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ヘネシーの味、種類とその値段、飲み方|ブランデーの王様たる所以とは?

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ヘネシー(Henesy)はお酒に少し詳しい人なら名前くらいは聞いたことのあるブランドではないでしょうか?


葡萄から作られるブランデーとして高品質なコニャックのなかでも、とりわけ知名度が高いヘネシーはその長い歴史のなかで業界の発展にも影響を及ぼした一大ブランドです。


ここではそんなヘネシーの味わいや種類、値段といった基本的な情報を確認しながら、ヘネシーの歴史とその魅力や飲み方についても堀下げていきたいと思います。


CHECK
本当においしいブランデーを厳選した「本当におすすめのブランデーを厳選!初心者にこそ試してほしい7本」もあわせてチェック!


奥深いブランデーの世界は有名ブランド以外にこそ詰まっています。


ヘネシーの魅力と共に知ることで「飲む香水」と呼ばれるブランデーの魅力をあますことなく体感しましょう!

コニャックを代表するヘネシーとは?

コニャックはフランスで作られる葡萄原料のブランデーで、その厳しい品質基準から世界最高峰のブランデーとしても有名です。


>>ブランデーの定義や細かな種類については「ブランデーの種類と違い|コニャック、アルマニャック、カルヴァドスetc」をご覧ください


1765年、アイルランドからの移民であったリチャード・ヘネシーがコニャックの芳醇な香りと味わいに魅了されて、自身でもコニャック作りをはじめたことがきっかけでヘネシーは誕生しました。


当時リチャード・ヘネシーは軍人としてそれなりの地位を得ていた人物でしたが、コニャック作りに全力を注ぐべく地位を投げ打ってブランデー作りに熱中します。


まだまだブランデーの作り方が確立されきっていない時代に、並々ならぬこだわりを注ぎこむことで今日まで名声をほこるヘネシーの味わいが生まれてきたというワケです。

ヘネシーの芳醇な味わいの秘密

ヘネシーはブランデー作りにおける全てのポイントに徹底したこだわりを追求しました。ここではヘネシーのこだわりについて少し見ていきましょう。

原料である葡萄を徹底的に厳選

まずは原料である葡萄へのこだわりです。


コニャックでは葡萄の栽培される土壌の性質によって畑をランク分けしています。


ヘネシーは「グランド・シャンパーニュ」「プティット・シャンパーニュ」「ボルドリ」「ファン・ボア」という4つの区画からとれる葡萄にこだわり、なかでも特に品質の良い葡萄のみをブランデーに使うように心がけていました。


これらの畑のランク分けは単純な味のレベルというよりも、それぞれのランクごとに特徴があり、その特徴を理解して使うことでより複雑な味わいを生み出せます。


ヘネシーはそうした葡萄の持つ特徴を徹底的に分析し、出来上がったブランデーを絶妙なバランスでブレンドすることで唯一無二のヘネシー味を生み出すことに長けているのです。

こだわりの樽で深みを生み出す

ヘネシー社では熟成に用いる樽に樹齢100年を越える樹木を使用しています


長い時間をかけて生き抜いてきた生命力溢れる木からできた樽を何万樽と用意し、出来上がったブランデーを注ぎ込んで時間をかけて熟成していくのです。


ブランデーやウイスキーといった樽で熟成させるお酒は樽によってその質が決まっていくと考える人も少なくありません。


ヘネシーもまた熟成させるさいに使われる樽に徹底したこだわりを持っているのです。

バリエーション豊かな原酒をストックし自在に使いこなす

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ヘネシーブランドの味の最大のポイントは豊富な原酒のストックと腕利きのブレンダーにあります。


ヘネシーは創業当初は自社生産でいちからすべてブランデーを作っていたと考えられますが、しだいにブランドが大きくなり生産量が増えるにつれ、コニャック地方にいるさまざまな農家から直接葡萄やブランデー原酒を買い付けて生産量を補強するようになりました。


こうした造り手はネゴシアンと呼ばれていますが、ヘネシーは確かな選球眼で厳しく原酒を買い付け、自社生産のものも含めておよそ30万樽以上のブランデーを常にストックしていると言われています。


なかには数百年前の原酒もあるという話で、こうした豊富なストックのなかから腕利きのブレンダーがヘネシー特有の味わいを常に生み出せるようにブランデー同士をブレンドしているのです。


ヘネシーがはじめたブランデーのランク付け

ブランデーといえばVSOP、ナポレオン、XOといった表記がされているものを見聞きしたことのある人もいることでしょう。


なかにはこれらをブランデーの名前そのものと思っている人もいますが、じつはこれはフランデーのランクを示す称号のようなものなのです。


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ブランデーのランクはメーカーによっても基準が異なりますし、必ず使わなければならないものではありません。


しかし、VS(スリースター)、VSOP、ナポレオン、XOのランクを使う場合は、規格として最低限どの程度の品質を保証しなければならないかは業界の決まりとして定められています


星の数でランクを示したり、高級ラインをXOと名づけることはコニャックの枠を超えて今のブランデー業界では当たり前となりましたが、じつはもともとはヘネシーが始めたことでした(ナポレオンやVSOPはまた別です)。


これだけで考えてみても、ヘネシーがブランデー業界全体の基準となるようなブランデー造りをしてきたことの証となっています。

ヘネシーの種類とそれぞれの値段・飲み方

ヘネシーVS

ヘネシーVSは昔はスリースターとして販売されていたヘネシーの最もスタンダードかつリーズナブルなラインナップです。


「グランド・シャンパーニュ」「プティット・シャンパーニュ」「ボルドリ」「ファン・ボア」の4区画の葡萄を絶妙にブレンドし、価格帯も2000円台とコニャックとしては非常に低価格帯におさえた商品です。

ヘネシーVSの飲み方

正直ストレートで飲んでオススメできるものではありません。


コニャックの代表とは言い難いボトルではありますが、手軽に手を出せる価格帯でカクテルのベースやロック・クラッシュアイスで飲むのにも使いやすいでしょう。


ご自宅で買うなら選択肢に入ってくる一本でしょう。

ヘネシーVSOP


ヘネシーらしさを感じるならこのVSOPからでしょう。このVSOPはグランドシャンパーニュとプティットシャンパーニュの葡萄だけをブレンドして作られる高級品(フィーヌシャンパーニュと呼ばれる)で、エレガントで繊細な味わいが特徴です。


辛口でヘネシーらしい嫌味のない澄んだ酒質が特徴で、すっと口から喉に通っていきます。


ブランデーは甘いという先入観のある人に「ブランデーの甘さとはじつに上品なものであり、ベタベタするものではない」ということを知ってもらうのにちょうどいいブランデーでもあります。


価格帯は8000円前後とVSOPの規格としては高価格帯ですが、ヘネシーらしさを味わうならここから始めたいところですね。

ヘネシーVSOPの飲み方

少し贅沢ですがおすすめはソーダ割りでブランデーハイボールにする飲み方です。


もし生のオレンジがあれば皮を削いで香りをつけてあげるとより華やかな印象に。


ストレートやロックにも耐えうる製品ですが、個人的にはソーダ割りが一番あうと思います。

ヘネシーXO


ヘネシーはランクが上がるごとに明確に味わいを変えてくるのが特徴です。XOは、VSOPの「葡萄の繊細な風味を活かしながら端麗辛口」というのとは打って変わって「芳醇でまろやか、甘みをしっかりと感じられる」一本に仕上げています。


基本となるVS、VSOP、XOのなかでは最もヘネシーらしいラインナップでもあり、長い歴史のなかで変わり続けてきたヘネシーの味わいのなかで最もベースとなる味わいに近い一本だと思います。

ヘネシーxoの飲み方

ぜひストレートでゆっくり楽しみたい銘酒です。


ご自宅で楽しむ贅沢酒に、贈答用としても喜ばれること間違いなしの文句なしの一級品だといえます。


チョコレートやドライフルーツのような甘さのあるおつまみとあわせてみましょう。

ヘネシーパラディ

次に紹介するリシャールと共にヘネシーのラインナップのなかでケタハズレの実力を秘めているのがこのパラディ(パラダイス=楽園)です。パラディはほかのブランデーメーカーでも使われる規格ですが、基本的にはXOよりもさらに高いところに位置づけされる最高級クラスのブランデーに与えられます。


ボトル一本で10万円近いためなかなか飲む機会はないですが、熟成25~130年の原酒を100種以上混ぜ合わせて生み出される芳醇かつ圧倒的な旨味はほかのブランデーメーカーの名だたる商品でも越えていけるものはほとんどありません。

ヘネシーパラディー

問答無用でストレートで楽しむべき銘酒です。


余計なことは考えずにこのヘネシーが過ごした時の流れを感じ取ってみてください。

ヘネシーリシャール

特別なラインナップを除き、現在のヘネシーのなかで最も高級なのがリシャールです。高級クラブなどのお店で提供されれば100万円近い値付けがされることもあり、ふつうにボトルで買おうとしても30万円近い価格になる規格外の一本です。


100年を越えた原酒が混ぜられていて、バカラが特別に作ったボトルに納められている名実ともにトップランクのコニャックです。

ヘネシーリシャールの飲み方

圧倒的なスケールの味わいですが価格も破天荒なのでなかなか飲む機会は訪れないでしょうが、飲める機会があるのであればストレートでそのまま飲むべきコニャックです。

ヘネシーの味わい

基本は芳醇で甘みがあるコニャック

ヘネシーに限らずお酒の味わいというものは歴史の長いブランドになればなるほど時代ごとに変化していきます。特にヘネシーのような大手のブランドになれば、自社の味だけでなく時代ごとの流行を味わいに乗せていかないとなりません。


しかしそうした流れと関係なく「ヘネシーらしさ」というものを語るとするのであれば、筆者はヘネシーに「まろやかで芳醇」な味わいを見出します。


比較的甘さも強く、万人に受けるようなわかりやすい味わい、飲みやすい味わいを目指しながらも、長期熟成のラインナップでは他のブランドには出せない圧倒的な深みのある味わいも表現できる実力を秘めています。


口に含むと芳醇な葡萄の香りが広がり、甘みをしっかりと感じられます。しかし決して濃口かと言われるとそうでもなく、飲み込むと上品な香りのみが口内に残り、液体自体はすっと喉へ落ちていくキレのよさもまた魅力で、雑味のないクリアな酒質が根底にあるといえるでしょう。


そうしたクリアな酒質のブランデーを、数多ある原酒とブレンダーの技とで厚みの味わいへ組み立てていくことができるのがヘネシーの底知れぬ味わいの秘密なのではないでしょうか。

昔と今のヘネシー、変化していく味わい

さきほども述べたように、お酒の味というのは同じメーカーでも時代ごとに変わります。


もちろん2つの時代に存在していたお酒を同じ条件で飲み比べることは不可能なので、そこには思い出補正もあるのかもしれませんが、筆者が昔に発売されていたヘネシーと今のヘネシーを飲み比べてみたときにも、そこには明らかな違いがあったと感じています。


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こちらは縁あって飲むことができた40~50年ほど前のものと思われるヘネシーのVSOPとナポレオンです。


VSOPは今のデザインと比べると随分と貫録があるのが分かります。逆に今のボトルはずいぶんとスタイリッシュになりましたね。ナポレオンは今現在のヘネシーのラインナップには存在しないVSOPとXOの間に当たる商品です。


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1960年頃のものと思われるスリースター。ランクが最も低いとは思えない濃い味わいだった。


じっさいに飲んでると、特にVSOPの方は今のモノと比較して違いがあるのが明らかです。味わいは昔のものの方が濃く、甘いのですが、今のものはボトルデザイン同様非常にスタイリッシュに仕上げられていて、おそらく現代ではこちらのキレのある味わいの方が万人受けするのかもしれません。


どちらが良い悪いではないですが、こうした時代ごとの味の違いを比べてるとじつにお酒の世界が深いものであると気づかされます。*1



価格は高いがオールドボトルも探せばまだ市場に出回っていることも・・・。

ヘネシーの味や種類とその値段|ブランデーの王様たる所以とは?のまとめ

ブランデーを代表する銘柄であるヘネシーですが、ひとくちにヘネシーといってもそのラインナップはさまざまであることが分かりました。


またブランデー業界に多大な影響を及ぼした歴史あるメーカーとして、知っておきたい様々な情報もチェックできたかと思います。


これを機にぜひヘネシーの芳醇な味わいに舌鼓をうってみてはいかがでしょうか。



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*1:ワインなどでは年代ごとの味の違いは当たり前のように認識されているが(そして造り手もそれを認めている)、ウイスキーやブランデーは基本的に味に違いはないと思われている(そして造り手もまた味の変化を認めないケースが多い。)しかし、これらのお酒でも時代ごとに味の変遷があるのは明らかだと思う。