今コーヒー業界のトレンドとも呼ばれているコールドブリュー。コールドは冷たい、ブリューは抽出を意味する英語で、コールドブリューは冷たい水で抽出することを指しています。
そんなコールドブリューですが、水出しコーヒーやダッチコーヒーと違いがあるのかという疑問が生じると思います。
正直あるとも言えるしないとも言えるのですが、今回はそのあたりの微妙な線引きや定義についてまとめてたいと思います。
コールドブリューとは?
まずはじめに確認しておきたいのがコールドブリューとはニューヨークを中心に2015年ころからブームに火が付いたコーヒー業界のトレンドだということです。
冷たい水でコーヒー成分を豆から抽出することで、酸味や苦味といったえぐみにも繋がる味を取り出すことなくクリアでスッキリとした飲み口の冷たいコーヒーを淹れることができます。
できたコーヒーは熱湯から抽出した後に冷やして作るアイスコーヒーとは異なりカフェインも少なくなるため、カフェインレスを実践している人にもオススメできるということで近年のヘルシー志向の流れとも相まって業界が注目し、ブームを生み出していったと考えられるでしょう。
アメリカではもともと冷たいコーヒーを飲む文化はあまりありませんでした。そんななかで冷たいコーヒー文化として新たに定着したコールドブリューはニューヨーク発の新しいコーヒードリンクとしていくつかの特徴を持っています。
- スペシャリティコーヒーを使用する
- ボトルに入れて販売されるケースも多い
- スッキリ爽やかな味わいを目指して抽出される
アメリカをはじめコーヒー業界全体のトレンドになっているいわゆるサードウェーブ系の流れをくむコールドブリューは、スペシャリティコーヒー豆を使用し、抽出したコーヒーをボトルなどに入れて販売することで手軽に持ち運んで楽しめるようにしているお店も少なくありません。
日本でもボトル入りのコールドブリューが徐々に店舗に並びつつありますね。
サードウェーブ系のコーヒー豆は繊細で果実味を感じる華やかなタイプが多く、そのために焙煎度を少しおさえているためコールドブリューによって丁寧に抽出するとよりスッキリ爽やかな味わいながら、特有の甘みや軽やかな酸味を楽しむことができるのです。
水出しコーヒーとコールドブリューの違い
水出しコーヒーとコールドブリューに違いがあるのかというのは非常に難しい問題です。
コールドブリューという言葉だけを考えれば、それは水出しコーヒーと同じ意味だと考えられます。
しかし先ほど紹介したように、コールドブリューはもともと水出しコーヒーに馴染みの薄かったニューヨークで巻き起こったニューヨーク流水出しコーヒーなのです。その流行の背景まで考えるのであれば、今流行っているコールドブリューと日本で昔から親しまれていた水出しコーヒーには違いがあると考えるべきでしょう。
では実際にはどんな違いがあるのでしょうか?
深炒りか浅煎りか
日本の喫茶店などで親しまれてきた水出しコーヒーは焙煎度合の深いコーヒー豆を使ってビターでコクのある味わいが多いと思いますが、コールドブリューではスペシャリティコーヒーを浅煎りで使用することによってさわやかな果実感のある仕上がりを目指すことが多いのです。
ただ両者のこの違いはお店によっては逆転することもありえますので絶対的な違いとはいえません。
お店で飲むかテイクアウトか
もうひとつ違いを挙げるとすればボトル入りで販売することによる手軽さ。
喫茶店系の水出しコーヒーと違ってコールドブリューは店舗でそのまま飲まなくても持ち運びができる、もっといえば量販店への販売も視野にいれた新しいコーヒーのカタチでもあるのです。
もちろんこれも、喫茶店でも持ち帰りの水出しコーヒーを販売しているところがあると言われればそれまでです。
このような流れを考える、水出しコーヒーとコールドブリューは基本的に同じものですが、感覚的には別のものだといえるのではないでしょうか。
日本式の喫茶店で昔ながらの淹れ方で提供されれば水出しコーヒー、今風でキャッチーな(言い換えればニューヨーク流の、サードウェーブ調の)売り方をされればコールドブリューと呼ばれたりするわけです。
ダッチコーヒーとコールドブリューの違い
水出しコーヒーの別名ともいわれるダッチコーヒー。
このダッチコーヒーこそがじつは水から抽出するコーヒーの元祖であることは意外と知られていないかもしれません。
ダッチとはオランダのことを指すのでオランダのコーヒーと思いがちですが、じつはオランダ領であったインドネシアで生まれたコーヒーの飲み方です。
17世紀にそれまで主流だったアラビカ種のコーヒーの木が病気で壊滅状態になり、その代替として丈夫なロブスタ種の栽培が活発になりました。
しかしロブスタ種は非常にカフェインが多くえぐみも強いため、通常の淹れ方をしていては美味しく飲めません。
そこで考えられたのが水から抽出するという方法です。
考案したのはオランダ人だったそうで、そうした流れからダッチコーヒーと呼ばれるようになりました。
その後マイルドでスッキリした味わいを出せるダッチコーヒーは、ロブスタ種のみならずコーヒーの楽しみ方のひとつとして定着しました。
狭い意味でいえばダッチコーヒーはロブスタ種を飲みやすく飲むための淹れ方のひとつですが、現代においては水出しコーヒーと同義であり、同時にその起源でもあるわけです。
同様にコールドブリューもダッチコーヒーが元祖といえるでしょう。
コールドブリューとは?水出しコーヒー、ダッチコーヒーとの違いのまとめ
コールドブリュー、水出しコーヒー、ダッチコーヒーは基本的に指しているものは一緒です。
水からコーヒーを抽出することでコーヒーのえぐみをおさえてスッキリとした味を楽しめます。
しかし、日本の喫茶店における水出しコーヒーやニューヨークのコールドブリューはいずれも独自の進化を遂げて、それぞれの言葉にはそれぞれの流儀のようなものを含んでいます。
そういう意味ではこれらのコーヒーは似て非なるものであり違いがあるとも考えられますね。
要は飲む人の捉え方や販売者の売り方の問題なのですが、そのような文化的な背景も考えながら楽しむと、コールドブリューや水出しコーヒーをより楽しめるのではないでしょうか?
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コールドブリューはカフェィンに抵抗のある人でも楽しめる可能性を秘めたコーヒーです。
もちろんカフェインゼロとはいかないので本格的なアレルギーを持っている場合には避ける必要がありますが、ちょっとカフェイン苦手かも・・・という人であればチャレンジしてみる価値はあるかも?
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