春になると出回る食材「ホワイトアスパラ」。真っ白な外観のアスパラで、ほのかな青臭さと繊細な甘さを楽しめる春の味覚のひとつです。
流通量は少なく、スーパーなどで見かける機会は少ないですが、アスパラ好きの方であれば取り寄せてでも食べる価値のある食材だといえるでしょう。
そこで、本記事ではホワイトアスパラガスの楽しみ方を解説。おいしいレシピや茹で汁を無駄にしない茹で方のポイントを紹介します。旬の時期にはぜひ食卓に並べてみてくださいね。
- ホワイトアスパラガスの特徴
- ホワイトアスパラガスの味
- ホワイトアスパラガスの食べ方・茹で方
- ホワイトアスパラガスの保存方法
- ホワイトアスパラガスのおいしいレシピ
- ホワイトアスパラガスのおいしいレシピと茹で汁を無駄にしない茹で方のまとめ
ホワイトアスパラガスの特徴
真っ白な見た目が印象的なホワイトアスパラガス。通常の緑色のホワイトアスパラガスとは何が違うのでしょうか。
旬の時期・産地・栄養など、基本的な特徴と共に、ホワイトアスパラガスについて確認していきましょう。
ホワイトアスパラガスと緑のホワイトアスパラガスの違い
ホワイトアスパラガスとグリーンアスパラガスは、品種としては同じモノです。
そもそも、アスパラガスは南ヨーロッパを原産とするユリ科アスパラガス属の野菜。日本ではもともと輸出用に缶詰のホワイトアスパラガスが作られていましたが、1970年ころになるとグリーンアスパラガスが主流となりました。
ホワイトアスパラガスは、アスパラガスの発芽後に盛り土をしたり、専用のフィルムでハウスを遮光したりすることで、日光に当てることなく栽培しているのが特徴。日光が当たらないことで光合成が行われず、葉緑素が緑色にならないため白く育ちます。
近年では「パープルパッション」「はるむらさきエフ」など、アントシニアンが豊富なことで紫色をしたアスパラガスも登場。こちらは品種自体がアスパラガスと異なります。
ホワイトアスパラガスの旬と産地
ホワイトアスパラガスは春が旬の野菜です。主な産地は佐賀県で、1月から4月にかけて流通します。
続いて長野県や北海道も主要な産地として知られており、4月から6月にかけて、佐賀県産のモノと入れ替わるようにして流通します。
いずれの産地でも生産量はグリーンアスパラと比べる少なく、希少で高価な野菜というイメージが持たれている食材です。また、フランス・イタリア・ペルーといった海外産が、生・冷凍・加工品として出回っています。
ホワイトアスパラガスの栄養
ホワイトアスパラガスには、主な栄養素としてアスパラギン酸・ビタミンC・葉酸・サポニン・鉄分などが含まれています。グリーンアスパラガスと比べると全体的な栄養価は低く、日光に当たらないことからβカロテン、ビタミンE、ビタミンB群はとくに少なめなのが特徴です。
ホワイトアスパラガスは価格的にもグリーンアスパラよりも高い傾向にあるため、栄養面を気にして日常的に取り入れる食材というよりは、味を楽しむための嗜好品として考えるとよいでしょう。
ホワイトアスパラガスの味
ホワイトアスパラは全体的な味わいはグリーンアスパラと似ていながらも、よく味わうと違いを感じられる食材です。ふくよかな食感とやわらかい甘みが特徴。ドイツでは「白い黄金」、フランスでは「貴婦人の指先」と呼ばれることもあります。
グリーンアスパラに感じる青臭い香りはほとんど感じられず、非常に繊細な味わいの野菜だといえるでしょう。淡く白い色合いと共に、上品な味わいを活かした調理をして楽しみたいですね。
ホワイトアスパラガスの食べ方・茹で方
ホワイトアスパラは、下茹でして柔らかくしてから食べるのが一般的な食べ方です。
ホワイトアスパラはグリーンアスパラと比べて硬いのが特徴ですが、とくに根本の部分は火を通しても硬さが残るうえに筋張っています。そのため、まずは根本の方を手で持って軽く力を入れ、自然と折れる場所で硬い部分を折り取っておきます。
アスパラは時間が経つほど硬くなるため、鮮度のよいモノであれば折り取る必要がない場合もあります。
続いて穂先を残して、それより下の部分の皮をピーラーで剥きましょう。鮮度がよければ根本部分だけ剥くという選択肢もありますが、基本的には全体的に剥いてしまったほうが食感もよいのがおすすめです。
アスパラが全体浸かる大きめのフライパンなどを用意し、皮と根本を入れて沸騰させます。
アスパラを加える際は、はじめ1分ほど手で持ったまま根本だけを茹でましょう。そのあとは全体が熱湯に浸かるように浸して茹でます。茹で時間は太さや鮮度によって異なりますが、おおよそ5分~10分程度。5分くらい経ったらこまめに竹串などを指して、スッと刺さるまで加熱します。
茹で上がったら、氷水を張ったボールの上に別のボールを乗せ、アスパラと茹で汁を皮や根本ごと入れて冷やします。
すぐに冷やすことで余分に火が入って煮崩れるのを防げるのに加え、雑菌の繁殖を抑えてより衛生的に保存できます。
密閉容器で冷蔵庫に入れて保存すれば2~3日は保存が可能です。余った茹で汁はホワイトアスパラの繊細な風味が楽しめるダシになっているので、スープにしたりリゾットにしたりして利用するのがおすすめです。
下茹でしたホワイトアスパラはそのまま食べるほか、ソテーやパスタの具材としても利用できます。逆にソテー調理をする場合でも、事前に下茹でしておくことで崩れたり火の通りが不均一になるのを防げるので、どのような調理をする場合でも基本は下茹でをすると覚えておきましょう。
ホワイトアスパラガスの保存方法
購入したホワイトアスパラは調理するときまで乾燥することがないように新聞紙などでくるみ、冷暗所へ保存しましょう。
ホワイトアスパラはすぐに傷んでしまうことはありませんが、日が経つにつれて硬くなり風味も薄れていきます。そのため、できれば購入後2~3日で調理するのがおすすめ。下茹でしてからも茹で汁につけて冷蔵庫に入れておけば数日は食べられます。
一度、冷蔵したホワイトアスパラを茹でアスパラとして食べる際は、ポリ袋にアスパラが浸る程度の茹で汁と一緒に湯煎にかけて温めるのがおすすめ。ソテーしたりスープの具材にしたりと調理する場合は、冷えたままでも使用できます。
時間が経ってしまったホワイトアスパラは皮をしっかりと剥いてから長めに下茹でしてみてください。
ホワイトアスパラガスのおいしいレシピ
ホワイトアスパラガスにはおいしい食べ方・レシピが多数存在します。旬の時期にはレストランを中心に、プロの手がける魅力的なひと皿に出会こともあるでしょう。
なかでも、自宅で再現しやすくホワイトアスパラの代表的な料理といえるのが以下の2皿です。
- ホワイトアスパラのオランデーズソースがけ
- ホワイトアスパラのリゾット
この2つのレシピは、下茹での済んだホワイトアスパラがあれば簡単に作れるので、ぜひ試してみてください。
まずはシンプルにオランデーズソースをかけて
もっともシンプルで、ホワイトアスパラの魅力を引き出せる食べ方がオランデーズソースがけです。オランデーズソースとはフレンチで使われる伝統的なソースのひとつで、端的に言えば温かいマヨネーズです。
ボールに卵黄、塩、水、レモン汁を入れ、泡だて器でホイップしながら卵が固まらない温度まで湯煎にかけます。とろみが付いて白っぽくなってきたら、溶かしバターを少しずつ加えて乳化させて完成です。
詳しいレシピは「オランデーズソースのレシピ」で紹介しています。
茹でたての、または下茹でしてから冷蔵している場合は湯煎で温めたホワイトアスパラにかけて食べましょう。
茹で汁も無駄にしないホワイトアスパラガスのリゾット
ホワイトアスパラガスのレシピとして人気なのがリゾットです。イタリア料理店では春の風物詩ともいえるひと皿で、ホワイトアスパラ好きの人は毎年心待ちにしている人も多いのではないでしょうか。
一見難易度が高そうに見えるリゾットですが、ホワイトアスパラガスを下茹でした際の煮汁を取っておけば、思いのほか簡単に作れます。
ホワイトアスパラの皮や根本でとった茹で汁は思いのほか風味が強く、鶏ガラや魚介ダシなどのダシを用意せずに野菜ダシだけでリゾットとして成立します。
まず、鍋に玉ねぎをみじん切りにしてオリーブオイル大さじ1程度で炒め、透明になったら洗っていない米を入れて軽く和えます。大さじ1程度の白ワイン(なくてもよい)を入れ、アスパラの茹で汁も注ぎ、塩をふたつまみほど加えましょう。
沸騰したら蓋をして12~13分弱火で煮込みます。時間になったら蓋をとり、もう2~3分煮詰めながら味見をして米が好みの硬さになるまで加熱。煮詰まりすぎたら茹で汁を加えます。
適度な硬さになったら粉末のチーズ(パルミジャーノ・レッジャーノやペコリーノ・ロマーノが望ましい)とオリーブオイルを加え、ゴムベラや木べらでパタパタと混ぜながら乳化させて完成です。
パタパタと混ぜて乳化させることで空気が入り、リゾットの食感がふんわりとします。
好みで黒コショウを振ったり、温泉卵や生ハムをトッピングしても美味。感覚的にはおかゆを作るくらいの難易度で作れるので、ぜひ試してみてください。
ホワイトアスパラガスのおいしいレシピと茹で汁を無駄にしない茹で方のまとめ
ホワイトアスパラガスは、グリーンアスパラガスと同じ品種ですが、緑にならないように日光に当てず栽培されています。やさしい甘みと適度な食感、繊細な風味を楽しめます。
旬の時期が短く流通量は多くありませんが、食通の方にもファンの多い食材です。近場のスーパーなどで取り扱いがない場合は、ぜひ取り寄せて旬の味を楽しんでみてください。
比較的高級食材に分類されるので、ふるさと納税を使ってお得に取り寄せるのもおすすめですよ。