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若者の酒離れはホント?お酒に対する意識の変化とその原因は意外なところにあった!

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最近は若い人達がお酒を飲まないと言われていて、若者のお酒離れなどという言葉も聞かれるようになりました。しかしそれは本当なのでしょうか?筆者は若者のお酒離れを考える上で価値観・嗜好性の多様化お酒の嗜好化というふたつの要素を重視しています。


若者の間でお酒に対する意識がどのように変化しているのか。飲食店従業者や若者飲酒のデータなどを見ながら考えていきましょう。

最近の若者のお酒に対する意識と酒離れのデータ

総務省「全国消費実態調査」のデータによれば、近年アルコールの摂取量は多くの年齢において低下しており、特に20代の飲酒習慣率はここ10年程度で明らかに落ち込んでいます


このことからも、若者に限らず酒離れが進んでいるのは事実だといえるでしょう。その背景には健康志向や不景気、仕事などの付き合い方といったライフスタイルの変化があげられるはずです。


従来お酒の飲み方は良くも悪くも年長者が若者に伝えるものでした。その年長者自身もお酒を飲まなくなりつつある上、お酒を通したコミュニケーションの減少などが起これば、若者がお酒に接する機会が減り、結果的に統計上の酒離れを招くのは当然といえば当然だといえます。

嗜好化が進む若者にとってのお酒

いっぽうで、お酒に対する若者の意識は必ずしもネガティブなものではありません。付き合いや習慣化した晩酌といった、ある種固定的だった飲酒スタイルが廃れゆくなかで、お酒のあり方は近年非常に多様化してきています。


ビール、焼酎、日本酒が当たり前だった日々のアルコール飲料にワインやウイスキー、各種カクテルなどがシェアを拡大、ビールや焼酎のなかでもクラフトビールやプレミア焼酎などハイクオリティなものが展開され、お酒の選択肢は爆発的に増加しています。


各種メディアや酒販店、飲食店の働きでこれらの多様なお酒の存在はより身近なものとなり、特に流行に敏感でお酒に対してフラットな若者は自分の興味のあるお酒の分野に偏って楽しむ人も増えてきたように思うのです。


事実筆者がよく行くバーなどでも、20代の若者が高価なウイスキーなどを品を変えながら少量ずつ楽しんでいるのをよく目にします。それは1人や2人ではなく、実際にスタッフの方に尋ねても、珍しい高価なお酒をいろいろと試す人は若い人に多いと答えるほどなのです。


いっぽうでは居酒屋の400円のビールを高いといい、バーなんてもってのほか、お酒は付き合いで飲む程度(場合によっては付き合いでもノンアル)という若者もいます。しかし彼らは決して経済的に全く余裕がないわけではなく、ゲーム、アニメ、ファッション、音楽、スポーツ、カメラなど、各々に嗜好性の高い趣味を持っていることも少なくありません。


ここから見て取れることは実は単純で、お酒に限らず今のライフスタイルにおいては、各分野で嗜好化が進んでいるということではないでしょうか?

お金の使い道が多様化するなかで◯◯離れが目立つように

一昔前なら、大人になったら車を買い、酒を飲み、マイホームに憧れ、結婚し、年に数回旅行に行き、夏なら海は冬ならウインタースポーツへ行くのが当たり前でした。それは大人の習慣であり一種の儀式(イニシエーション)でもあったような気がします(たばこなどもその例のひとつでしょう)。


しかし最近は車に興味の無い人、住居にこだわりのない人、旅行やレジャーに行かない人が増えています。いっぽうでネットを使えば溢れる情報のなかから、自分が興味のあるもののみを手に入れて、より深く追求することができます


お酒も車も旅行も、今までは誰もが"浅く広く楽しむ"のが一般的で当たり前でした。それがある程度まともに働いて稼いでる人にとっての日常であり非日常でもあったわけです。


そうしたなか、より深くてマニアックな情報に簡単にアクセスできるようになったことで、限られたお金をどのように使うか、という選択が必要になりました。ある人は会社の付き合いを減らしてゲームをするかもしれませんし、ある人は日々のお酒をなくして一人旅のために常に資金を溜めているかもしれません。


お酒、読書、車、旅行etc・・・今、若者の○○離れと騒がれるようなものは少し前まではまともな大人であれば誰もが全てちょっとずつ手を出していたもの、やっていて当たり前のものでした。しかし趣味・嗜好の対象が多様化し、かつそこに使えるお金と時間にも限りがあるとなれば、こうした誰もが当たり前のように、でもなんとなくやっていたことから予算を削減するのは当たり前といえば当たり前です。


若者のお酒離れはこうした趣味嗜好の多様化、お金の使い道の多様化にも関係していることのように思います。だからこそ、逆にお酒に趣味嗜好を見出した人は、若い内から少し前まではお金持ちしか飲むことの許されなかったような高級なお酒を嗜むこともあるわわけです。

若者がお酒を飲まないは原因を考えれば一概には言えない

ここから見えてくれることは二つあるといえるでしょう。


まずひとつは「価値観が多様化した結果、お金や時間を割くものも多様化した」ということ。誰もが必ず興味を持っていたお酒、車、旅行といったものに必ずしも一定のお金と時間を割かなくなった結果、○○離れというものが起きたかのように見えますが、言い換えれば今まで周りがやってるからなんとなく続けてきた習慣がなくなりつつあるというだけのことなのです。


ふたつめは「お酒を飲むという行為自体が嗜好化していきている」ということ。価値観が多様化してお酒を飲むという行為が惰性で続く習慣ではなく、能動的に選びとる趣味になることで、お酒が本当に好きな人は若者でもお酒へ投資するお金や時間をむしろ増やす傾向にあります。


これは酒離れが叫ばれるいっぽうで、ワインバーや日本酒バー、ウイスキーバー、ビールバーといった専門性の高い飲食店が増えていることからも見てとれます。お酒を飲む人のなかにはこうした「良いお酒をじっくり楽しむ」という層の割合が増えてきているようです。

まとめ

若者の酒離れはたしかに起こっていることでしょう。しかし世間で騒がれるほど、これは深刻な問題ではないと筆者は思っています。お酒は飲みたいと思った人が飲めば良いものですし、無理強いして身体や精神を傷つけてしまっては人にも酒にもよくありません


お酒を提供する飲食店にとってはたしかに通り一遍のやり方で稼げる時代ではなくなっていくでしょうが、ちゃんと商品であるお酒に真摯に向き合える飲食店は継続していけるのではないでしょうか?厳しい言い方をすれば今ほどの数はいらないとは思いますが・・・本当に良質なお店だけが生き残っていけることを考えれば消費者にとってはいいのかもしれません。


お酒をひとつの趣味として考えた時に、年長者としてこれからの若者にはお酒の魅力や楽しさを良い形で伝えていくべきとも思います。閉鎖的な趣味と違って、"お酒"という世界は間口が広く開かれています。接する機会はたくさんあるはずですから、そうした機会を良い経験に変えてもらえるように、飲み手の先輩方は面倒くさくない程度に、後輩たちを魅力的なお酒の世界へ導いてあげて欲しいなと思いますね。