いまお酒業界では世界中で空前のクラフトブームが巻き起こっています。
クラフト酒とは地産地消や小規模生産、原料栽培から製品化までの一貫した製造などをキーワードに作られるお酒たちで、最近ではビール以外にもクラフトジンやクラフトウイスキーも人気ですね。
こだわりの強い作り方によって生まれた個性的な味わいはもちろん、製品化に至るまでのコンセプトや背景といったストーリーそのものも楽しめるのが魅力です。
そんなクラフト酒の先駆けともいえるのがクラフトビール。
国内でも各地でクラフトビールが作られていますが、もともと個性の強かった欧米のビール市場でもクラフトブームが巻き起こっています。
筆者も2019年は個人的にひさびさにベルギービールブームが到来。ここ10年程度の間に日本にも輸入されていたクラフトマンシップの強いベルギービールを多数楽しむ機会に恵まれました。
そこで本記事では2021年にかけてさらに注目していきたい、多くの人に飲んでもらいたいと感じたブリュワリー(ビアメーカー)「デライト醸造所」に注目。
前から気になっていたベルギーはフランダースにあるデライト醸造所のビールを買ってみた。ジャケ買いは好きではないのだけどビールとワインはよくわからんからたまにジャケ買いする。特にビールに関してはジャケ買いであんまり外した記憶なし。期待が高まります。特に右端のおじさんが気になる笑 pic.twitter.com/5cz2EoT3eJ
— おいしいを探求するメディア「おいしけりゃなんでもいい!」 (@bollet_jp) February 26, 2019
ただ個性的なだけでなく、お酒として非常に完成度の高い研ぎ澄まされた味わいに感動させられました。
ぜひその魅力を紹介させてください。
デライト醸造所の基本データ
デライト醸造所はベルギーはフランダース西部にあるマイクロブリュワリー(小規模醸造所)です。
稼働は2008年からとのことなので、まだ10年程度の非常に歴史が浅いブリュワリーということになります。
ベルギーは独自のビール文化を形成している国で、修道院で作られるビールなどが昔から有名。
特に名の知られているシメイはシメイ醸造所での本格的な生産の歴史を辿っても19世紀半ば、その原型は11世紀ころに遡るといわれている。
そうした歴史から考えればここ数十年の間にできたブリュワリーは非常に若いといえる。
ごく限られたスタッフによって産み出されるビールはとても刺激的でいながら繊細。
ラベルもスタッフの知人であるアーティストに以来して作っており、非常に特徴的なデザインが目を引きます。
新旧無数のメーカーが入り交じるベルギービール市場ですが、そのなかでも特に注目されている新進気鋭のブリュワリーで、今後の活躍にも目が話せません。
知人のビアバーの店主も今もっとも注目しているベルギービールのひとつとしてデライトの名を挙げていました。
デライト醸造所のビールの特徴
ブリュワリーの個性をひとまとめに語るのはナンセンスなようにも感じますが、現在日本で比較的手に入るこのブリュワリーのビールはどれも共通したニュアンスを持っています。
それは個性的なビールでありながら柔らかく繊細で飲み疲れないということです。
たとえば筆者がこのブリュワリーを知るきっかけになり、いまなおデライトで一番好きなキュヴェジェンノーム。
飲めば飲むほどピクルス・・・いやザワークラフトの味。樽熟の効果なのか余韻がかすかにスパイシーでなおさらピクルス。
— おいしいを探求するメディア「おいしけりゃなんでもいい!」 (@bollet_jp) February 28, 2019
同じくデライトのマメールスペシャルを4ヶ月間オーク樽熟成したもので、炭酸感は優しく酸味がキッチリときいたサワーエール系。
しかしただ酸っぱいだけでなく、樽熟によるタンニンやホップの風味がすべて一体感のある味わいとなって感じられる絶妙なバランスなのです。
【マメールスペシャル Alc6.0%】
— おいしいを探求するメディア「おいしけりゃなんでもいい!」 (@bollet_jp) March 1, 2019
昨日のキュヴェジェンノームのベースになっているデライト醸造所のマメールスペシャル(これを樽熟させてる)。ホップが綺麗に効いたゴールデンエールスタイル。クリーミーでやさしいが飲みごたえもある。発砲感もやさしく個人的にかなりツボ。毎日飲みたい。 pic.twitter.com/wof1JTyIkO
キュヴェジェンノームのベースとなっているマメールスペシャル。
2種類のベルギー産ホップと2種類のアメリカ産ホップをブレンドして使用したもので、ホップの効いた苦味がありつつも非常に柔らかく繊細なのが印象的です。
【キュヴェマンズィール alc8.5%】
— おいしいを探求するメディア「おいしけりゃなんでもいい!」 (@bollet_jp) March 5, 2019
デライト醸造所。ワインを3~4回熟成させた樽で数か月熟成。スパイスも使用し絶妙なバランスに仕上げている。熟成という点ではキュヴェジェンノームに近いけど酸は軽めで味のバランスは軽やか。鼻抜けスパイシーでおいしい。 pic.twitter.com/sZp10CxLcU
キュヴェマンズィールは使用済みのワイン樽で数ヵ月熟成。
微かなタンニン、酸味とフルーツの風味がワインを連想させる。
ユニークなビールですが、飲み進めていくとどうしてこうもスルスルと喉を通っていくのかと不思議になるくらい飲み心地が素晴らしい。
デライト醸造所のキュヴェソウィジ。
— おいしいを探求するメディア「おいしけりゃなんでもいい!」 (@bollet_jp) December 10, 2019
8%代のアルコールを感じさせない柔らかさとチェリーの余韻が素晴らしい。
ワインのような味わいを持ちつつ、余韻にしっかり麦の風味を感じる。
香りはしっかりデライト醸造所。
ここの醸造所ほんと好きだなあ。 pic.twitter.com/rP3miX8wYS
キュヴェソウィジ。
樽での熟成中にチェリーをいれることで適度な酸味、甘さ、香りを持ったビールに仕上がっています。
フルーツビールというほどのジュース感はなく、あくまでもビールのなかにチェリーのニュアンスを感じ取れるという絶妙な漬け込み具合。
このバランス感覚がマニアがデライトのビールに唸るゆえんなのだと感じますね。
どれを飲んでも素晴らしくバランスがとれていて、それでいて個性的だと感じるという不思議なビール。
デライト醸造所はビールが嫌いな人でも、ユニークなビールが好きなビールフリークでも、新しいお酒に興味のある好奇心の強い人にもおすすめしたい圧倒的な魅力を秘めたブリュワーでしょう。
デライト醸造所の特徴である酸味のあるビールは日本人にはなじみが薄いかもしれませんが、ベルギービールでは珍しくありません。
当ブログでもベルギービールを代表する酸味系のビールとしてランビックスタイルのティママンブランシェを紹介しているので、併せてご覧ください。
おすすめのベルギービール「デライト」のビールを飲んでみてほしい
デライト醸造所のビールはベルギービールのマニアな方々からはもはや鉄板ともいえる存在となりつつあります。
「何を今さらデライトを紹介する必要が・・・」と感じる方もいるかもしれませんが、とはいえベルギービールに精通していない人にとってはまだ限りなくマニアックなお酒。
じっさいに筆者の周りのお酒好きな人でこの醸造所の存在を知っていた人はほぼおらず、ビールマニアでも国産クラフトに精通している方でも知らない方がほとんどでした。
日本への輸入も不定期でいつでも確実に手にはいるビールではないものの、酸味・スパイス・苦味の絶妙なハーモニーにノックアウトされる人は少なくないはず。
特にいままでクラフトビールというものに抵抗のあった人にこそ、こんなに面白くて美味しいものもあるんだという事を知れるという意味でおすすめしたいところ。
なにを隠そう筆者自信も近年のクラフトビールは奇抜な素材使いやIPA偏向主義には「うーん」という気持ちもありほぼリピートすることはないのですが、デライトのビールはまとめて買って何度も飲んでしまうほどの魅力がありました。
デライト醸造所、2021年に注目したいおすすめのベルギービールのまとめ
筆者が2019年に楽しんだベルギービール・・・いや、すべてのビールのなかで最も魅力的に感じたデライト醸造所のビールたち。
個人的にはこれからもっと多くの人にその魅力が伝わっていくのではないだろうかと思います。
最近日本ではベルギー系よりも国内クラフトやアメリカンクラフトに人気が集中しているような印象を受けますが、伝統的なビールを携えつつも新しい造り手も育っているベルギービールもまた新たに注目していきたいところですね。
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