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ローリエとベイリーフの違いは?料理への使い方にも使い分けがある!

皆さんは料理のレシピ、特に西洋料理のレシピを見ているときに「ローリエ」というハーブの名前に出会ったことはないでしょうか?


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頻繁に見かける機会があるので、おそらく少し料理好きな方なら家にローリエをストックしている人も少なくないと思います。ではローリエに似た「ベイリーフ」というハーブのことはご存知でしょうか?


レシピによってはローリエとベイリーフが一緒のモノとして扱われているともありますが、厳密には日本で言うローリエとベイリーフは別のハーブです。


当然用途も違ってきます。ここではローリエとベイリーフの違いを料理への使い方、効能、香りなどの点から見ていくことで、それぞれのハーブに対する見識をより高めていきたいと思います。

ローリエとベイリーフの生物学的な違い

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ローリエとベイリーフはそれぞれ別の植物の葉

ローリエとベイリーフ(ベイリーブスとも)は販売者やレシピなどによっては同じものとして考えられていることもありますが、厳密には違うハーブです。まずローリエとベイリーフの生物学上の違いを確認しておきましょう。


  • ローリエはクスノキ科ゲッケイジュ属で月桂樹の葉っぱで主にトルコ産
  • ベイリーフはクスノキ科ニッケイ属の葉で主にインド産


クスノキ科の植物の葉であることに違いはありませんが、ローリエは月桂樹、ベイリーフはニッケイの葉なので全くのベツモノといえるでしょう。


ベイリーフという単語はローリエの英語(ローリエはフランス語)としても定着しているため、この記事でローリエと区別しているベイリーフはしばしば"インディアンベイリーフ"という名で区別されています。*1

さらにややこしいベイリーフの出自

さて、ローリエは月桂樹の葉というふうに覚えておけば簡単なのですが、ベイリーフについて詳しく調べるとコチラはさらにややこしい出自を持っているとが分かります。


ベイリーフは先ほど紹介したようにクスノキ科のニッケイ属の植物の葉です。しかしこのニッケイ属という植物がまた非常にややこしいのです。


そもそもニッケイ属といえば日本ではニッキ、つまりシナモンのことを指します。しかしシナモンとひとくちにいっても種類があって、ニッケイ属は大きく分けて「セイロンシナモン」「ニッケイ」「シナニッケイ」に分けられます。


厳密には異なる品種であるこれらの葉っぱを総じてベイリーフと呼ぶ場合もあれば、「シナニッケイ」にあたる「カシア」という植物の葉をベイリーフと指す場合、「ニッケイ」にあたる「シナモン」の葉をベイリーフと指す場合があるようです。


そもそもカシアやシナモンといった名称自体が非常に曖昧な存在で、特に「シナモン」という言葉はニッケイ属の品種をすべて網羅する名称として定着しているため、イメージとしてはシナモン(=ニッケイ属の植物の総称)のなかに「カシア」という種類があり、その葉っぱを本物のベイリーフと考える人もいるという感じになっています。


ベイリーフはニッケイの葉の場合はシナモンリーフ、カシアの葉の場合はカシアリーフなどとも呼ばれ、いずれもインディアンベイリーフ=ベイリーフと感考えられます。よほどのこだわりがあればシナモンリーフとカシアリーフは別のモノと言えるでしょうが、一般的にはどちらもイコールでベイリーフと考えていいのではないでしょうか?



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図にまとめるとこんな感じになります。

ローリエとベイリーフの見分け方

手元にベイリーフがないので筆者のつたない絵で申し訳ないのですが、ベイリーフとローリエは葉脈に注目する事で簡単に見分けることができます


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ベイリーフは葉脈が縦に走っていますが、ローリエは縦に一本の葉脈が走って枝分かれするように横向きに葉脈が出来ています。先述のとおり非常にややこしいローリエとベイリーフ。販売店によってはベイリーフいう名称でローリエを販売していることもありますが、これ自体も決して間違いとはいえないのがやっかいなところです。


名称というよりも、まずは見分け方を学ぶことで両者の違いを明確に把握しておくとよいでしょう。

ローリエとベイリーフの料理への使い道、香りや効能に違いはあるのか?

ローリエ

ローリエの使い方

ローリエは一般的に西洋の煮込み料理に多用されるハーブです。特にトマトとの相性が非常によく、トマトを多用するイタリア料理のレシピには頻出します。フレンチではブーケガルニと呼ばれるいくつかの香草を束ねたスパイスにも用いられます。


肉や魚の臭みけしとしてマリネして使われることも多く、西洋料理のレシピを注意深く見るとおどろくほど使われているのに気が付くはずです。


基本的には乾燥したものをホールで購入し、必要に応じてそのまま鍋に投入したり、ちぎってマリネに使います。粉末のものもありますが、苦みを強く感じるのと香り成分が飛びやすい(そのわりには使用機会が少ない)ので、特別な用途がない限りはホールを購入するとよいでしょう。

ローリエの香り

非常に清涼感があり、人によっては薬っぽい印象を受けるかもしれません。煮込み料理に使う場合は長時間煮込むとローリエに香りが支配されてしまうことがあります。そうなる前にお好みのタイミングで取り出してあげたほうがよいでしょう。


乾燥したものでも非常に強い芳香を放つため使いやすいハーブでもあります。

ベイリーフ

ベイリーフの使い方

ベイリーフは基本的にインド料理に使われるハーブです。はじめに油でスパイスを炒めて香りを移すテンパリングという技法があります。これはカレーの調理には欠かせない工程ですが、ベイリーフも調理初めに油や肉などとともに炒めて香りを移して使われるのです。

ベイリーフの香り

ベイリーフはローリエと比べると香りが軽くスッキリとした印象です。インド料理を作る人の中にはベイリーフは優先度の低いスパイスという人もいるほど、存在感はすごく強いわけではありません。そのためローリエと違って調理工程初期から香りを引き出しつつ、最後の煮込みまでずっと鍋の中に入れっぱなしでいることも多いですね。


香りの質も違うので注意が必要です。ローリエの香りはカレーをはじめとしたインド料理の中でも活かすことができますが、逆にベイリーフをローリエの代用で西洋料理に使うのはおすすめしません

ローリエの効能

ローリエがとれる月桂樹は、ギリシャ神話で太陽神アポロンに迫られていた妖精タフネがその身を護るために変身したものとされ、はるか昔からひとびとになじみのあるハーブでした。


精油成分としてリナロール、ミルセン、オイゲノール、シオネオールなどを含み、抗菌作用があるとして傷薬に使われたり防虫目的で使用されてきました。


ほかにもたくさんの効能が期待されていて、呼吸器疾患の緩和、食欲の増進、頭痛、リューマチ、関節炎、神経痛、胃痛に対しても効果があるといわれています。その多様な効能もあって昔から万能薬として親しまれていたんですね。


ただし通経作用もあるとされているため、妊娠中の方は接種を控えることが望ましいとされているハーブでもあります。頭に入れておきたいところですね。

まとめ

ローリエと(インディアン)ベイリーフの違いについてまとめてきました。同じように扱われているハーブとはいえ、厳密には異なる植物の葉であることがわかったと思います。


日本では(インディアン)ベイリーフを手にする機会は少ないかもしれませんが、本格的なインド料理にはぜひ使ってローリエとの違いを体感して欲しいですね。


これを機会にぜひローリエやベイリーフを使いこなしてみましょう。



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*1:ちなみにローリエは英語でローレルとも呼ばれていて、これがまた話をややこしくする原因となっている。この場合はローリエ(仏)=ローレル(英)=ベイリーフ(英)≠インディアンベイリーフ(=本記事におけるベイリーフ)ということになる