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胡椒の種類と産地の違い【黒胡椒、白胡椒、緑胡椒、ピンクペッパー】

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料理のスパイスとして欠かせない胡椒。主に使われるのは黒胡椒ですが、それ以外にも白胡椒、緑胡椒、ピンクペッパーとさまざまな種類があります。


ではその違いはどこにあるのでしょうか?ここでは意外と奥が深い胡椒の世界を覗いてみましょう。

胡椒の種類、その違いはどこにある?

胡椒には大きく分けて黒胡椒、白胡椒、緑胡椒、ピンクペッパーが存在します。じつはこのなかで一部のピンクペッパー以外はすべて同じ胡椒だということを知っていたでしょうか?


違いは加工の仕方にあるのですが、これによって色以外にも味や香りに違いが出てきます。まずは4種の胡椒の基本的な違いをおさえていきましょう。


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胡椒の分類を図に表すとこのようになる。

黒胡椒

最も一般的な胡椒といえば黒胡椒です。ご家庭で料理をするという人でも、よほど趣味性の高い料理をする人でなければ黒胡椒だけ揃えているという人がほとんどでしょう。それだけ汎用性の高い胡椒です。


熟す前の緑色の胡椒の実を収穫して乾燥させたもので、黒色で皮にシワがよっているのが特徴。胡椒の成分の多くはこの皮に含まれており、黒胡椒は皮をそのまま使えます。


辛味の主成分となるピペリン、香りの主成分となるモノテルペンを豊富に含んでいるため刺激的でさまざまな料理のアクセントに用いられます。


白胡椒

完熟した胡椒(完熟した実は赤色になる)を収穫・乾燥してから水にさらして皮を取り除くことで出てくる白い実のことを指す。別名ホワイトペッパーと呼ばれています。


皮を取り除くため芳香成分は黒胡椒より少なく、魚料理やホワイトシチューのような白色の料理に使われる事が多い胡椒です。白胡椒はその製造過程で独特の醱酵臭がまじることがあり、製品によってはこの香りがついてしまっているものも存在すると言われています。購入する場合は事前に味見をするか、信頼できるブランドのものを買うことをオススメします。


緑胡椒

胡椒の実は未熟な状態では緑色、熟すに従って赤色へと変化していきます。緑胡椒とは完熟する前の胡椒の実を収穫したものです。本格的に乾燥させると黒胡椒になってしまうため、短時間の乾燥を経て使われるか、塩漬けなどにして保存が利くように加工します。


爽やかな辛味と風味は一般的にスパイスとして使われる胡椒とは趣が異なり、具材として調理されたり、肉や魚料理に添えられたりして食べられます。


黒胡椒や白胡椒と異なり鮮度が重視されるため、その特性上日本で出回っているものは主に塩漬けや水煮などで加工された商品となっています。

ピンクペッパー

ピンクペッパーと呼ばれるものは以下のようにいくつか存在します。

  • ウルシ科のコショウボクの実
  • 完熟し赤色に染まった胡椒の実
  • ナナカマド、サンショウモドキなどの実

日本でいうピンクペッパーは一般的にウルシ科のコショウボクという植物の果実を指します。別名でポワプルローゼなどとも呼ばれ、鮮やかなピンク色が特徴ですが厳密にはコショウではありません。


胡椒のような辛味はなく、爽やかでフルーティーな風味が特徴です。製菓やカルパッチョに彩りと風味のアクセントとして使用されます。

胡椒の産地とその違い

胡椒はもともとインド原産のスパイスです。昔からインドにとっては重要な輸出産業のひとつで、昔は非常に高価な香辛料として高値で取引されていた時期もあったといいます。胡椒の持つピペリンが抗菌・防腐・防虫などの効果をもっているため、冷蔵技術の発達していない昔の料理にとっては今以上にその存在感を発揮していたのでしょう。


インド南西マラバル地方が原産地ですが、いまではインドネシア・マレーシア・ベトナム・スリランカ・ブラジル・カンボジアなど産地が拡大し、収穫される土地ごとの個性を感じられる嗜好性の高さも持ち合わせたスパイスです。


ここに挙げる以外にも世界中で胡椒は作られていて、なかには高級種で入手が困難なものも少なくありません。胡椒といってもその産地によってここまで味わいの違いがあることに驚く方も少なくないでしょう。

サワラク胡椒(マレーシア)

サワラク胡椒はマレーシア産の黒胡椒で、ピリっと辛味を感じる爽やかな風味が魅力。日本国内の黒胡椒も多くはサワラク胡椒だといわれています。

マラバル胡椒(インド)

マラバルは胡椒の原産地であるインド・マラバル地方の胡椒。

ムントク胡椒(インドネシア)

インドネシアのムントク胡椒。濃厚でかすかな酸味を感じるチーズのような香りが特徴。ホワイトソースなどに使いたい。

世界の胡椒の生産量

横浜税関によれば平成26年のデータ*1で世界の胡椒生産量の圧倒的な第一位はベトナムでした。続いてインドネシア、インド、ブラジル、マレーシア、スリランカが続きます。


日本への輸入で限ればマレーシア産が圧倒的に多く、続いてインドネシア、ベトナムが続きます。原産地であるインドからの輸入量は意外と少なく、その量はマレーシアの1/7程度となっています。

胡椒の成分

最後に胡椒の成分について少しだけ触れておきましょう。


胡椒は香り成分を精油として1~3%程度含有しています。主にα-ピネン、β-ピネン、l-α-フェランドレン、β-カリオフィレン、リモネン、ピペロナールといった精油によって構成されています。


辛味成分しては不揮発性エーテル抽出物(オレオレジン)に含まれていて、ピペリン、シャビシン、ピペリジンといったものが主な成分となっています。


胡椒を日頃使う上で、成分について考えることは少ない思いますが、こうした成分が絶妙に組み合わさることで胡椒に限らずすべての食材の香りや味わいは決定していると思うと非常におもしろいですね。

まとめ

胡椒とひとくちにいっても、その加工の仕方の違いや産地の違いでずいぶんと味わいが異なる嗜好性の高い香辛料だということがわかりました。なかなか胡椒を食べ比べることも少ないでしょうが、これを機会に胡椒についてより深く探求してみるのも楽しいかもしれません。


料理によって色の異なる胡椒を使い分けたり、産地の味の違いを楽しんだり・・・そこまでしなくても日頃使っている胡椒の産地に目を向けてみるだけでも胡椒への理解が深まります。ぜひお試しください。



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