フランスのブランデーであるコニャックには世界的に知られる5大ブランドが存在します。「ヘネシー」「レミーマルタン」「マーテル」「クルボアジェ」・・・そして「カミュ」。
世界中で愛されるブランデー「カミュ」は特に日本への輸入量も多く、私たちになじみの深いブランデーでもあります。お酒好きとしては知っておいて損はありません・・・ぜひこの機会にカミュというブランデーに対する見識を高めていきましょう。
本当においしいブランデーを厳選した「本当におすすめのブランデーを厳選!初心者にこそ試してほしい7本」もあわせてチェック!
奥深いブランデーの世界は有名ブランド以外にこそ詰まっています。
カミュの魅力と共に知ることで「飲む香水」と呼ばれるブランデーの魅力をあますことなく体感しましょう!
- ブランデーブランドのなかでも日本に馴染み深いカミュ(CAMUS)
- カミュというブランデーブランドの歴史
- ブランデー「カミュ」の特徴とは?
- より多くの人にコニャックブランデーを…カミュの魅力
- ブランデー「カミュ」の種類と値段
- まとめ
ブランデーブランドのなかでも日本に馴染み深いカミュ(CAMUS)
突然ですが実家や親戚の家のキャビネットなどにこのような瓶を見かけたことのある人はいませんか?
これは21世紀になる前、ちょうどバブル前後に流通していたカミュというブランドのナポレオンというボトルです。1989年以前、当時海外から輸入されるお酒の酒税が非常に高かった時代、国内で買えば30000円近いシロモノでした。
しかし海外の免税店などで購入すれば2割程度で買えたため、海外旅行や新婚旅行に行った際に当時の人達はこぞって洋酒を買ってはお土産にしたり自宅で楽しんだりしていたのです。
なかでもカミュは国内へ持ち帰られる事が多かった*1ようで、さまざまなご家庭のキャビネットに眠っているという話を聞きます。
こうしたこともあり、カミュは昔から日本にたくさん入ってきていたお酒のひとつでした。いまでは値段も下がり、バーなどでカクテルベースに使われることも少なくありません。
もし自宅で見かけたら、親戚の皆さんと一緒に封を開けて楽しんでみてはいかがでしょうか?直射日光に当たったりしていない限り、ブランデーは基本的に腐ることはありませんから、美味しく楽しめるハズです。
カミュというブランデーブランドの歴史
カミュがコニャックに誕生したのは1863年のことです。他の大メーカーもそうですが、いまや一大企業となった造り手も当時は零細企業・・・地道にブランデーを作っては細々と売る日々でした。
しかしなかなか思うように売れず、一時期は経営難に陥っていたそうです。そんななかでもカミュは家族経営にこだわり、家族一丸となってブランデー作りをして営業をかけ、少しずつその知名度を高めいきました。
カミュは大規模となった今でも会社自体は伝統的な家族経営を守り続けています(現当主は5代目とのことです。)。他のメーカーが大きくなるにつれ買収などを繰り返していく中で、あくまでもブランドを独立した形で守り続けるカミュは非常に珍しいといえるでしょう。
ブランデー「カミュ」の特徴とは?
自社生産原酒と買い付けた原酒を使い分けるカミュ
ブランデーメーカーには大きくわけて2つのタイプが存在します。自分で葡萄の栽培からブランデーを瓶に詰めるまでを一貫して行う生産者と、他所から原酒そのものを買い付けてブレンドしたり独自に熟成することで自社ブランドとして販売する生産者です。
一般的に知られている大規模なメーカーはほとんどが後者にあたる造り手で、カミュも基本的にはここに分類されます(これらの造り手をネゴシアンと呼びます)。
しかしカミュはネゴシアンのなかでは多くの自社畑を所有し、自分で一から栽培、醸造、蒸留、熟成した原酒も商品にたくさん使用しています。
特に特徴的なのはコニャック地方において決して最良とはされない土壌であるボルドリ*2に180ヘクタールもの畑を有している点です。カミュはこうした自家生産の原酒と買い付けた他所の原酒を混ぜ合わせることで独自の味わいを生み出しています。
カミュを特徴づけるボルドリという土壌
ボルドリは粘土質の石灰層で、ブドウが根を張る時に多量のミネラルを吸収します。また日照時間が短いことでベータカロテンを多く含む果実ができるのですが、これが醸造によってベータイオノンへと変換されます。
このような特徴により、ボルドリから生まれるブランデーはフローラルで複雑、それでいて優しい味わいになると言われています。
個人的にはボルドリ系のコニャックでもカミュはフローラル香はおさえめな印象ですが、まろやかな中にしっかりとした酒質を持っていて、ただ上品なだけでなく芯のある女性という印象があり、これはボルドリの原酒が豊富に使われていることに由来しているのかもしれません。
より多くの人にコニャックブランデーを…カミュの魅力
カミュはその長い歴史のなかで、ある種高級なお酒として認知されてきたブランデー、コニャックといったお酒をより身近で楽しみやすいものにしようと努力してきました。
たとえば三代目の当主であるミッシェル・カミュはより世界的にカミュのブランデーを楽しんでもらうため、免税店向けの販売を強化。これはじっさいに日本人にもカミュが手の届く範囲で買えるきっかけを作っています。
さらにリモージュ焼きやバカラのクリスタルボトルなど、容器に特徴を持たせてコレクター心を掴み、カミュというメーカーの名をコニャック業界から飛び越えたところで広げていきました。
リモージュ焼とタッグを組んだブックシリーズは1900年代後半から現在に至るまでカミュの代名詞的な存在としても語られている
4代目、5代目にかけては商品のラインナップを一層強化し、ライトなユーザーやコアなユーザーまでもが興味を示す新しい商品を世に送り出し続けています。
他メーカーと異なりカミュのラインナップは非常にコンセプトが明確でキャッチー、くわえてじっさいに飲んでみても分かりやすく親しみやすい味わいで、より多くの人にカミュ、ひいてはコニャックの魅力を伝えようとする製品が多数見受けられます。
ブランデー「カミュ」の種類と値段
カミュ VSOP エレガンス
カミュの最もベースとなるラインナップ。3000~4000円取扱店によって価格差はあるものの、同じメジャーブランドであるヘネシーのVSOPが8000円を越えてくることを考えると非常にリーズナブル。
ストレートで飲んで楽しめるようなお酒ではないですが、カクテルに使ったり気軽に飲むのには適したブランデー。カミュらしさが感じられるかというと微妙なので、とりあえずブランドバリューのあるコニャックを手軽に入手したい時以外にはあまりおすすめはしません。
カミュVSOP ボルドリ
同じVSOPでもこちらはカミュの特徴でもあるボルドリの葡萄のみを使用した逸品。ボルドリはコニャック全体の5%しか生産されない葡萄であり、その点においても非常に貴重。ボルドリの持つフレッシュで溌剌とした果実味を引き出した意欲作です。
その手間もあいまって通常のVSOPの二倍、およそ7000~8000円前後の値付けとなりますが、現在のカミュが表現したい味わいを理解するのに最も適した一本でしょう。
カミュ イルドレファインアイランド
カミュのシリーズはベースとなる「エレガンス」、特徴を最大限に活かした「ボルドリ」、そして変化球の「イルドレ」の3つを主軸に展開しています。こちらのイルドレシリーズはレ島という島の葡萄を活かして作られるシリーズ。レ島は小さな島で潮風の影響を受けやすいため、ブランデーに向かないと言われていましたが、その潮風を受けた葡萄をの個性を活かしたブランデーを作ろうとカミュが奮起。今や同ブランドを代表するシリーズになりつつあります。
潮の風味(ヨード)を感じさせる不思議な味わいで、こちらのファイアイランドは2000円台とカミュシリーズのなかでも特に安価。ソーダや水割ったり、ロックにしたりして気軽に楽しむ事ができます。
特別に潮風の強い場所で熟成する工程を経るクリフサイドセラー。イルドレの持つ個性をより強調した一本はぜひストレートで味わいたい一本です。
カミュXO ボルドリ
XOはエクストラオールドの略。コニャックの規格のなかでも高位に値するもので、非常に秀逸な商品が揃うところです。カミュはXOの名でエレガンスとボルドリという2種類を販売していますが、オススメはこちらのボルドリ。
VSOP同様にXOボルドリはボルドリの葡萄のみを使用したカミュの持つスタイルを前面に押し出した仕上がり。VSOPでは感じづらかったフローラルな感じや繊細で上品な甘みが非常にエレガンスで、まさしく「ボルドリとはこうあるべき」という味わいを表現しています。
先にも少し書きましたが、筆者はカミュにボルドリの個性を強く感じることは少ないのですが、XOボルドリはカミュのなかでは非常にボルドリの個性を反映していると思います。コニャックを飲みなれない方からある程度経験のある方まで挑戦してもらいたい一本です。
【オールドボトル】 レゼルブ エキストラ ヴィユー オルタージュ
自社畑の葡萄にグランド・シャンパーニュ等の原酒も混ぜて作られたカミュレゼルブ エキストラ ヴィユー オルタージュ。いわゆるオールドボルトと言われる一本ですが、カミュは生産量流通量が多かったためにまだ市場で見かけることができます。
お酒は時代に合わせて作り方や味わいを変えていきます。カミュも昔のモノと今のモノとを比べるとまるで別のお酒になっています。もちろんどちらが上か下かではないのですが、30~40年も前に瓶に詰められた(つまり蒸留されたのはもっと前です)お酒はどんな味を奏でるのか・・・。じつに興味深いところです。
筆者もカミュのヴィンテージは飲んだことがありますが、いまのカミュが繊細エレガントな感じ求めているとするならば、昔のカミュはもう少しどっしりとしていて甘みがあるという印象です。
モノは言いようで今のものは線が細く味が薄い、昔のものは厚化粧でわざとらしいともいえます。どちらが好みかは人それぞれといったところでしょうか。
まとめ
五大ブランデーのひとつ「カミュ」について、ブランドの特徴やラインナップをまとめてきました。歴史も古く、家族経営ながら画期的な戦略を打ち出していまなおブランデー界のトップに君臨するメーカー・カミュの実力をぜひ味わってみましょう。
合わせて読みたい記事
www.oishikerya.com
www.oishikerya.com