ここ数年で劇的な変化を遂げ続けているジャパニーズウイスキー市場。その動きは緩まるどころか加速を続けて2020年へと突入しました。
本記事では当サイトでもたびたび取り上げてその動向を確認しているジャパニーズウイスキーについて一旦情報整理を行うことを目的に、2020年1月現在のジャパニーズウイスキー市場を簡易的に書き出しています。
- 「ジャパニーズウイスキーの休売・終売情報含む現行の種類・銘柄リスト」を読む前に
- サントリーウイスキーの種類・銘柄リスト(休売・終売情報含)
- ニッカウイスキーの種類・銘柄リスト(休売・終売情報含)
- ベンチャーウイスキーの種類・銘柄リスト(休売・終売情報含)
- 本坊酒造の種類・銘柄リスト(休売・終売情報含)
- キリンディスティラリーの種類・銘柄リスト(休売・終売情報含)
- 江井ヶ嶋酒造の種類・銘柄リスト(休売・終売情報含)
- 笹の川酒造の種類・銘柄リスト(休売・終売情報含)
- 若鶴酒造(サンシャインウイスキー)の種類・銘柄リスト(休売・終売情報含)
- 宮下酒造(岡山蒸留所)の種類・銘柄リスト(休売・終売情報含)
- 宝酒造の種類・銘柄リスト(休売・終売情報含)
- 松井酒造合名会社の種類・銘柄リスト(休売・終売情報含)
- 新設蒸留所およびブランドの種類
- ここ5年間の終売・新発売銘柄の動きについて
- ジャパニーズウイスキーの休売・終売情報含む現行の種類・銘柄リストまとめ
「ジャパニーズウイスキーの休売・終売情報含む現行の種類・銘柄リスト」を読む前に
まず本記事における内容は以下の通りです。
また当リストをご覧になる前の前提として・・・
という点についてご留意いただければと思います。またなにか追加で情報があれば報告してくださると嬉しい限りです。
サントリーウイスキーの種類・銘柄リスト(休売・終売情報含)
特にブランド価値が高く、国内外で高値で取引されることも少なくないサントリーウイスキー。その煽りを受けて近年最もラインナップ整理が頻繁に行われているメーカーでもあります。
→山崎と白州の違いについて書いた記事
→白州と響のラインナップ整理についての記事( 1 | 2 )
山崎の種類
山崎ノンエイジ
年数表記のない山崎のシングルモルトウイスキー。現在では山崎の主力商品となっている。
山崎12年
数年前では山崎のメインアイテムとして活躍していましたがここ数年の需要の増加により生産数を激減。プチプレミア化している。
山崎18年
12年同様に生産数が激減(当然もとから12年よりも量が少ない)。価格もプレミア化している。
山崎25年
現ラインナップの最長熟成。価格が規格外になっている。
- 山崎10年(2014年3月に終売)
白州の種類
白州ノンエイジ
現在の白州のスタンダードレンジ。12年が2018年9月に終売となり、山崎以上に飲みごたえのある"白州"を楽しむことは難しくなった。
白州18年
プレミアムレンジ。12年終売の煽りを受けてネットの相場なども一時激増したがだいぶ落ち着いてきたかというところですか。
白州25年
山崎の25年同様になかなか手の出る価格帯ではないがラインナップは継続とのこと。
- 白州10年(2014年3月に終売)
- 白州12年(2018年9月に終売)
響の種類
響 ジャパニーズハーモニー
響 21年
響 30年
知多の種類
2015年9月1日発売のシングルグレーンウイスキー。蒸留所の名を冠したブランドは山崎・白州に続く3銘柄目。ただしグレーンウイスキーなので味わいの傾向は他2つとは大きく異なる。
サントリーブレンデッドの種類(響除く)
響きを除いたサントリーのブレンデッドの現行ラインはまとめてここに紹介します。
サントリーローヤル
1960年代には高級ウイスキーの地位を確立していたローヤル。初代マスターブレンダー鳥井信治郎が生み出したブレンド。
スペシャルリザーヴ
1969年に発売されたキレのあるブレンデットで、白州を多めに使用してキレを出している。
サントリーオールド
だるまの愛称で知られるサントリーオールドはいまだ現役のラインナップ。
角
お酒に興味のない層に知られているのは角瓶かもしれません。ただ最近では居酒屋での角瓶推しも少なくなった(サントリーがジムビームを買収してそちらを推しにかかっているため)印象で、しばらくしたら「角瓶ってなに?」って言われるようになるのかもしれません。
- 白角(2019年3月に終売)
- 黒角(2016年4月終売)
サントリーホワイト
1929(昭和4)年に発売した国産ウイスキー第一号。当初は「サントリーウイスキー」として販売されていたが、1964年より「ホワイト」のを冠するように。白札などとも呼ばれる。
トリス
やわらかな味わいを意識したトリスシリーズは一時期吉高由里子のCM起用などでも話題に。
こちらはトリスクラシック。
よりまろやかさを高めたトリスエクストラはイメージキャラクターのアンクルトリスが顔をのぞかせている。
レッド
ホワイトの弟分的な立ち位置。白札に対して赤札と呼ばれる。
サントリー ワールドウイスキー「碧Ao」
2019年4月16日に数量限定販売されているブレンデットウイスキー。
サントリーが所有する各国の個性の異なるウイスキーをブレンド技術でひとつにまとめあげた一本。
ニッカウイスキーの種類・銘柄リスト(休売・終売情報含)
ニッカのシングルモルトの種類
宮城狭ノンエイジ
2015年9月1日に発売され、現在宮城狭は基本的にノンエイジ一本で展開。10年前に蒸留所に行くと原酒がゴロゴロ販売されていた時期がなつかしい・・・(蒸留所限定の樽出し原酒やビンテージ入りのボトルもすべて終売)。
余市ノンエイジ
宮城狭同様にノンエイジのみの展開。2015年9月1日に発売。
- 宮城狭12年(2015年8月に終売)
- 余市12年(2015年8月に終売)
- 宮城狭15年(2015年8月に終売)
- 余市15年(2015年8月に終売)
- 余市20年(2015年8月に終売)
竹鶴の種類
竹鶴シリーズは一般的には宮城狭と余市をブレンドして作られているとされているが、ニッカが所有するスコッチ蒸留所のベンネヴィス他、スコットランドのモルトがブレンドされているという話もある。
たしかに原酒不足のこの時代にノンエイジから25年までのレンジを継続して生産することは、余市と宮城狭のみのブレンドでは難しいでしょう。
2020年3月にはエイジングアイテムをすべて終売、ピュアモルトをリニューアルしてラインナップの整理を行います。
竹鶴ピュアモルト
ノンエイジ規格。竹鶴の現在のスタンダードラインといえる。
- 竹鶴12年(2014年3月に終売)
- 竹鶴17年(2020年3月に終売)
- 竹鶴21年(2020年3月に終売)
- 竹鶴25年(2020年3月に終売)
ニッカ ピュアモルトの種類
2018年6月をもって全ラインナップの販売を終了。しかし知名度の問題で在庫が捌けていないのかネット上でもさほど高くなく流通しているのを確認できます。これは買っておくべき・・・?
宮城狭主体のレッド。
余市主体のブラック。
ヘビーピート原酒(余市?)主体のホワイトは先に終売になっているので在庫がなく価格もコレクター価格。
- ピュアモルト ホワイト
- ピュアモルト ブラック
- ピュアモルト レッド
ニッカ カフェシリーズの種類
昔ながらのカフェ式連続式蒸留器によって作られるウイスキーは特有の甘さと芳しさを持ち合わせます。現在はウイスキー以外にもカフェジンとカフェウォッカもラインナップ。
カフェモルト
2013年6月に海外で先行発売され、2014年6月に日本でも発売された。
カフェグレーン
2012年に海外で先行発売され、2013年6月に日本でも発売された。
- カフェモルト/グレーン共に2019年3月で製造休止
- ニッカカフェグレーン・カフェモルト・ザニッカ12年が終売|ザ・ニッカ テーラード発売へ
ニッカオールモルトの種類
オールモルトは1990年に発売された独自のカフェモルトを原酒としてブレンドした商品。95年には姉妹品としてモルトクラブも登場。
モルトクラブが2015年、オールモルトは2016年の各8月に終売。まだ市場には若干の在庫がみられる。
ニッカブレンデッドの種類
ブラックニッカ
ブラックニッカシリーズは正直いろいろありすぎてついていけません。特に最近は乱発されていて食傷気味なのですがとりあえずラインナップだけまとてめてみましよう。
ブラックニッカスペシャルはもともとのブラックニッカで1985年より継続している銘柄。
ブラックニッカクリアはおそらく今最も一般的なブラックニッカで2011年発売。
ブラックニッカリッチブレンド。2013年発売。
数量限定のリッチブレンドエクストラシェリー。
2018年の9月にラベルデザインを一新し、最近特に売り出しを強くしている印象のあるディープブレンド。
デイープブレンドの限定版「ディープブレンドエクストラスウィート」
ザ・ニッカ
サントリーでいうところの響的な存在はニッカでは竹鶴にあたるが、厳密にいえば響はブレンド、竹鶴はヴァデットモルトなので立ち位置は違います。ハイランクのブレンデッドという位置づけはどちらかというとザ・ニッカがそれにあたるでしょう。
現在は12年のみの展開(以前40年が限定発売されました)。もともとニッカは「鶴」というハイランクブレンデッドを販売していましたが、その代替ブランドともいえるかもしれません。(鶴は生産数は少ないものの現在でも製造されている?)
現在12年は終売でプレミアム価格でのみ取引されており、後継ボトルとして「ザ・ニッカ テーラード」が発売されています。
- ザ・ニッカ12年が2019年3月で終売、ノンエイジの「テーラード」発売へ
- ニッカカフェグレーン・カフェモルト・ザニッカ12年が終売|ザ・ニッカ テーラード発売へ
スーパーニッカ
1962年発売。竹鶴正孝が手掛けたブレンド(現在ではブレンド内容がだいぶ変更されている)。
ハイニッカ
1964年発売。
ニッカフロムザバレル
アルコール51度のブレンデッド。1985年発売。
伊達(地域限定品)
宮城県(宮城狭がある)内限定で発売されているブレンデッド。ネットで買えてしまうのはご愛敬です。
ベンチャーウイスキーの種類・銘柄リスト(休売・終売情報含)
秩父にある蒸留所(とそれを運営する会社)。イチローズモルトと呼ばれることが多い。クラフト(小規模)ウイスキーの先駆けであり、国産ウイスキーの実力を世に知らしめた影の功労者。サントリー・ニッカが一般の人に向けた認知度を高めたとしたら、ベンチャーウイスキーは日本国内外のウイスキーマニアに日本ウイスキーの実力を知らしめたといえるでしょう。
今までにさまざまなボトルを発売しているが、どれも少数生産で限定品扱いのものが多いのでここでは現在手に入るスタンダードラインナップのみを紹介。
モルト&グレーン ホワイトラベル
ブレンデッド。秩父原酒ベースに9蒸留所のモルト原酒と2蒸留所のグレーンウイスキーを配合。国産100%ではないので"ワールド ブレンデッド"と表記されている。
リーフシリーズの種類
一枚の葉が特徴的なラベルのリーフシリーズは現在3種類。
ダブルディスティラリーズ
もともと所有していた羽生蒸留所(今はもうない)で作られていた原酒と、現在稼働している秩父の原酒を混ぜて作られたもの。羽生の原酒には限りがあるためいずれ飲めなくなる日がくることがわかっているという意味ではいま飲むべきジャパニーズのひとつなのかもしれない。
ミズナラウッドリザーヴ
多様なモルト原酒を混ぜた後にジャパニーズウッドであるミズナラの樽で寝かせた逸品。リーフシリーズでも人気が高い印象。
ワインウッドリザーヴ
多様なモルト原酒を混ぜた後に赤ワインの樽で寝かせた逸品。
本坊酒造の種類・銘柄リスト(休売・終売情報含)
鹿児島の本坊酒造が手がけるウイスキーブランド・マルスウイスキー。長野県中央アルプス駒ヶ岳山麓に「マルス信州蒸留所」、鹿児島に「津貫蒸留所」を所有し、自社ウイスキー作りに積極的に取り組んでいます。
マルスウイスキーは各社でラインナップ整理が続くなかで新製品の発売に意欲的。地域限定や数量限定商品も多いのが特徴です。その半面でいまいち特徴をつかみきれないものも多い印象。今後津貫のウイスキーが育てばぐっと厚みのあるラインナップになると思われる注目のブランドです。
ここではマルスウイスキー公式のラインナップ一覧から、限定販売の印がないスタンダードラインナップのみを抜粋。
マルス モルテージ 越百
2015年7月に発売。ヴァデットモルトとのことで複数のモルト原酒をブレンドして作られている。
- 駒ヶ岳10年(シングルモルト。2014年終売)
ツインアルプス
マルスを代表するブレンデッド。
3&7
ホワイトオークの樽香をきかせたウッディな香りと味わいを特徴としてブレンド。
マルスエクストラ
一升瓶入りのブレンデッド。
その他のマルスウイスキー
マルスウイスキーはこれ以外にも限定でシングルモルト駒ヶ岳を発売したり、現在熟成中の津貫原酒をニューポットとして発売するなどしています。
津貫蒸留所については「ジャパニーズウイスキーおすすめランキング|有名銘柄から新世代蒸留所まで」もあわせてチェックしてみてください。
キリンディスティラリーの種類・銘柄リスト(休売・終売情報含)
富士御殿場蒸溜所を擁するキリン傘下のウイスキーブランド。
富士山麓の種類
富士山麓 樽熟原酒50°
2005年発売。アルコール50度でありながら低価格帯を貫いたことでコスパの良いウイスキーとして一部の人に根強い支持を受けています。
「富士山麓 樽熟原酒50度」は2019年春を目処にして終売する方針がキリンから公式アナウンスされています。→「高評価ウイスキー・富士山麓が終売へ!価格の高騰が予想」
富士山麓 Signature Blend
2017年に蒸留所とネットショップ限定として販売され、2018年には一般販売されるようになった富士山麓。熟成のピークを迎えた原酒のみを配合。
- 富士山麓 シングルモルト18年(2015年5月終売)
- 富士山麓 樽熟原酒50°(2019年3月頃終売)
その他のキリンディスティラリーウイスキーの種類
陸
富士山麓樽熟原酒50°の終売からおよそ1年、2020年5月に発売となるのが御殿場蒸留所原酒と海外の原酒を混ぜ合わせて作られた陸です。
ポイントはアルコール50%にこだわった点で、事実上「富士山麓樽熟原酒50°」の後継ボトルとして位置づけられます。
富士
上述の陸と同時にリリースが発表された富士は飲食店ならびに海外市場向けに作られたハイレンジのキリンウイスキー。
御殿場蒸留所の原酒のみを使って作られるジャパニーズウイスキーとなります。
オークマスター樽香る
樽の香りに重きを置いたブレンド。2011年まではグループのメルシャン(現在ではキリンビール株式会社に統合。この会社は2011年まで軽井沢蒸留所を所有しウイスキーも作っていた)が作っていましたがブランドを引き継いでいます。
オーシャンラッキー ゴールド
こちらも2011年にメルシャンからブランドを継承。
- ボストンクラブ(2016年に終売)
- エンブレム(2014年に終売)
江井ヶ嶋酒造の種類・銘柄リスト(休売・終売情報含)
兵庫県明石市大久保町にある酒造メーカー。1919年(大正8年)に製造免許を獲得して蒸留所を設立。((今回調べていて初めて知った・・・というか気づいたのですが江井ヶ嶋酒造の蒸留所には名前がありません(公式でも「ウイスキー蒸留所」として紹介)))
シングルモルト"あかし"の種類
同メーカーのウイスキー蒸留所で作られるシングルモルト。
「ホワイトオーク シングルモルトあかし」が基本ラインナップでアメリカンオークシェリー樽、バーボン樽で貯蔵したモルトのバッティング。
限定品として2019.1現在で日本酒の貯蔵樽で寝かせた「あかし日本酒カスク3年」、ファーストフィルバーボン樽で寝かせた「あかしバーボンバレル5年 1st fill」が一般販売中(ほかにも限定商品が多数発売し。ラインナップは入れ替わっている)。
江井ヶ嶋酒造のブレンデッドの種類
ホワイトオーク 地ウイスキーあかし
端麗辛口志向のブレンデッド。
あかしレッド
端麗でライト志向のブレンデッド。
ホワイトオークレッド&ゴールド
オーク樽で3年以上貯蔵熟成させた原酒を使用し、一升瓶サイズで展開。ゴールドが39度、レッドが37度。
笹の川酒造の種類・銘柄リスト(休売・終売情報含)
福島県郡山市笹川に本拠のある笹の川酒造。1946年にウイスキー製造免許を獲得しウイスキー造りを始めるも売り上げが伸びずに製造を停止。その後2016年に安積の蒸溜所を増強し蒸留を再開しました。
2005年にはベンチャーウイスキーから委託を受けて作ったモルトがイチローズモルトとして販売されています。
チェリーウイスキーの種類
チェリーウイスキー
1980年代にヒットした地ウイスキー。
チェリーウイスキーex
ブレンデッドウイスキー山桜 黒ラベル
厳選した原酒を用いて作られたブレンデッド。
PURE MALT YAMAZAKURA
オーク樽で5年以上熟成されたモルトとシェリー樽熟成モルト、ピーテッドモルトをも配合した意欲作。
若鶴酒造(サンシャインウイスキー)の種類・銘柄リスト(休売・終売情報含)
富山県にある三郎丸蒸留所を擁する若鶴酒造。ブランドはサンシャインウイスキー。
サンシャインウイスキーの種類
サンシャインウイスキー
1953年の誕生以来守り続けられる伝統の味。モルトのほかにブレンド用アルコール使用。
サンシャインウイスキープレミアム
ブレンド用アルコールを使わずモルトとグレーンで作られたブレンデット。
ムーングロウ
1960年代蒸留の三郎丸蒸留所原酒も用いたサンシャインウイスキーのブレンデッドのプレミアムライン。
MOONGLOW 10年。
MOONGLOW crescent 2018。10年と共に2018年度版として限定販売されている。
- シングルモルトウイスキー三郎丸各種(どれも限定発売)
宮下酒造(岡山蒸留所)の種類・銘柄リスト(休売・終売情報含)
2015年に岡山蒸留所を稼働させています。限定発売でシングルモルト「岡山」も販売されているようです。
宝酒造の種類・銘柄リスト(休売・終売情報含)
宝酒造は現在キングウイスキー凛セレクト(2016年11月発売)一本の展開。価格帯的にもウイスキーとして最低価格。
- キングウイスキー凛(2016年11月に終売)
松井酒造合名会社の種類・銘柄リスト(休売・終売情報含)
松井酒造合名会社が展開するマツイウイスキーブランド。倉吉蒸留所も立ち上げ現在は自社生産に乗り出していますが、もともとは海外から買い付けた原酒を独自にブレンドして自社ブランドとして販売していました*1
シングルモルト松井の種類
シングルモルトとして販売されている「松井」。どうもハッキリしないんですが自社蒸留=倉吉蒸留所の原酒ってことでいいのかな?
ミズナラカスク熟成。
ピーテッド仕込み。
マツイウイスキーのその他の種類
マツイウイスキーは「松井」以外にもヴァデットモルトの「倉吉」とブレンデッドの「鳥取」を展開しています。
特に倉吉は複数のモルトウイスキーを混ぜ合わせて作られているのですが、倉吉蒸留所が存在していない時点で作られており、海外産ウイスキーを独自に輸入し混ぜてボトリングしています。
そんななかでラベルの表記が紛らわしいなどの問題でウイスキーラバーの間で軽く炎上し問題になりました(話題にならないだけでおそらく鳥取も内容はほぼ同じ?)。
松井蒸留所の原酒が本格的に増えてくれば将来的にはジャパニーズウイスキーとして胸を張れるかもしれませんが、現状ではジャパニーズウイスキーと称するには少し抵抗があるかなという感じでしょうか。
一応ラインナップとして倉吉はノンエイジ、シェリーカスク、8年、12年、18年の展開。鳥取はノンエイジ、五三ニ、バーボンバレルの3種の展開です。
新設蒸留所およびブランドの種類
2010年代に入ってからの国産ウイスキー需要に乗るようにして2016年頃を境に新しい国内ウイスキー蒸留所が多数立ち上がりました。
なかにはすでにニューポット(樽で十分に熟成していない無色透明に近いウイスキー)を販売しているブランドもありますが、現状では安定的なラインナップが確立されていないものに関してはこの項目でまとめて紹介します。(ただし本坊酒造の津貫蒸留所はすでにマルスウイスキーの項目で紹介したため割愛)
特に注目の蒸留所に関しては以下の記事も参考にどうぞ。
ガイアフロー→静岡蒸留所
ウイスキー事業を中心に展開するガイアフローが2016年10月に静岡蒸留所は稼働。
蒸留所の部品はメルシャンが2011年に閉鎖した軽井沢蒸留所からもらい受けている。もともとウイスキーに対する高い志のある会社なので、新設蒸留所のなかでも特に期待できる銘柄でしょう。
木内酒造→額田蒸溜所
「常陸野ネストビール」などで日本国内のみならず世界的に人気を集める木内酒造が2016年1月に茨城県・額田蒸溜所を稼働。
長濱浪漫ビール→長濱蒸溜所
長濱浪漫ビールは滋賀県の地ビールメーカー。2016年11月より長濱蒸溜所を稼働。
すでに限定でニューポットが販売されている他、長濱蒸溜所のモルトウイスキーと他国のウイスキーを使ったブレンデットモルトウイスキーが「AMAHAGAN」という名で展開されている。
厚展実業→厚岸蒸留所
北海道厚岸で2016年11月から稼働する厚岸蒸留所。
スコッチのアイラウイスキーに心奪われた樋田恵一さんによって設立。日本のアイラウイスキーを目指すとし、いままでにない新しい国産ウイスキーの可能性を示してくれるかもしれない存在でしょう。
すでに限定でニューポットがバージョン3まで販売されている。2019年度のウイスキーバイブルでも高得点を獲得。
小正醸造→嘉之助蒸溜所
嘉之助蒸溜所は2017年11月から小正醸造によって稼働中の蒸留所。場所は鹿児島県日置市。
樽に入れる前の「ニューポット」と8か月熟成の「ニューボーン」(2018年12月)がすでに販売されています。
中国醸造→桜尾蒸留所
もともと「戸内河」というウイスキーを販売していた中国醸造が新たに自社蒸留所を設立。現在はジンを製造・販売しているが、ウイスキーの仕込みを始まっていて、数年後には商品化される予定。
その他補足
ここに挙げた以外にも新しくウイスキー製造の免許を取得した事業者や自社ブランドのウイスキーを販売するメーカー(自社製造ウイスキーを含むのか、すべて輸入に頼っているのかは不明)もいくつか存在しますがマイナーすぎるのと事実関係がとりにくいので割愛。
あと2~3年の間はさらに新しい蒸留所やブランドがあらわれてきてもおかしくないかもしれませんね。
ここ5年間の終売・新発売銘柄の動きについて
以下の図はサントリーとニッカのここ5年間の製品の動きを図にまとめたものです。
基本的には10~12年の最もバランスのとれたラインナップをやめて、そのぶんノンエイジ(年数表記なし。基本的には10~12年より若い)に切り替えて生産量の確保をする方針。
また国産ウイスキーの人気を加速させた要因として、2014年の「山崎シェリーカスク2013(ヨーロッパ市場向けボトル)」が世界一になったというニュース*2が大きく取り上げられたことと、同年マッサンの放映が開始されヒットしたことも大きかったですね。
これによってもともと知名度のあったサントリー製品はともかく、通にしか知られていなかったニッカウイスキーも需要が増加していくことになるわけです。
ジャパニーズウイスキーの休売・終売情報含む現行の種類・銘柄リストまとめ
実際にまとめながら改めてジャパニーズウイスキーについて考えていると、どこからがジャパニーズウイスキーなのか?という疑問がふつふつとわいてきますね。
スコッチやバーボンは現地の原酒100%使用は当たり前、ほかにも非常に細かい規定がありますが、日本のウイスキーにはまだ「ジャパニーズウイスキーとはなにか」を定義する決まりがありません。
このような決まりを作ろうとする動きもみられているので、近い将来にはここでまとめた「ジャパニーズウイスキー」のいくつかが「ジャパニーズウイスキー」として名乗れなくなる可能性もありそうですね。
いずれにせよまだまだ過熱しそうなジャパニーズウイスキーブームを引き続き見守っていきたいと思います。
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