四季折々のさまざまなフルーツを楽しめる日本において秋から冬にかけて楽しみたいのが洋梨。
洋梨といってまず思い浮かぶのはラフランスでしょう。日本での栽培量も多く、スーパーなど身近で目にする機会も多いかと思います。
しかしひとくちに洋梨といってもその品種は多種多様なのです。
そして品種が異なれば当然味も違います。
ラフランスしか知らないのはもったいない!ということで、今回はまだまだ生産量も少なく知名度も低いものの味わいは絶品の洋梨であるル レクチェをご紹介したいと思います。
幻とも噂される洋梨・ル レクチェとは?
数ある洋梨のなかでも今回ご紹介するル レクチェは主に新潟県で作られている品種です。
希少なル レクチェ
もともとはフランスが原産の洋ナシですが、1902年に日本に入ってきてから新潟県を中心に生産が行われています。
洋ナシの中でも栽培難易度が高いとされているため長い間少量しか生産されてこなかったル レクチェは一時、幻の洋ナシとさえ語られていました。
近年では栽培技術の向上により生産量はかなり増加しており、スーパーなどでも見かけるようになりました。
食べたことのある人や見かけたことのある人も増えてきたのではないでしょうか。
ル レクチェの見た目
一般的な洋ナシが緑色なのに対し、ル レクチェは熟すると鮮やかな黄色になります。
首にかけて細く長くなっている、いわゆる洋ナシ体型を強調したようなフォルムででこぼこが多いのも特徴です。
大きさは個体にもよりますがまだまだラフランスなどと比べると量産されていません。
高級フルーツとして扱われることが多いこともあってか、比較的大玉のものを見かける機会が多い印象です。
ル レクチェの味わい
ル レクチェの特徴はなんといっても完熟した際に表れる繊細かつ華やかな香水のような香りと甘みと酸味の調和がとれた上品な味わいです。
それだけで完成されたデザートのような食べ心地で、代表的な洋ナシであるラ・フランスと比べるとより洗練された印象でしょうか。
舌触りは非常になめらか。
一度食べたらその魅力に魅了されてしまう事間違いなしでしょう。
ル レクチェの旬の時期
洋ナシ全般の旬は9月ころから始まります。
オーロラやバートレットといった品種からはじまり、10月に入るとラフランスが出回り始め、ル レクチェが市場に出るのは11月も深まった辺りが一般的です。
洋ナシの中でも比較的旬の時期はかなり後の方で、ル レクチェが出回ると洋ナシの時期も終わりを迎えつつあることを実感できます。
ル レクチェの1個あたりの値段は?
ル レクチェの値段は販売されている場所や大きさにもよるので一概には言えません。
フルーツに強い青果店などで買えば500~800円程度、百貨店のフルーツ売り場などであれば1000円前後する場合もあります。
スーパーなどで売っている小玉のものは300円前後で買えることもありますが、後ほど解説するようにうまく追熟しないリスクなども伴います。
いずれにせよ洋ナシの中では高価格帯になります。
しかし、それに見合う味わいを持っていると言えるでしょう。
ル レクチェの食べごろ
ル レクチェは食べごろを見極める必要のあるフルーツです。
ここではどうやって食べごろを判断するのかを解説します。
洋梨は追熟が必要
ル レクチェに限らず洋梨が和梨と決定的に異なる点は追熟するという点です。
和梨はとれたてが一番おいしいと言えますが、洋ナシは収穫してから実際に消費者の口に入るまで1~2か月ものタイムラグがあります。
基本的には農家さんである程度まで追熟させますが、出荷前に食べごろにすると輸送中に果実が傷むリスクが増加する、売り場に並んで消費者の手に渡る前に腐敗する、人によって食べごろの好みが違うなどという理由から、売り場に並んでいる段階では食べごろになっていないことも多いです。
この場合は消費者自身の手で食べごろを見極める必要があります。
食べごろを逃すと実がかたすぎたり腐敗が生じていたりと、洋梨は食べごろの見極めが難しいフルーツでもあるため家で食べるのが敬遠される理由の一つにもなっています。
ル レクチェの追熟について
ル レクチェは高級フルーツとして売り出されることも多く、贈答用などの用途も多いからかラフランス以上に実が若い状態で売り場に並んでいるケースが多いように思います。
特に出回り始めの頃は購入して数日から一週間の追熟が必要なケースも少なくありません。
そのためか、ル レクチェのパッケージにはこのように追熟のポイントを記したものもみれられます。
この説明にあるとおり、ル レクチェの食べごろを見極めるポイントは以下の通り。
- 果実全体が黄色になっている(若いと黄緑がかっている部分がある)
- 甘くて繊細な香りが漂っている
- 軸部分がしおれている
- 軸周りが黒ずんで少しやわらかくなっている
- 果実全体にわずかな弾力が感じられる
個人的には特に1と4が重要だと思います。
2と3に関しては比較的早い段階からこの状態が出始めるため、必ずしもこれだけで判断するのは危険。
5に関しては慣れてないとわかりづらいというのがあります(判断がつけば5が一番確実な判断ポイントになります)。
全体がしっかり黄色くなっている個体
軸周りは大切な判断基準
旬も過ぎて終りが近づくとだぶついた在庫が放出されるため、たまに食べごろ~少し過熟な個体が出回ることもあります。
いずれにせよ個体をみてある程度食べごろを判断するコツを学んでおくことがル レクチェを最高に美味しく味わうためのコツだと言えるでしょう。
ル レクチェの具体的な追熟方法
フルーツの追熟の基本はあたたかい場所ほど追熟は加速し、寒い場所ほど追熟は進まないという点を理解してください。
ル レクチェの場合はビニール包装されている個体も多いのですが、買ってきてもビニールはかけたままにしましょう。
乾燥を防げますし、温度の急激な変化を少しでもおさえることで持ちを良くすることが出来ます。
ネットなどもあれば緩衝剤になりますのでそのままで。
黄緑がかっていたり、軸もまだまだキレイな未熟なル レクチェは室内の比較的温かい場所に置いて熟成を加速させます。
「あと少しで食べごろかも?」という個体はあえて涼しいところに置いて追熟をスローペースで進めます。
食べごろが近づくといっきに傷んでいくこともあります。
完熟状態はごくわずかしか保てないので、食べごろに差し掛かってきたら冷蔵庫に入れるなどして追熟をコントロールレしてください。
あまり分かりやすい例ではないのですが、左が食べごろで右があと2~3日くらい寝かせたい個体。軸のシワや軸周りの色に差があります。サビ(表面の黒っぽい斑点)が増えるのも特徴。
最も理想の状態になれば冷蔵庫に入れて冷やしてからカットして食べましょう。
同時に何個か完熟してしまった場合は冷蔵庫に新聞紙などでくるんで入れておけば、常温で放置するよりは食べごろを保てます。
いずれにせよ早めに食べるにことしたことはありません。
もし追熟をより加速させたいと言う場合は"湿度を高める(加湿状態では乾燥状態よりも果実の熟成が早く進むと言われている)""リンゴと一緒にポリ袋にいれておく(エチレンガスが果実の熟成を促進させる)"という方法も覚えておくと良いでしょう。
追熟するル レクチェの注意点
これはル レクチェに限ったことではありませんが、洋梨は比較的サイズにばらつきがあります。
量販店型のスーパーなどで売っているものだとかなり小粒のものもありますが、筆者の経験上では追熟系のフルーツは小さいと追熟がうまく進まないことが多い気がします。
これは、おそらく輸送中のダメージリスクや保管の方法に問題があるのではないかと思われます。
小さい粒の洋梨は量販店に回されるため、結果的に小粒の洋ナシは追熟がうまくいかないケースが多い?
個人的には追熟系フルーツ、中でも洋梨は美味しく食べたいのであれば多少高くても信頼のおける青果店や百貨店系のお店で買うか、通販などで直送で送ってもらうのが良いと考えています。
ル レクチェの食べ方・剥き方
ル レクチェの食べ方・切り方についてです。
まずは縦に半分に切ります。切ったら軸の部分は切り落としてしまいましょう。
続いて赤く印をつけた部分に沿ってくし切りにします。
くし型にカットしたら芯の部分を赤い線に沿って削いでいきます。
すると、こんな感じになります。あとは皮を剥くだけです。
今回は剥いてから食べやすいように三等分にしてありますが、そのままかじりつくのも贅沢ですし、もっと薄くスライスしてもいいでしょう。
まとめ
ル レクチェは洋ナシの中でも特異な存在です。
その香りの高さと食味の豊かさはフルーツの中でもトップレベルだと思います。
フルーツ好きで食べたことのないという方はもちろんてすが、ふだんあまりフルーツに親しみのない方にもぜひ食して価値観を変えて頂きたいフルーツだと言えるでしょう。
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