チーズの王様とも呼ばれる白カビ系チーズ・ブリー・ド・モー。
チーズ好きなら知らない人はいないチーズで一般的には初心者向きとされているチーズでもあるのですが、実は取扱いにポイントのあるチーズだと筆者は考えています。
そこで本記事ではチーズの王様・ブリー・ド・モーの食べ方、美味しいものの選び方について解説していきます。
チーズの王様ブリー・ド・モーとは?
ブリー・ド・モーはフランスを代表する白カビチーズです。もともとはフランスのイル・ド・フランス地方の特産品でしたが、今ではシャンパンで有名なシャンパーニュ地方やロレーヌなども含んだパリ東部で作られているチーズで世界中で愛されています。
大きさには個体差があるものの大きいもので直径37cm、高さ2.5cm、重さ3kg程にも及ぶ重量級。
世界中を見回しても白カビチーズでここまで巨大なものはそう多くはないはずです。
参考までに同じく白カビを代表するカンベールチーズが直径11cmほど、重さにして300g前後。
1814年に開かれたウィーン会議で執り行われたチーズの品評会にて最も優れたチーズに選ばれてから今日に至るまで、チーズの王様という異名を持つほど世界的なチーズとして食通を唸らせ続けているチーズでもあります。
1980年にはAOC(原産地呼称統制)を受け、伝統的な製法で作られたもののみがその名を冠する事が許されました。
類似商品として"ブリー"というチーズが出回っていることがありますが、これは厳密には"ブリー・ド・モー"の規格に則っていないチーズ。
もちろん"ブリー"の中にもちゃんとした作りの逸品は存在しますが、その多くはスーパーなどで安価に流通させるために作られた存在だと言えるでしょう。
ブリー・ド・モーは臭いがキツイものほどおいしい?
ブリー・ド・モーは日本において一般的にナチュラルチーズとしては食べやすくてクセがないものとして紹介されることも多いのですが、正直「本当にそうか?」と思う事もしばしば。
なぜなら美味しいブリー・ド・モーは概して香りも強く、チーズ特有のクセをしっかりと持ち合わせているから。
ブリー・ド・モーをはじめとした白カビチーズの多くは、表面に近い部分から中心部に向けて熟成が進んでいきます。
熟成が進むとトロトロの流動状になっていくことも多く、通の方であればこの状態を見極めて購入したり保存したりするのではないでしょうか?
トロトロのチーズと聞くと日本ではピザやグラタンのとろけるチーズを連想しますが、ナチュラルチーズのトロトロはどちらかというと納豆のネバネバが強烈になっていくイメージに近いです。
熟成が進めば進むほどクセは強烈になり、初心者向きの味わいではなくなっていきます。
ブリー・ド・モーの場合、熟成が進むと沢庵や大根おろしを連想させる発酵臭や刺激臭が現れ、その一方で旨味は凝縮されてコクを感じられるようになります。
白カビの部分も刺激が強くなり、舌に乗せた時にピリッと感じることもあるほどです。
状態の良いブリー・ド・モーの豊かなミルクの旨味、コクと塩気は品がよく、まさに嗜好品としてのチーズを体現しています。個人的には未熟なブリー・ド・モーは味気なく、食感だけブヨブヨしていて好みではありませんが、クセはほとんどないですね。
ブリー・ド・モーの食べ方
ブリー・ド・モーを通販やチーズ屋さんで購入した場合、このように絶妙に切りづらい状態で売られていることが多い。
ブリー・ド・モーの大元の形状から考えると仕方のないことなのですが、本格的なブリー・ド・モーになればなるほどいざ購入してもどう食べればいいのか悩む事も少なくないでしょう。
まず、ブリー・ド・モーやカマンベールのような円形の白カビチーズは外側から中心部に向けて熟成が進んでいきますので、外側と内側では味が違います。
カットする場合は外側と内側、両方が一切れに入るようにするのが基本。
ブリー・ド・モーを立てて矢印の方向に刃を入れ、外側から中心部まで入るように薄くスライスするのが基本です。
さすがにこのサイズになると綺麗にスライスするのは難しいと思いますが・・・。
ざっとこんな感じでスライスできると良いのではないでしょうか?
もしも臭いや舌に乗る刺激が気になるようでしたら、写真で示した外側の皮を取り除いてやるとクセが軽減して食べやすくなります。
よほど熟成が進んでいない限りは外皮を食べても問題はありませんのでこの辺はお好みで。
おいしさを維持するブリー・ド・モーの保存法
ブリー・ド・モーを買ったはいいけれど余らせてしまった場合の保存法についても見ておきましょう。
まず、買った時に透明のプラシートがついていた場合は捨てずにとっておきます。特に熟成の進んだトロトロのブリードモーはラップで直接くるむとラップにチーズが持って行かれてしまいます。
プラシートがあればプラシートを適宜カットしてチーズの表面(皮ではない部分)に当てて、その上からピッタリとラップをします。
プラシートが無ければ直接ラップで包みます。乾燥を避けるため、なるべくピッタリつけましょう。
チーズは温度変化や乾燥を嫌うので、少しでも負担を減らすためにあれば新聞紙でくるみます。
あとは臭いが冷蔵庫に移らないようにタッパーなどにいれて野菜室に入れておきましょう。
状態にもよるので保存期間は一概には言えませんが、思っているよりは保存が利くはずです。
まとめ
ブリー・ド・モーはチーズの王様と謳われるチーズです。
品評会で世界一になった時と比べれば他のチーズのレベルも格段に上昇しているでしょうから、今は他にも美味しいチーズは山ほどありますが、ブリー・ド・モーの持つ絶妙なバランス感覚を持ったものは少ないかもしれません。
チーズを極めたい、興味がある・・・という方はまずはブリー・ド・モーから。ぜひ熟成したものにもチャレンジしてチーズの奥深さを感じてみて欲しいですね。
なおチーズは同じ種類でも扱いによって味わいが大幅に変わる繊細な食材です。
そのため「どのお店で」チーズを買うかも最終的な満足度に大きく関係します。
スーパーなど冷蔵スペースで適当に保存されているものは避け、必ず湿度や温度を管理しているチーズ専門店から購入するようにしましょう!
近くに専門店がない方は筆者も御用達のオーダーチーズドットコムでお取り寄せもオススメ。種類も非常に豊富で、チーズ専門店といえどこれだけの品ぞろえがあるところはあまりないですよ!
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