皆さんはブリアサヴァランというチーズを知っているでしょうか?
本格的なチーズは苦手・・・という人でもクリームチーズのような食べやすい味わいの中にしっかりとした素材の味を感じられるブリヤサヴァランならきっと好きになれるはず。さらに、チーズ好きにもいろいろな楽しみ方が提案できるチーズなんです。
チーズ初心者から上級者まで、さまざまな人にオススメできるブリアサヴァランとはどんなチーズなのか?アフィネとつくものとつかないものの違いは?その実態に迫ります。
ブリアサヴァランは究極のレアチーズケーキ
ブリアサヴァランとは?
まず、ブリアサヴァランとはどんなチーズなのかをみていきましょう。これはフランスのノルマンディーやブルゴーニュで作られている牛乳を使ったチーズで、基本的にはフレッシュタイプ*1のチーズになります。
ベースミルクにクリームを加え、脂肪分75%程度までとなったトリプルクリームと呼ばれるタイプで、なめらかで濃厚な舌触りが特徴です。熟成を経ていないため本格チーズ特有のクセや香りがほとんどなく、甘くないレアチーズケーキや濃厚なヨーグルトと評価されることもあり、多くの人におすすめできる本格チーズでもあります。
美食家ブリアサヴァランの名を冠したチーズ
名前ともなっているブリアサヴァランがじつは人物の名前であることはご存知でしょうか?
ジャン・アンテルム・ブリア=サヴァランはフランスの政治家であると同時に食通であったことでも有名。食事を学問としてとらえたブリアサヴァランは、現代においても語り継がれる『美味礼讃』という書籍を執筆したことで世界のグルメ史を通しても最重要な人としても位置付けられています。
食に興味のある人にとっては避けては通れない名著『美味礼賛』
そんな人物の名を冠したチーズはまさしくグルメのためのチーズ。さほど名が通っているワケでも、歴史が深いわけでもありませんが、知る人ぞ知る魅力にあふれたチーズで、なにより誰が食べても素直においしいと分かる素晴らしい味わいが魅力です。
ブリアサヴァランの食べ方、切り方
ブリアサヴァランは非常にやわらかいチーズです。カットするさいも力を入れずに、優しくナイフをいれましょう。場合によってはスプーンなどですくっても良いと思います。
今回は撮影のために少し薄めにカットしましたが、もっとケーキのように厚めにカットしてもおいしいですね。
食べ方ですが、このチーズはクリーム由来のリッチな風味にほのかな塩気、そして乳酸菌由来の酸味が加わって繊細ながらわかりやすい美味しさを感じられるチーズ。本格チーズにありがちな臭みや刺激はなく、デザートのような食べ心地が特徴となっています。
ただし、熟成を経ていないため単体で食べるには少し物足りなさもあります。そのため、カットしたブリアサヴァランにはちみつやジャム、リキュールを垂らしたり、フルーツを添えて一緒に食べるのがおすすめ。
はちみつをかけたブリアサヴァラン
イメージとしてはプレーンヨーグルトに味付けするのと同じ。こうすることでものすごくリッチなヨーグルトを食べているような感覚にもなりますが、チーズならではのコクとほのかな塩気がより複雑な味わいを生み出しているので明らかにヨーグルトとはベツモノ。
それ以外にもパンに塗って食べるのも最高に贅沢です。ドリンクでは紅茶やコーヒーはもちろんですが、白ワインや甘口ワインとの相性もバツグン。特にパークリングワインとあわせることで、爽やかなワインの味わいとチーズのコクが絶妙なマリアージュを生み出します。
ブリアサヴァランの保管
本格的なカビ系チーズは保存食の側面も持っており、しっかりと保管していればそう簡単に食べられなくなることはありません。いっぽうでブリアサヴァランをはじめとしたフレッシュチーズは基本的に保存を前提としていないため、なるべく早めに食べきることが大切。ものにもよりますが、おおよそ1週間強程度が目安になっています。
保存するさいにはコンテナ型の小さ目の保存容器にいれて野菜室で保存するのが良いでしょう。他のチーズと違ってフレッシュチーズは水気もつよいため、ラップで包む場合は定期的にとりかえて水気がたまらないように気を付けたいですね。
もうひとつのブリアサヴァラン
ブリアサヴァランと名のつくチーズはじつは2種類あります。いままで紹介してきたフレッシュタイプのものはブリアサヴァラン・フレ、このフレに熟成を施したものがブリアサヴァラン・アフィネと呼ばれています。
アフィネは白カビタイプのチーズで、フレと比べると本格チーズらしいクセのある味わいです(それでも白カビのなかでは食べすいタイプです)。その分、熟成に由来する旨味は強く、酸味が和らいでいます。コクのある味なのでお酒のおつまみとしても好相性。ウイスキーやブランデーなどともあわせやすいですね。甘みは足さずに、シンプルにパンにつけて食べる場合もアフィネのほうがオススメです。
どちらのブリアサヴァランもそれぞれの魅力が詰まっていますが、デザート的な使い方やクセのない食べやすさを求めるならフレッシュタイプのブリアサヴァラン・フレ、コクやクセ求めるのであればアフィネがおすすめです。
まとめ
濃厚な舌触りとクセの食べやすさ、それでいて確かにチーズの味を感じられるブリアサヴァラン。もはやレアチーズケーキなんていらない、完成された究極のレアチーズケーキといっても過言ではありません。
食事のお供に、デザートに、おやつに、お酒のお供に。ぜひ美食家の名のついたチーズを味わってみてはいかがでしょうか?
なおブリアサヴァランに限らず、チーズは同じ種類でも扱いによって味わいが大幅に変わる繊細な食材です。そのため「どのお店で」チーズを買うかも最終的な満足度に大きく関係します。スーパーなど冷蔵スペースで適当に保存されているものは避け、必ず湿度や温度を管理しているチーズ専門店から購入するようにしましょう!
近くに専門店がない方は筆者も御用達のオーダーチーズドットコムでお取り寄せもオススメ。種類も非常に豊富で、チーズ専門店といえどこれだけの品ぞろえがあるところはあまりないですよ!
*1:熟成させていない(熟成することを前提としない)チーズ