世界にはさまざまなお茶が存在ますが、そのなかでも特に個性的な風味を持つといわれているお茶が中国にあります。
それが正山小種(しょうざんしょうしゅ)またはラプサンスーチョンと呼ばれるお茶です。
このお茶はフレーバティーの一種で非常に強い香りを持っています。
「繊細すぎてお茶の違いがわからない」という人もいらっしゃるかもしれませんが、このお茶に関してはどんな人に飲ませても確実にその個性を掴むことができることでしょう。
本記事では正山小種・ラプサンスーチョンとはどんなお茶なのか、その魅力と飲み方を紹介していきます。
- 正山小種・ラプサンスーチョンは正露丸のような香りがするフレーバーティー
- 正山小種・ラプサンスーチョンの歴史
- アールグレイと正山小種・ラプサンスーチョン
- 正山小種・ラプサンスーチョンの飲み方
- 正山小種・ラプサンスーチョンが買えるお店・通販
- 正露丸のような香りがする?正山小種・ラプサンスーチョンってどんな紅茶?のまとめ
正山小種・ラプサンスーチョンは正露丸のような香りがするフレーバーティー
正山小種・ラプサンスーチョンは世界のお茶に触れる過程で必ず耳にするお茶でしょう。
正山小種の現地読みが"ラプサンスーチョン"で日本語読みでは"りゅうざんしょうしゅ/しょうざんしょうしゅ"と呼ばれています。
このお茶は中国福建省武夷山で生まれ作られるフレーバーティーの一種です。
通常、フレーバーティーは花やフルーツを乾燥させたものを茶葉にブレンドして華やかな香りを演出します。
しかしラプサンスーチョンが個性的なのはこのように華やかな香りではなく、スモーキーなフレーバーを持っている点です。
このスモーキーなフレーバーの正体は茶葉を燻すことによって生まれる薫香です。薫香はクレオソートの香りに近いため、ラプサンスーチョンは「正露丸のような香り」とも表現されることも多いですね。
正山小種・ラプサンスーチョンの歴史
正山小種・ラプサンスーチョンはもともと武夷山の桐木村で現地に自生していた正山小種という種類の茶葉を飲む過程で偶然誕生したお茶だと言われています。
桐木村は標高が高く気温が低いため、お茶を発酵させる工程で温度が上がらず発酵がうまく進みませんでした。
そのため発酵を促すために人為的に温度を上げるために行ったのがたくさんあった松の樹やその葉っぱを燃やすという行為だったのです。
その工程のなかで茶葉に煙があたって薫香が付着した結果、薫香のする茶葉が生まれたんですね。
この薫香のするお茶は現地の人よりも海外の人、とりわけ欧米の人に好まれたため欧米向けの商品はより強い薫香がするタイプのものが多いのです。
じつはラプサンスーチョンの薫香は硬水(欧米の水は基本硬水)で淹れることで薫香が和らぐため、強烈な薫香をつけた商品は日本の軟水で淹れるよりも欧米の水で淹れた方がバランスがとれるように仕上げているんですね。
現在ではその特徴を強く打ち出すために出荷の前に着香のためだけに再度燻しの工程が加えられますが、現地向けの製品やマニア向けの製品ではこの工程をあえて行わず本来の正山小種の香りを楽しめるように薫香を抑えめにしたものも存在しています。
薫香の控えられた正山小種は竜眼やライチのような爽やかなフルーツ香を持つ美茶としてお茶好きの間でも評価が高く、高値で取引されることも少なくありません。
また市場に流通しているラプサンスーチョンの多くは桐木村の土着品種を使用せず、他の土地の茶葉に着香したもので外山小種と呼ばれ、多くの場合は生産自体も桐木村ではなく別の場所で行われています。
つまり現代のラプサンスーチョンには「①桐木村で伝統製法を用いて最低限の燻しのみで薫香を意図的につけていない正山小種」「②桐木村で伝統製法を用いて意図的に強く薫香をつけた正山小種」「③桐木村以外の場所で作られる外山小種」の3パターンがあると考えていいでしょう。
日本では薫香を意図的にたくさんつけたものをラプサンスーチョン、薫香を抑えめにした伝統的な作りのものを正山小種と呼び分ける人もいるので混乱することも多いかもしれませんが、基本的にこの2つは同じお茶を指しています。
アールグレイと正山小種・ラプサンスーチョン
日本でフレーバーティーというと圧倒的な知名度を持つのがベルガモットフレーバーが特徴のアールグレイでしょう。
おそらく紅茶に疎い人でもアールグレイくらいは名前を聞いたり口にしたことのある人も多いと思います。
じつはこのアールグレイ、正山小種・ラプサンスーチョンが原型になっているという話があるんです。
そもそも正山小種・ラプサンスーチョンは世界で初めて誕生したフレーバーティーとも言われていますが、当時の薫香の少ない竜眼のような香りがするこのお茶を飲んだイギリスのグレイ伯爵がその味に感動して作らせたのがアールグレイだったと言われているのです。
そうやって思いを馳せると正山小種・ラプサンスーチョンは今や世界に無数と存在する華やかなフレーバーティーの原型になっていると思うとよりこのお茶に興味が出てくるかもしれませんね。
しかも世界のフレーバーティーの元となったのは現在の正山小種・ラプサンスーチョンの特徴である薫香ではなく、正山小種・ラプサンスーチョンがもともと自然に持っているフルーツのような香りだったわけです。
正山小種・ラプサンスーチョンの飲み方
正山小種・ラプサンスーチョンを飲むときは個性的な風味を楽しむためにも、まずはストレートでそのまま楽しむのがおすすめです。
抽出時間やお湯の量は商品ごと、好みによっても変わってきますが、基本的にはフレーバーティーの一種と捉えて150ccに対して2~3g程度の茶葉を3分抽出がベースとなってくるでしょうね。
ストレートでその風味を存分に楽しんだら、アイスティーにしてみたりミルクティーも意外に相性が悪くありません。レモンスライスなどを入れて酸味を足してあげても楽しいですね。
あえて硬水で淹れて薫香を落ち着かせてあげるのも風味の変化があっておいしいですよ。
基本的に薫香のするものと相性がいいのでスモークチーズ、スモークサーモン、スモークナッツのような燻製料理との食べ合わせもおすすめ。意外にも和菓子との相性も悪くありません。
同じく正露丸のような香りがする飲み物としてはウイスキーのラフロイグをはじめ、スコッチウイスキーとあわせて楽しむのも通好みの楽しみ方かもしれませんね。
正山小種・ラプサンスーチョンが買えるお店・通販
ラプサンスーチョン自体は紅茶、フレーバーティーのなかではさほどめずらしいものではないため専門店であれば比較的簡単に買い求めることが可能です。
お茶類はメール便で送料が安いケースも多いので、身近に専門店がない場合は通販で購入するのがいいでしょう。
楽天市場やAmazonにもたくさんの種類のラプサンスーチョンが販売されており、特に薫香をしっかりつけたタイプのものは入手難易度も低いので価格や容量と相談して購入してみてください。
ただし日本の市場では伝統製法で作られる正山小種と外部で作られる外山小種が区別されていなかったり、薫香がどれくらい付いているかがわからない製品もたくさんあります。
また薫香をつけていない無燻タイプのものは入手も難しく、それなりにマニアックなお茶屋さんでないと手に入らない印象です。
購入するさいはなるべく詳細に説明が記されているショップをチョイスするとより質の高いラプサンスーチョンを楽しめるかもしれませんね(その分価格は高くなりがちなので、試しに飲んでみたいという方はそこまでこだわって選ぶ必要もないかもしれませんが)。
楽天でいうとマルメロさんなどは説明もしっかりとしていて安心できるショップのひとつです。
ちなみに燻製茶は日本でも生産されています。
富士山で作られる富士山小種をはじめ、探せばいろいろなタイプを見つけることができるのでこちらもあわせてチェックしてみましょう。
正露丸のような香りがする?正山小種・ラプサンスーチョンってどんな紅茶?のまとめ
正山小種・ラプサンスーチョンはお茶をおいしく楽しむために発酵を促す過程で偶然生まれた中国のお茶でした。
その副産物としてスモーキーなフレーバーがついたお茶はいまや世界的にもファンを獲得するフレーバーティーの元祖とも言われている存在なんですね。
ちょっと変わったフレーバーティーを楽しみたい方、燻製が好きな方に特におすすめしたい紅茶です。普段のお茶のラインナップに変化球として楽しむのもいいですよ。
ぜひ試してみてくださいね。
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