後述しますが、年数表記のあるボトルはメーカーにとっては足かせになる部分も多く、かといって山崎と並んで知名度の高い響をより多く世に売り出したいサントリーとしては、今回の展開は苦肉の策だったのかもしれません。
白州や響のラインナップを整理・終売にし、大量生産時代へ?
ウィスキーは今日作って明日売れるお酒ではありません。それどころか、安定したクオリティを保つためには数年から数十年のスパンで考えていかなくてはならない非常に売り手泣かせのお酒。
特に年数をボトル(ラベル)に表記したウィスキーは、そこに含まれているウィスキーが最低でもその年数樽で寝かせていなくてはならないという決まりがあります。
12年表記をすると最低12年熟成させたものしか使えない(逆に12年以上のものを使う事はできる)。
つまり響17年であれば、いかにブレンデッドで複数のウィスキーを混ぜているとはいえ、混ぜられているウィスキー全て17年以上寝かせなくてはならないので、現状のような大量供給に追いつかないというワケなのでしょう。
年数の縛りが無ければ自由度は増える(反面で当然クオリティの低下も懸念される)ので、大量生産も少しやりやすくなります。加熱するジャパニーズウィスキーブームがクオリティを犠牲にしてでも供給量を増やすというメーカーの安易な発想を招かなければいいなと思うばかりですね。
まとめ
今回の響や白州のラインナップの変更によって、しばらくはますますこの辺りのブランドのプレミア化が進みそうです。中には売れ残った在庫を定価購入した人がオークションなどで横流しして、元値より数倍も高い値段で取引されることもあるかもしれません。
そのウィスキーにどれほどの価値を見出すかは人それぞれですが、願わくばそれらのウィスキーがあるべき姿で愉しまれることを願いたいものですね。
※追記 2018年5月15日に白州12年と響17年の終売情報が大手メディアでも大々的に公表されました。これをうけて今後ますます入手難易度が高くなり、値段も跳ね上がっていくことが予想される終売商品・・・ブランド力の高いジャパイニーズウイスキーは今後どのような方向へ向かうのか・・・行く末が心配されますね。
>>「白州12年、響17年の価格が驚くべき高騰…品薄も続き入手困難に」
>>「インフレ中】ジャパニーズウイスキーの値段のイマ。相場調査・まとめ」
価格の変動については別途記事にしていますので参考にどうぞ。
>>「高評価ウイスキー・富士山麓が終売へ!価格の高騰が予想」
2018年12月には国産ウイスキー最後の良心とも言われていた富士山麓 樽熟原酒50°も終売が決定しました。
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