冬場を代表する柑橘のひとつ、デコポン。
基本的に一定の水準を超えていないとデコポンとして出荷できないためハズレの個体を引く可能性は限りなく低いフルーツ。
しかし筆者はどうもデコポンは食べる時期や保存によって味に変化が起きていると感じていました。
そこでデコポンの保存方法を試行錯誤して追熟させるという試みをすることに。
本記事ではそこから分かったデコポンの保存方法や賞味期限、ひいては追熟方法についての考えをレポートしていきます。
また本記事に書いてあることはデコポンに限らず基本的にすべての柑橘類に対して当てはまるといっていいでしょう。
フルーツの熟成・追熟
熟成というとみなさんは何を思い浮かべるのでしょうか?
たとえばお酒の世界ではワインの熟成については昔から認知されてきました。
最近では肉の熟成、魚の熟成と>熟成という言葉がグルメ業界では一種のブームのようになっています。
それと同時に食中毒問題の観点からも、熟成というキーワードは素人が安易に手を出していい領域ではないという意見も多く聞かれます。
なぜなら熟成というのは見方を変えれば腐敗へ至る過程を指すものであり、一歩間違えれば腐ったものを食べて身体を壊すことになってしまうからなんです。
そうした点を踏まえたうえで、今回はフルーツの熟成について焦点を当ててみます。
例えば桃や洋ナシ、キウイフルーツが固い状態から徐々にやわらかくなりしだいに食べごろを迎えるのは知られていますが、これも熟成です。
フルーツの熟成には大きく分けて収穫される前段階の熟成(成熟と呼んでもいいかもしれません。成長による味の変化ですね)と収穫後の追熟と呼ばれる熟成の2パターンに分けられます。
当然、前者の熟成は農家さんが各自で経験と知識とを総動員して行う熟成であり、私たち消費者は関与することは出来ません。
たまに商品名に゛木熟"などという言葉が入っているフルーツがありますが、これは木の上で限界まで熟成させましたと言うアピール商品です。
生産者や商品によっては、このようなことを記していなくても限界まで熟成させて出荷する人もいるなど、フルーツ業界における熟成という言葉もまた人や団体によるさじ加減で決まっています。
筆者も様々なフルーツを食してきましたが、「完熟させてあります」という売り文句でもあまり熟成感を感じないことも少なくありません。
結局は我々消費者が自己判断で購入してからのフルーツの最高の状態を見抜く意外に美味しいフルーツを食べる術はないということです。
そのためにはフルーツごとの食べごろの見極めや保存方法、熟成方法を理解する必要があるのです。
デコポンを食べ頃まで熟成させる
以前飲食店でデザート代わりに供されたデコポンを食べた時に感動したことがありました。
デコポンはそもそもが厳しい規定によって出荷時にチェックされている商品なので個体差も少なくどれも美味しい印象でしたが、その時食べたデコポンは明らかに異なる味わいでした。
お店の方にきくと「最善の状態になるまで自家熟成(追熟)させています」とのことで、これはぜひとも自分で再現してみたいとなったわけです。
というわけで今回はハウス栽培のデコポンが売り出されたころに買ったデコポンを熟成させることにしました。
ハウス栽培のデコポンは11~12月頃から出荷されるものです。
生産団体にもよるのですが、貯蔵性を高めるために皮も厚い個体が多いため追熟期間を長くとりやすいと考えました。
皆さんも追熟に挑戦されるさいはなるべく皮が厚くて硬いものをチョイスしてください。やわらかい個体はすでに食べ頃のピークを迎えている可能性が高いです。
デコポンの熟成期間は三か月
お店の人に聞いたところ、そのお店では「個体によって熟成期間は異なるもののおよそ1~2か月は寝かせておく」という話でしたので今回は三か月のスパンで熟成を試みることにしました。
そして三か月後、ちょうどハウス栽培物もそろそろ露地物に切り替わるというタイミングで新たに市場に並んだデコポンも購入して比較してみることにしました。
デコポン熟成の神秘
まずはその見た目からご覧いただきましょう。
こちらが三か月我が家で寝かせたデコポンです。
これだけ見ると普段からデコポンを意識して見ていない人にはピンとこないと思うので比較用に買ったばかりのデコポンと比べてみました。
その差は一目瞭然。
まずデコポンの象徴であるデコ部分がしぼんでいます。もっといえば全体的にしぼんでいるのが分かると思います。
触ってみると買ったばかりのものはハリがはり皮に硬さも感じますが熟成させた方は言ってしまえばブヨブヨです。
これはもはや腐敗しているのでは・・・という嫌な予感も感じつつ皮を剥いてみました。
中は普通です。グチョグチョになっているのでは・・・という不安もありましたが意外なほどに普通です。
しかし実自体もかなりやわらかくプヨプヨしています。例えるなら赤ちゃんのほっぺみたい。
「この触感、あの時食べたお店のデコポンに近い!」・・・・いっきに期待が膨らみます。
さっそく食べてみました。
まず熟成させていないものと比べて明らかに濃縮された味わいで甘みがすごく強い印象です。
加えて最大のポイントは白皮の部分がおどろくほどやわらかい。
デコポンは皮ごと食べられる柑橘ですが、ミカンほど白皮がやわらかくないので白皮がひっかかるときがあるんです。しかしこれにはそれがまったくない。
まさにあの時お店で食べたデコポンと同じ印象をうけました。
デコポンは熟成している
今回の実験は成功といっても問題ないでしょう。
しいていえば少し寝かせすぎたのかも、という印象はうけました。
寝かせすぎてたせいか甘みは限りなく強いのですが、酸味が飛び過ぎて野暮ったいと言うか、ほぼミカンに近い味になってしまっていたんですよね。
お店の人がいっていたように一か月から長くて二か月くらいの期間が良いのかもしれません。
今回の実験で果物が日々変化しているということ、その変化はちゃんとコントロールしてあげれば間違いなく味わいを深めることに繋がることがわかりました。
デコポンをはじめとした柑橘類の賞味期限と保存方法
長期保存も可能、賞味期限はあってないようなもの
今回の実験を通してもう一つ分かったことは、よく柑橘類の賞味期限とかでみかける「10日くらい日持ちする」みたいなのはなんの根拠もないということです。
柑橘類は収穫後の時間の経過によって酸の分解と乾燥によって水分が抜けていくという変化が起こります。
適度に酸が抜けて水分が飛んだ柑橘類はデコポンに限らず甘さが高まったように感じられ、かつ味わいも濃厚になります。
さきほどデコポンは熟成していると結論付けましたが、柑橘類は厳密な意味でいうところの熟成は起こらないフルーツです。
しかし今回の実験を通してより美味しく食べ頃に感じられるまでに変化していることは間違いないといえます。
柑橘とその他の果物の熟成の原理について詳しくは「果物の追熟の魅力|収穫したフルーツは熟成させられるのか?」をご参照ください。
みかんは買ったばかりより時間がたったものが甘いといわれていますが、これはこの原理によって引き起こされた結果です。
ただし、あまり酸味が抜けてしまうと柑橘特有のさわやかさがなくなり、バランスの悪い味わいになることも考えられます。
つまり柑橘類は甘さと酸味のバランスが整っており、かつかびや腐敗が起きていなければ数か月スパンでも賞味期限内だと考えることができるのです。
保存方法は適切に
ただし保存方法や環境が悪ければ味が整う前にかびてしまったり、腐敗してしまうこともあります。
今回はデコポンを風通しのよい場所で保管していましたが、こうした熟成には湿度や温度も密接に関係します。
特にデコポンをはじめとした柑橘類が旬となる冬場は乾燥が強く、暖房を常時つけている家庭も多いと思います。
なるべくエアコンが直撃せず風通しもよい場所に密集させずに置いておくことで味の変化をコントロールしながらカビや腐敗のリスクを減らすことができるでしょう。
乾燥しすぎていても湿りすぎていてもダメですし、暑すぎても寒すぎてもダメだと思います。
また段ボールに入ったみかんなどは下の方にあるものがカビていたりしますが、そうならないように重なった状態で放置しないようにするか、もしくは定期的に箱の中の柑橘をかき混ぜて空気を入れ替えるようにしましょう。
デコポンやみかんに保存方法や賞味期限はある?のまとめ
今回の実験を応用すれば価格的にはデコポンより安価な不知火をうまく追熟させてデコポンに近い味わいに持っていくことも可能だということです。
デコポンは不知火(品種名)のなかでも甘さが強く酸度が低いものに与えられるブランドネーム。
一般的には不知火のほうが価格も安く手に入れやすい。
デコポンより安価な不知火
こうした柑橘における一連の追熟は酸抜きなどとも呼ばれ、一部の柑橘では農家さんで当たり前に行われている作業です。
しかしより自分好みの味わいに近づけるためにご自宅で買ってきた柑橘を酸抜きして楽しむという方法を知っておくと、より柑橘を食べるときの楽しみが増えるのではないでしょうか。
デコポンをはじめとした柑橘は保存方法さえ意識すれば長期保存も容易でかつ味わいも変化させられることが分かりました。
皆さんもぜひ柑橘の保存方法を知って美味しく柑橘を楽しんでみてください。
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