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味わいが変化?クリスタルガラス、ソーダガラス、硼珪酸ガラスの違い

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飲み物を飲むときになくてはならいのがグラスです。最近ではさまざまな材質のグラスが登場してきましたが、やはりその頂点といえる材質はガラスでしょう。独特の手触りや輝き、美しさはガラスにしか出せません。


では、グラスに使われるガラスにもタイプが存在することをご存知でしょうか?その材質によって飲み物の味も変わってくることは?今回はグラスに使用されるガラス材の種類とその特徴についてまとめます。美味しいドリンクを楽しむために、誰かにプレゼントするときのために、ぜひ参考にしてみましょう。

組成による3つのガラスの分類

ガラスの分類法はさまざま存在するため、一概にすべてを一括りにまとめることは難しいのですが、最も代表的でシンプルに区別する方法は化学組成によるものでしょう。


この分類法ではガラスの組成によって以下のように分類されています。

  1. クリスタルガラス
  2. ソーダガラス
  3. 硼珪酸ガラス
  4. その他


現在生産されているグラスの90%はクリスタルガラス、ソーダガラス、硼珪酸ガラスだと言われていて、そのうちソーダガラスが最もウエイトを占めています。まずは前提として、今回フォーカスを当てるこちらのガラスの分類法を把握した上でそれぞれ詳しく見ていってみることにしましょう。

クリスタルガラス

クリスタルガラスの定義と分類

クリスタルガラスはカリウム、珪酸、ソーダ灰に酸化鉛(レッド=lead)を加えて作られるグラスを指します。特徴は①酸化鉛を添加することでガラスの融点を低くして成形を用意にする点②途明度と屈折率の高いガラスに仕上がる点です。これによって非常に多様で繊細な成形が可能となり、輝きのある水晶(クリスタル)のようなグラスになるため、一般的にガラス製品でも高品質なものとして考えられています。


クリスタルガラスの定義は国によっても差異がみられますが、日本ではクリスタルガラスに関して社団法人 日本硝子製品工業会が定義づけを行っています。これによるとクリスタルガラスの定義は

クリスタルガラスとは、酸化鉛を主要成分として含むガラス、および酸化カリウム、酸化バリウム、酸化チタニウムなどを主要成分として含むガラスで、高い透明度を有し、かつ屈折率nDが1.520以上(註-1)*1で光沢のある美しい輝き、および澄んだ音色で特徴付けられる。
クリスタルガラス定義 日本硝子製品工業会 2009年9月25日より


とされています。


日本硝子製品工業会の定義によって、クリスタルガラスはフルレッドクリスタルガラス(酸化鉛を30%以上含み密度が3.00g/cm3以上)、レッドクリスタルガラス(レッドクリスタルガラス、酸化鉛を24%以上含み密度が2.90g/cm3以上)、セミレッドクリスタルガラス(酸化鉛含有量が24%未満で酸化鉛単独もしくは酸化カリウム、酸化バリウム、酸化亜鉛と併せて10%以上含む)と分類されています。



また、日本のクリスタルガラスは酸化鉛を含まない「カリクリスタルガラス」、「バリウムクリスタルガラス」、「チタンクリスタルガラス」が認められていて、それぞれ主成分に酸化カリウム、酸化バリウム、酸化チタニウムが使用され、そこに酸化亜鉛と場合によってはこれらが混合で使用されています。

クリスタルガラスの特徴

クリスタルガラスは非常に輝きがあり、指で弾くと(あまりオススメしませんが)非常に高音の澄んだ音を放ちます。酸化鉛が多く含有されている製品はより美しい仕上がりを持つこともありますが、そのためには洗練された技術を必要とするため、必ずしも酸化鉛の量がクリスタルガラスの品質を決定づけることはありません


最近では機械が自動で生産するマシンメイドも増えていますが、職人の手作業によって作られるハンドメイドの持つ高い品質にも価値があり、高級ガラスメーカーでも廉価版のハンドメイドものと高価で稀少なマシンメイドものを別ラインナップしているところも少なくありませんね。

代表的なクリスタルガラスブランド

クリスタルガラスを製造するメーカーは国内外合わせて挙げていけばキリがありません。ここではちょっとグラスをかじったことのある人なら大体は聞いたことがあるであろう代表的なメーカーをピックアップしておきましょう。

バカラ

フランスのガラスメーカーで、おそらく日本で最も知名度のある海外のガラスブランドでしょう。製造された商品のうち消費者の手に渡るのは6割程度と言われるほど製品に対するこだわりがあります。


酸化鉛を3割以上含んだフルレッドクリスタルガラスの代表であもり、クリスタルガラスに興味のある人がまず最初に触れることになるグラスなのではないでしょうか。

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ラリック

同じフランスを代表するガラスメーカー。もともとはジュエリーを出掛けていたルネ・ラリックがガラスへ興味を持ったことがきっかけとなり、今や世界中に熱狂的なファンのいるブランドとなりました。


中に注いだ液体を際立たせることを主眼に置いているバカラに対し、ラリックはグラスそのものが芸術性をもったデザインとなっていて、同じフランスのガラスメーカーでもグラスに込める思いは対照的なものとなっています。


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箱根にあるラリック美術館はグラス好きにとってもたまらない施設

サンルイ

バカラと対を成すといわれるフランスのガラスメーカー。バカラが男性的なフォルムのアイテムが多いのに対し、女性的で優雅なデザインが多い印象。


じつはバカラよりもはるか昔に興っていたブランドであり、現代ではエルメスのグループ。日本では知名度はさほど高くないが、そのクオリティ間違いありません。

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ロブマイヤー

1835年にはハプスブルク家から皇室御用達の称号を賜って以来、世界中の王室やセレブから愛用されるロブマイヤー。オーストリアのブランドで繊細ながら圧倒的な存在感が特徴的。


グラス好きであれば一度は手にすることを憧れるグラスとも言われています。

リーデル

オーストリアを代表するグラスメーカー。ロブマイヤーがトップクラスの高級品とすると、リーデルはまだ手を出しやすいブランド。グラスそのものの芸術性よりもワインをはじめ、お酒そのもののポテンシャルを引き出すことに腐心しており、ありとあらゆるお酒に対応した機能性の高いグラスを多数展開しています。


ここで挙げたブランドのなかでは比較的いろいろなタイプの飲食店でもよくかけることができるため、知らぬうちに使ったことのある人は多いかもしれません。

カガミクリスタル

日本初のクリスタルガラス専門工場を構えたメーカー。赤坂迎賓館や在外公館などに商品を提供しています。日本を代表するガラスメーカーでもあり、引き出物などでも目にする機会は多いでしょう。

ソーダガラス

クリスタルグラスと並んでよく聞くグラスのタイプがソーダガラス(ソーダ石灰ガラス)です。現在では最も汎用性の高いグラスとして量産されていて、多くの人が日常的に使うグラスのほとんどはソーダガラスに分類されると思われます。飲食店などでも高級店やかなりの拘りがある店で無い限りソーダガラス系のグラスが一般的に使用されています。


ソーダ灰,石灰石,ケイ砂をメインに作られているグラスで、硬くて軽くコストがかからないのが特徴。一方で急激な温度変化には極端に弱いという弱点もあります。


一般的にはクリスタルガラスと比べると安価で低品質と思われている節もありますが、日本の木村硝子の木勝シリーズなどに代表されるように、ヘタなクリスタル系グラスに負けず劣らず見事な品質を持っているものも存在します。

硼珪酸ガラス

ソーダガラスに硼酸(ホウサン)を加えて作られるガラス。ソーダガラスの温度変化への弱さを克服したタイプのガラスで、耐久性と耐熱性が高いため、湯呑みグラスや化学系で用いられる実験機器用のガラス製品に用いられるのが一般的です。


屈折率も低く、強度が高い分厚みがあることも多いため、見た目には安価なグラスに見えがち。耐熱温度差120℃以上の耐熱ガラスと耐熱温度差400℃以上の超耐熱ガラスに分類されることもあります。


原理としては熱膨張率を小さくすることでガラスへの変形を防ぐことにあるため、必ずしも硼酸を混ぜる必要はないのですが、現状では耐熱グラスのほとんどは硼酸を混ぜ込んだ硼珪酸グラスに分類されているようです。


食洗機などにも対応している商品が多数あるため日常使いにも便利という特徴があります。

グラスの種類によって味は変わるのか?

グラスの種類について、その分類と特徴を学んできたところで、果たしてグラスによって味は変わるのか?という疑問を考えていきたいと思います。


一般的にはクリスタルグラスが最も芸術性、機能性に優れていて、コスパ面でソーダガラス、耐久面で硼珪酸ガラスにそれぞれ軍配があがると考えられています。では味わいにおいて、本当にクリスタルグラスが優れていると言えるのでしょうか?

味や香りに差が出るのは事実

クリスタルガラスとソーダガラスの最大の違いは表面の凹凸にあります。クリスタルガラスはその製法上、表面に目には見えない凹凸が生じています。一方のソーダガラスはツルツルに近い状態。もちろん物による個体差はありますが、あくまでグラスの性質としてこの違いが存在しています。


さて、一見するとツルツルの方がキレイで良いのでは?と思うかもしれませんが、ことワインやウイスキーのようなお酒を楽しむ上では必ずしもそうとは言えません。微小な凹凸が表面にあることで、液体がその凹凸の中にまで広がります。結果的には表面積が大きい(液体が薄く広がるイメージ)ことになり、ワインやブランデーの持つ複雑な香気成分や味わいが放たれていきます。


一般的にこのようなお酒の変化を「ひらく」などと表現しますが、複雑で味の濃い、ポテンシャルのあるお酒になればなるほど、グラス表面にある些細な違いが味わいに変化を与えてくれると考えられます。逆に味わいに奥行がないタイプや空気との接触に極端に弱い繊細で腰の弱いタイプのドリンクであれば、ソーダガラスの方が適しているという見方もできるでしょう。


この違いは、実際に似たような形のソーダガラスとクリスタルガラスを用意してワインを注ぎ、軽く回した後に舌に落ちいていく液体の様子を見れば分かりやすいでしょう。ソーダガラスがさらっと落ちいていくのに対し、クリスタルガラスに入れた液体は少し粘度を持っているかのようにゆっくり落ちていきます。

どちらが良いかはお酒やシチュエーション次第

確かにクリスタルガラスはお酒のポテンシャルを発揮させる実力を持っていると言えます。しかし、例外なくクリスタルガラスが優れているかといえばそうとも言えません。


さきほど述べたように、カジュアルな性質を持つお酒であればソーダガラスの方が適している場合もあります。クリスタルガラスは扱いにも注意が必要ですし、そもそもカジュアルなシーンに適していないとも言えますしね。


例えば家でゆっくりひとり、もしくは恋人とふたりでディナーやお酒を楽しむとき、バーなどでじっくりと良質なお酒を傾けたい時にはクリスタルガラスのグラスを使ってみたいですね。

まとめ

代表的なグラスの分類となるクリスタルガラス、ソーダガラス、硼珪酸ガラスの違い。そして実用面においてどのような差があるのか、ということについて見てきました。


これでガラス、グラスについて初歩の初歩となる基礎知識はついたのではないでしょうか?ぜひ参考にして自分にあった、自分の好きなグラスを見つけられることを祈っています!


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*1:酸化鉛を含まず酸化カリウムを主要成分とするクリスタルガラスはこの限りではない。