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熱中症対策におけるアクエリアス、ポカリスエット、OS-1の違い

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夏の暑さも厳しくなると毎年問題になるのが熱中症です。


クーラーを使ったり、こまめな水分補給、そもそも無理な行動をしないなど自己責任で行うべき対策は多々ありますが、それでも炎天下や蒸した室内などで活動せざる負えない人は少なくないでしょう。


そんな場面で手放せないのが塩分や水分をまとめて補給できる飲料。


特にスポーツドリンク二大巨頭のアクエリアスポカリスエットにはお世話になっている人も多いと思います。


ではこの2種類のスポーツドリンク、熱中症に際してどちらがより適しているのか、その違いはあるのでしょうか?そもそもこの2種類のスポーツドリンク以外に熱中症対策に有効なドリンクはないのでしょうか?


夏場の熱中症対策から風邪をひいた時の水分補給などで役立つドリンクについて考えます。


アクエリアスとポカリスエットはどう違う?

「水分補給にはポカリの方が適している」「アクエリは疲労回復にいい」など、スポドリ界の二大巨頭にはまことしやかな噂が絶えません。じっさいのところ、両者には違いがあるのでしょうか?


まずは両者の栄養成分を比べてみましょう。

ポカリスエットの栄養成分100mmlあたり
エネルギー27kcal、タンパク質・脂質0g、炭水化物6.7g、ナトリウム49mg、カリウム20mg、カルシウム2mg、マグネシウム0.6mg

アクエリアスの栄養成分100mmlあたり
エネルギー 19kcal、タンパク質 0g、脂質 0g、炭水化物 4.7g、食塩相当量 0.1g、カリウム 8mg、マグネシウム 1.2mg


比べてみるとその数値には微妙に差はあるものの両者は「生理食塩水を飲みやすく加工した清涼飲料水」であることは変わりありません。


アクエリアスについては公式でナトリウム量を明記せず、食塩相当量という言葉を用いているのがややこしいのですが、食塩相当量0.1g=ナトリウム約40mgです。*1

熱中症にはポカリ!は本当?アクエリアスはダメなの?


「熱中症や風邪には成分的にアクエリアスよりポカリスエットが適している」という噂は筆者の周りのみならず比較的全国的に知られている噂のようです。


ではそれは事実なのでしょうか?それを考えるために、まずは熱中症とその対策についてざっと改めてみましょう。

熱中症は水分補給とナトリウム摂取で対策する

そもそも熱中症とは熱中症ガイドラインによると「日射病、熱射病、熱性虚脱、熱性失神、熱性浮腫、熱中症、熱痙攣、 熱 疲 労、 無 汗 性 日 射 病」がそれに該当するとされています。要は熱によってさまざまな不調が出ることの総称のようなイメージなのでしょう。


またその対策としては水分・塩分・各種ミネラルの摂取が必要であるとされています。


単に水分だけでなくナトリウムを必要とするのは人間の身体(というか血液)は水分だけでなくナトリウムも必要とするからです。


水分のみ摂取するとナトリウムの濃度が下がるため、身体は水分を要求せずにむしろ排出してナトリウム濃度を一定に保とうとするため効果が不十分です。


そこで最も理想的なのは生理食塩水、つまり人間にとって理想の水分とナトリウムのバランスを保った液体を摂取する事ですが、これを飲みやすくかつ手軽に摂取できるのがアクエリアスやポカリスエットといった清涼飲料水だというワケです。



【アクエリアス】水分補給について学ぼう!


じっさいに深刻な熱中症にかかってしまった場合はともかくとして、日頃の熱中症予防としては心強いドリンクだといえるでしょう。

以前はアクエリアスは熱中症対策に適していなかった

さて本題に戻ります。アクエリアスは熱中症対策に適していないのでしょうか?


結論から言ってしまうと、今発売されているアクエリアスとポカリスエットであれば、どちらかというとポカリスエットのほうが適していますがその効果は誤差の範囲だと考えられます。


現在、熱中症対策のガイドラインとしては100mlあたり40~80mgのナトリウムを含んだ飲料水が適している・・・ということになっていて、アクエリアスもポカリスエットもこれをクリアしているからです。


ただしアクエリアスのほうがナトリウムの含有量は少なく、40mgギリギリという点ではポカリスエットのほうがより熱中症対策に適したドリンクだとは言えるでしょう。


ではどうしてアクエリアスが熱中症対策に適していないという意見が多いのか。


もちろんナトリウム含有量の差もありますが、じつはアクエリアスは以前までナトリウムの含有量がさらに少なかった時期があるのです。


http://trendy.nikkeibp.co.jp/article/pickup/20090709/1027661/?P=6trendy.nikkeibp.co.jp


上掲の記事によれば10年前はアクエリアスには100mgにつきナトリウムが34mgしか含まれていなかったようで、これでは熱中症対策しては適していないということになります。


おそらくそのような事情から熱中症に対してアクエリアスは心もとないという話が広がり、熱中症対策として適したドリンクになった今でもその噂が語り継がれているのでしょう。


熱中症や脱水への対策という視点だけて考えればアクエリアスもポカリスエットもガイドラインには適しているということになります。

いざ熱中症にかかってしまったらアクエリ・ポカリよりOS-1を推奨

さて、アクエリアスやポカリスエットは確かに熱中症対策として優れた清涼飲料水です。


事実、この手の飲料はこの時期医師によって直接推奨されることも少なくありません。筆者も以前熱中症で医者にかかったときに勧められたことがあります。


しかし対策していてもいざ熱中症にかかってしまったら、より効果的な大塚製薬のOS-1へ切り替えたいというのが本音でしょう。


OS-1の栄養成分100mmlあたり
エネルギー 10kcal、タンパク質 0g、脂質 0g、炭水化物 2.5g、食塩相当量 0.292g(ナトリウム115mg)、カリウム 78mg、マグネシウム 2.4mg、リン 6.2mg、ブドウ糖 1.8g、塩素 177mg


この飲料は電解質と糖質の配合バランスを考えて作られた経口補水液で、病人用と公式で明言されている通り、軽・中程度の熱中症はもちろん、感染性腸炎、感冒による下痢・嘔吐・発熱を伴う脱水状態などを含むあらゆる脱水状態において効果を発揮する飲料です。成分を見ても、アクエリやポカリよりもより成分濃度が高いことがわかります。


熱中症ガイドラインでもOS-1への言及がありますので引用しておきます。

熱中症の徴候を認めた際には特に塩分と水分が適切に配合された経口補水液(ORS:Oral Rehydration Solution)が適切である。
(中略)
我が国では経口補水液オーエスワン®(OS-1: 大塚製薬工場)が普及している。下痢や嘔吐などの症状を認めていても水分や電解質の吸収力を高める特性がある。


OS-1は基本的には予防用というよりは実際に熱中症になってしまったさいに役立つものですが、いざという時のために夏場は家に常備しておくのがオススメです。


発熱時に汗をかきすぎた時にも使えますから置いておいて損はありません。


アクエリやポカリは糖分が高い…日常の予防には麦茶も熱中症予防に

アクエリアスやポカリスエットは熱中症対策に適したドリンクですが、いっぽうで糖分を多く含んでいるというデメリットもあります。


手軽に購入できて飲みやすいという意味では非常に優れていますが、日常的にずっと飲み続けるのもあまりおすすめできません。


熱中症ガイドイランでも

予防という観点からはスポーツドリンクでの頻回な飲水でも問題ないが、スポーツドリンクは塩分量が少なく、糖分が多いことを認識しておく必要がある

とあるように、日頃の熱中症対策としていきなりスポーツドリンクに頼るのではなく、バランスのいい食事で塩分と発汗によって失いやすい各種ミネラルを摂取し、こまめに水分を補給することで熱中症になりにくい身体を作っていくことが大切です。


日頃の水分補給にはミネラルの豊富に含まれる麦茶もおすすめ。


コーヒーや緑茶、ウーロン茶は利尿作用も高いので、飲まないよりはマシですが熱中症に対する予防策としてはあまり適していません。


これに加えて適度に塩分を補給することでスポーツドリンクに頼らず熱中症を予防する事にも繋がるでしょう。


ミネラル麦茶は糖分もなく、別途塩分だけ適宜補給すれば日常の飲料としては非常にすぐれています。


外出先などでは塩飴が便利。こちらはブルボンから発売のミネラルも配合された塩キャンディ。糖分はあるので食べ過ぎは禁物。

塩分や水分はともかく、日頃の食生活に偏りがあると不足しがちなのが各種ミネラル。心当たりのある人は夏場だけでもサプリに頼るのもアリでしょう。この機会に一度日頃の食生活からミネラルが足りているかどうかを計算してみてもいいかも。

熱中症対策におけるアクエリアス、ポカリスエット、OS-1の違いまとめ

アクエリアスやポカリスエットはいずれも熱中症の予防として活用できるドリンクです。


若干なりともポカリスエットのほうが数値上は熱中症に効果的ととれなくもなさそうですが、ほとんど誤差の範囲内といって差し支えないでしょう。


じっさいに熱中症にかかってしまったら大塚製薬のOS-1のほうが適しており、日頃の熱中症対策には麦茶やバランスの良い食事で身体をしっかりと整えることが大切です。


また、はじめからスポーツドリンクに頼り切るのではなく、いろいろな選択肢を持ってシチュエーションごとに使い分けることで、長い目でみて健康的な身体の維持が出来るといえるでしょう。


*1:細かい説明は割愛します。詳しく知りたい人は「食塩相当量・ナトリウム | 栄養成分百科 | グリコ]」をどうぞ