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『杏仁』とは?本格杏仁豆腐に欠かせない食材|北杏・南杏の使い分けと杏仁霜との違いにも注目

杏仁


スイーツのなかでも好きな方が多く、コンビニやスーパーのスイーツコーナーにも常にラインナップされる杏仁豆腐。


その独特の香りが食べる人をやみつきにするデザートですが、あの風味はいったいどこからきているのかご存じですか?


杏仁豆腐を杏仁豆腐たらしめているのは杏仁(きょうにん)と呼ばれる食材。これを加工して香りを抽出することであの風味をおいしく楽しむことができるんです。


そんな杏仁。じつは通販などを利用して気軽に購入することも可能なんですよ。


本記事では杏仁豆腐好きなら知っておきたい杏仁豆腐の核となる杏仁について。またその杏仁を使った杏仁豆腐の作り方も紹介していきます。


杏仁とは?

杏仁(きょうにん)とはその名の通り杏子の仁のことです。これを加工したものが食用や薬用として使用されています。

杏仁



そもそも仁とは杏子に限らずあらゆる植物の種子のなかにあるものです。なかでもバラ科植物の仁は生薬や食用に利用されてきました。


ちなみにクルミやアーモンドは種子のなかの仁そのものです。クルミなどは殻付きのものを見たことのある人もいるでしょうから、想像がつきやすいのではないでしょうか?


杏仁は独特の香りを持っており、これが杏仁豆腐の風味を決定づけるものとなっています。

杏仁を使って作る杏仁豆腐はまさにホンモノの味と言えるだろう。


またその香りはお酒との相性もよく、アマレットと呼ばれるイタリアのリキュールの香り付けに使われていることでも有名ですね。


アマレットのなかでもとくに有名なディサノーロ社のアマレット。カクテルはもちろん製菓において香り付けで使われることも多い。杏仁やアーモンドの仁などから作られる。


じっさいにアマレットは杏仁豆腐のような香りがするので、手に入りづらい杏仁の代わりに手軽に杏仁豆腐を作るレシピとしてアマレットを使用するものも多いんですよ。

杏仁の種類

杏仁には甜杏仁と苦杏仁という2種類が存在します。


甜杏仁は南杏、苦杏仁は北杏とも呼ばれ風味や用途が異なるんです。

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杏仁は通販でも購入できる。



南杏
甘い香りがあり小粒。主に食用として利用される。


北杏
香りはほぼなく苦みが強い。南杏より1回り大きい。主に薬用に利用される。


杏仁豆腐を作るさいは南杏を使用するのが一般的ですが、南杏だけでは味に深みがでないことから本国では北杏を混ぜて使うレシピなども存在します。


しかし北杏はシアン化合物のアミグダリンが多く含まれており、日本では厚生省が食品としての使用を禁止しています。


そのためより安全に、よりおいしい杏仁豆腐を作るため日本では皇杏(龍皇杏仁とも)という杏仁豆腐のために作られた品種を使うことも多いんですね。



皇杏(龍皇杏仁)
杏仁豆腐を作るために作られたという杏仁。南杏よりも苦みが強く杏仁豆腐にコクを与えられる。


日本では食用として使えない北杏の代わりに南杏に皇杏をブレンドして使うプロも多い。


このように杏仁ひとつとっても種類や用途に違いがあることがわかります。


じっさいに杏仁を使って調理をしてみたいという方は日本では南杏か皇杏を使うようにしましょう。



南杏や皇杏にもシアン化合物は含まれますが、通常杏仁豆腐に使う程度の量で身体に害がでることはないので安心しましょう。


ただ杏仁豆腐に限ったことではありませんが、食べすぎには注意するにこしたことありません。


参考:「アーモンドプードル、アーモンドパウダー、アーモンドミール、アーモンドフラワーの違いは?」


南杏


皇杏

杏仁霜との違い

杏仁豆腐を本格的にご自宅で作ろうとすると、まず最初に選択肢としてあがるのは杏仁霜を使ったものです。


杏仁霜とは杏仁をはじめとして杏仁豆腐を作るのに適した香料などを加えて作った杏仁豆腐の風味の素のようもの。



これを使って寒天やゼラチンで固めたものが杏仁豆腐になります。


しかし杏仁霜は杏仁そのものの香りの劣化や変質を防いだり補ったりするためにどうしても香料や保存料などを添加しているケースが多いです。


杏仁霜もさまざまなメーカーが発売していますから、メーカーによる品質の違いや入手難易度も異なります。



なかには杏仁をほぼ使わずにアーモンドエッセンスなどで「杏仁豆腐っぽい香り」をつけただけのものもあったりするので、杏仁霜を購入するさいは原材料表示にも注目してみるといいでしょう。


もちろんそれでもじゅうぶんにおいしい杏仁豆腐を楽しむことは可能ですが、より本格的に他では(飲食店ですらなかなか楽しめない)絶対に味わえない杏仁豆腐を楽しむなら、ぜひ杏仁を使って一から杏仁豆腐を作ってましょう。


杏仁の使い方と杏仁豆腐の作り方

いっけんするとコレをどうやって杏仁豆腐などに加工するのか不思議な食材、杏仁。


その使い方について紹介しましょう。

杏仁の使い方

杏仁はそのままの形で使用されることはあまりありませんが、粉末にして焼き菓子や生菓子などのスイーツに加工したり、液体に香りを抽出して杏仁豆腐やドリンクに用いることでその香りを存分に楽しむことができます。



液状にする場合は水に杏仁を一晩漬け込みふやかしミキサーにかけてからキッチンペーパーや布巾で濾しとって使います。


杏仁のエキスがしっかりと染み出したエキスになりますので、これを杏仁豆腐のベースにしたり牛乳などで割って楽しむことができるんですよ。

杏仁を使った杏仁豆腐の作り方


材料


杏仁・・・・・・・・・・・・・40g
水・・・・・・・・・・・・・・150g
牛乳・・・・・・・・・・・・・150g
生クリーム・・・・・・・・・・30g
ゼラチン・・・・・・・・・・・4g
グラニュー糖・・・・・・・・・25g
アマレット・・・・・・・・・・5g



杏仁は南杏と皇杏を20gずつブレンドするとよりおいしい。
生クリームはなくてもよい。その場合は牛乳を35g加える。


水に一晩つけた杏仁をミキサーで砕き、布巾で濾しておきましょう。


40g杏仁と150gの水をミキサーにかけるとおおよそ120~130g程度の杏仁液がとれます。

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杏仁は水に一晩漬けておく。
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水に漬けた杏仁はミキサーで砕き清潔な布巾やキッチンペーパーで濾す。このような白濁した液体が得られる。香りをかげばすでに杏仁豆腐の香りがする。


120gの杏仁液と牛乳、生クリームをあわせて鍋でふつふつするまで温め、そこにグラニュー糖と粉末ゼラチンをすりあわせたものを加えてすぐに攪拌します。



粉末ゼラチンは単体で加えるとダマになりやすいので必ずグラニュー糖とあわせて混ぜておく。板ゼラチンを使う場合は事前にふやかしておく。


ゼラチンが解けたら鍋ごと氷水を張ったボールに漬けて液体を冷やします。別のボールに移してから行ってもいいです。


温度計があれば液体が20度くらいになるまで混ぜ続けてからアマレットを加えて攪拌します。



アマレットは杏仁に似た香りがあり、アルコールのふくよかさとプラスして杏仁豆腐の風味を高めてくれる。お酒が苦手ならいれなくてもよい。


入れる場合は揮発しないように20度程度になってから加えたい。


容器に移して冷蔵庫で半日ほど固めて完成。

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容器はお好みのもので。ドリンク用のグラスに入れても綺麗。


お好みでシロップなどをかけても美味しいですね。

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コチラは杏子のコンポートを作った時の残りのシロップを煮詰めてかけたもの。フルーツ缶詰の残り汁なども合う。

『杏仁』とは?本格杏仁豆腐に欠かせない食材|北杏・南杏の使い分けと杏仁霜との違いにも注目のまとめ

杏仁豆腐の味の秘密でもある杏仁。


これを使った本格杏仁豆腐をいちど食べたらもう既製品は食べられなくなってしまうかも?


ぜひこの機会に杏仁を取り寄せて豊かな風味を楽しんでみてはいかがでしょうか?