ブランデーというとお酒の中でも特にハードルの高いジャンルに思われがちです。
しかし葡萄や林檎といった果実から作られるブランデーはとても芳醇で柔らかい味わいから、ウイスキーやラムよりもとっつきやすいお酒であるともいえます。
いっぽうでブランデーはまだまだウイスキーほどファン層が多くなく、必然的に出回っている情報も限られているため「初心者でも安心して楽しめる美味しいブランデー」が分かりづらいという問題も存在しています。
そこで本記事は数多くのブランデーを楽しんできた筆者の観点から、初心者におすすめしたいブランデーの銘柄についてまとめていきます。
- 初心者におすすめしたい美味しいブランデー銘柄の選び方は?
- ナポレオンやXOを狙え!ブランデーの格付を覚えよう
- 初心者にこそ試してほしいおすすめの美味しいブランデー(コニャック)銘柄一覧
- おすすめブランデーを本当に美味しいものだけ厳選!初心者にも試してほしい7本のまとめ
初心者におすすめしたい美味しいブランデー銘柄の選び方は?
そもそも初心者におすすめしたいブランデーとはどのようなブランデーなのでしょうか?
もちろん初心者とひとくちにいっても、その人のブランデーへの興味に応じて考えるべきポイントはたくさんあります。
今回は以下のような点に注目しておすすめするブランデーを選ぶこととしました。
美味しいブランデーはストレートが基本
ブランデーというとバブルの時代に流行ったお酒というイメージが強い人もいるかもしれません。
確かに当時ブランデーはクラブなどで水割りやクラッシュアイスと共に飲まれるのが一般的でした。
しかし時代は変わり、正しいブランデーの楽しみ方が少しずつ認知され、現在は基本的にストレートでそのまま嗜まれることが増えてきたように思います。
ブランデーは果実から作られた非常に繊細なお酒で、香りが命ともいわれています。そのため氷をいれたり水で割ってしまうと最も大切な"香り"を殺してしまい、本当の良さを楽しむことができなくなってしまうのです。
液体の温度が下がることで揮発性であるお酒の香りは感じづらくなってしまう。
お酒の弱い人でも少量ずつ時間をかけて舐めるようにして口に含み、香りを楽しんでからゆっくりと飲み込むことでブランデーを楽しむ事は十分可能です。
ウイスキーやブランデーをストレートでじっくり楽しむための方法を実践することで本当においしいブランデーを味わえるよう、ここではストレートで飲んで美味しいブランデーに限定して紹介していきます。
コニャック地方のブランデー
ブランデーとは大ざっぱにいえば「フルーツを原料とした蒸留酒」です。
その種類は非常に多く、国ごとに微妙な違いがあったりもするのでその全てを網羅するのは到底不可能です。
そこで今回はブランデーのなかでも特に代表的なジャンルであるコニャックに焦点を当てて紹介していきます。
コニャックとはフランスの南西に位置するコニャック地方で規格に則って作られる葡萄原料のブランデーのジャンルの名称です。
ブランデーといえばコニャックという人も少なく、世界的にみてもブランデーの代表といって差し支えないでしょう。
ヘネシーやカミュといった名前くらいは聞いたことのあるブランデーのブランドは大抵コニャックです。コニャックには他にも無数の造り手やブランドが存在しています。ぜひ注目してみましょう。
多少高くても質の良い銘柄をチョイス
ストレートでそのまま楽しむタイプのお酒はブランデーに限らず、まずある程度レベルの高いものを何種類か試してみることをおすすめします。
ブランデーでも探せば低価格帯の商品もありますが、このなかから素直においしいと思えるものを探すのは困難です。
嗜好品の良さを理解するにはまずある程度のレベルのものを試してその良さを感覚的に理解していくほうが賢明だと思います。
「初心者だからまずは手ごろなものを・・・」「よくわからないから良い物はもったいない」という考えはしない方がいいでしょう。
安いのものから徐々にハマっていく人もいなくはないのですが、このパターンの場合はそこに至るまでに苦手意識を感じてしまう人も少なくありません。
今回ご紹介するブランデー(コニャック)はどれもある程度の価格帯のものですが、その反面で長い熟成を経て丁寧に作られた銘酒ばかりをセレクトしました。
プロにも愛飲している人が多い印象の商品も多いので、ブランデーに興味のあるという人はぜひ検討してみて欲しいですね。
知名度やブランドで選ばない
これはブランデーに限った話ではないと思うのですが、基本的にあまり詳しくない分野でも名前くらいは知られている大手メーカーの商品は必ずしも初心者向きとはいえません。
なぜそれだけ名前が知られているのか・・・もともとの商品の品質が良いからというのもあるのですが、それ以上に宣伝広告費を重視している結果でもあるからです。
宣伝広告をすれば商品の質は変わらなくても値段は高くなっていきます。
つまり同じランクの商品であれば、宣伝広告をたくさん行う大手メーカーの商品より、小規模生産で地道に作っているメーカーの商品のほうが安いということになります。
逆にいえば大手メーカーの商品を買わなくても、それより安くて品質が同等のもの、同価格でもっとおいしいものはたくさんあるということです。
本記事に限らず、せっかくブランデー好きの方のおすすめを受けるのであれば、ぜひ見たことも聞いたこともないような商品の情報にこそ着目してみてほしいですね。
ナポレオンやXOを狙え!ブランデーの格付を覚えよう
ブランデーには商品名に「ナポレオン」や「XO」といった格付けがついているものがあります。
これらは原則としてランクが高くなるにつれ高級で上質なブランデーだといえます。
ブランデーにおいて一般的に使われるのは「VS」「VSOP」「ナポレオン」「XO」となっていて、これ以外にもトレヴィユー、ファミーユ、レゼルヴ、ヘリテージといったランクが付けられることもあります。
「VS」「VSOP」「ナポレオン」「XO」に関してはその名を冠するためには最低どれくらい熟成させていなければならないか、というのが決まっています。
上記の図はコニャックにおける規定です。
アルマニャックだとまた別の規定が設けられていますが、ランクごとに熟成年数が長くなっていくのは間違いありません。
一概には言えませんが「VS」「VSOP」くらいの規格だと味に深みがなくブランデーの真価を感じられないことも多いので、「ナポレオン」「XO」クラスの商品を狙うようにしたいものです。
初心者にこそ試してほしいおすすめの美味しいブランデー(コニャック)銘柄一覧
ポールジロー エクストラヴィユー
ポールジローはコニャックのなかでもプロプリエテール*1と呼ばれるタイプのもので、造り手の個性が反映されたコニャックのひとつです。
このコニャックの良さはその飾り気のない地酒感。
「コニャックは自然の賜物」という信念に基づき、全ての工程で手作業にこだわり、余計なものを一切加えないポールジローが生み出すコニャックは質素でありながら葡萄のパワーを感じる素晴らしい銘酒です。
エクストラヴィユーは平均25年熟成。値段と味のバランスがよく、コニャックの持つ真価を引き出しています。
短い熟成のポールジローは少し荒々しさが目立つため初心者向けとはいえませんが、25年以上熟成されたポールジローはウイスキーが好きな人やコニャックをはじめて飲む人にも理解しやすい実力を秘めています。
フランソワヴォワイエ エイジドール
多くのコンテストで金賞を受賞した実力派のフランソワヴォワイエ。エイジドールは8~20年熟成。
毎年少しずつ馴染ませるように樽に水を加えてまろやかで一体感を出す作り方をしています。
保存料なども一切加えないで純粋なブランデーの味わいを追求している姿勢にも好印象です。
なにより嬉しいのは500mlというサイズ感。通常ブランデーは700mlで販売されることが多いなか、500ml瓶は自宅で購入するのにも適したサイズで値段も抑えられます。
今話題の絶品コニャックは一度飲む価値があるといえるでしょう。
ジャンフィユー トレビィユー
ジャンフィユーは家族経営のプロプリエテールコニャックのひとつです。
1972年美食および観光国際委員会から“セプ・ドール称号”(黄金の葡萄の樹)を受けていて、フランスの高級レストランでも食後酒として採用されている名実ともに優れたコニャックです。
セプドールの称号は特定のジャンルにつき一つしか与えられない非常に栄誉ある称号で、そこに選出されるジャンフィユーがコニャックとしてどれだけ信頼感のある存在かを示しています。
トレヴィユーは平均25年程度の熟成でとてもバランスのとれた銘酒です。いつ飲んでも安心感のある味わいと、フランスでとても人気のある銘柄であることを加味すれば、初心者にぜひ手を伸ばしてもらいたいブランデーであるということは間違いないでしょう。
ラニョーサボラン レゼルヴスペシャル No.20
1850年にガストン・ブリアン氏によってブドウ農園が作られて以来、非常に質の高いブランデーを作り続けることでブランデーファンを虜にしてきたラニョーサボラン。
ラインナップこどに優れたパフォーマンスを発揮する同ブランドですが、初めての人にお勧めしたいのは20年熟成のレゼルヴスペシャル。
バランスのとれた味わいで優雅で気品溢れるコニャックの魅力を知るのに手っ取り早い一本だといえるでしょう。
デラマンXO ペール&ドライ
デラマンは複数のブランデー農家から原酒を買い取ってブレンドし、自社製品として販売しています。
自分で一からブランデーを作っていない分ランクが低いのかというとそうではなく、自社の味を生み出すために様々な工夫を行っています。
例えば熟成させる樽はある程度こなれたもののみを使うことで、樽の香りが強く付きすぎないようにしデラマンのブレンドされた味わいを強調させます。
コシ長めに熟成させた原酒と短めに熟成させた原酒を混ぜて味のバランスをとるのもデラマンの特徴です。
XOは平均25年熟成。最低でも15年以上熟成させた原酒のみを使用したデラマンのフラグシップボトルで、長期の熟成においても原酒のコシをしっかりともったデラマンらしい味わいに仕上がっています。
カミュXO ボルドリ
カミュXOボルドリはボルドリという土地で作られる葡萄のみを使用したカミュの持つスタイルを前面に押し出した仕上がり。
フローラルな感かつ繊細で上品な甘みが非常にすばらしく、まさしく「ボルドリの特」をとらえた一本です
ライトボディなのですが、ブランデー慣れしていない人にはひっかかりがなく飲みやすい味で、はじめてのブランデーにもおすすめできます。
ヘネシーXO
1765年にリシャール・ヘネシーによって創設されたヘネシーは今ではブランデーのメーカーとしては最大手となりました。
有名なので名前くらいは聞いたことがあると思いますが、逆にクラブなどでお金持ちが飲むお酒という印象も強くなっているかもしれません。
ヘネシーはラインナップが全体的に高いので、あまり初心者向けとはいいづらいメーカーですが、ヘネシーXOはブランデーに興味を持ったら一度は飲んでほしい銘酒です。
このボトルをきっかけとしてブランデー好きになる人も多く、芳醇でまろやかな香味と味がまさに葡萄の蒸留酒であることを感じさせます。
最近コニャック業界ではプロプリエテールが注目されていますが、やはり一度はコニャックの名を世に知らしめてきたヘネシーのようなブランドの味わいも機会をみて感じてもらいたいですね。
おすすめブランデーを本当に美味しいものだけ厳選!初心者にも試してほしい7本のまとめ
初心者向けとはいえ、本当にブランデーの良さを知ってもらえるボトルを厳選しましたので、値段をみて戸惑ってしまう人も少なくないかもしれません。
しかし特にブランデーは8000~10000円クラスの商品を試してみないと良さが分かりづらいのではないかなと感じています。
このあたりが3000~5000円程度で魅力的なボトルがたくさんあるウイスキーやラムと比べて、少し高価な印象をブランデーに与えてしまっているのでしょう。
ウイスキーやラムと比べて平均した熟成の期間も長いため、ゆっくり大切に飲むことを考えれば決して高い値段とは言えません。
ぜひ「今日はちょっとだけ贅沢しよう」という日に一杯だけ飲む珠玉のブランデーを一本ご自宅に用意してみてください。
そのさいはぜひグラスにもこだわって、おいしく楽しめる環境を整えるとより一層ブランデーを美味しく楽しめるはずです。
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*1:原料となる葡萄の栽培から実際にブランデーに加工して瓶に詰めるまでを自社(自家)で一貫して行うブランデーの作り方のスタイル、もしくはそうして作られたブランデーを指す