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サントリーの新オールフリー系商品は透明なビール?市場末期を物語る

2018年5月8日、サントリービールは自社ブランドであるオールフリーから新商品の発売を発表しました。この内容が個人的になかなか衝撃的でしたので少し紹介していきたいと思います。


これはまさしくビール市場の行きつく先だったのでは・・・と思わざるを得ない斬新な発想にいろいろな意味でビックリです。


参考
http://www.asahi.com/and_w/interest/entertainment/CORI2111004.html
サントリー オールフリー ノンアルコールビールテイスト飲料

ノンアルコールビールテイスト飲料「オールフリー オールタイム」を6月発売

まずはニュースの概要をざっくりとまとめてみましょう。


  • サントリービールは自社ブランド「オールフリー」から『オールタイム』という新商品を発売
  • 発売は2018年6月18日。全国のコンビニ限定発売
  • 透明でペットボトル入り。ライムフレーバーを添加。
  • 商品名のオールタイムという字のごとく仕事中にも飲める商品を目指した


捕捉として「オールフリー」ブランドは2018年の1~4月で対前年106%となる185万ケースを出荷。物を安易に買わないとされる時代において、これだけ大規模な市場を持つ商品の売れ行きが上がっているのは珍しいかもしれませんね。

ノンアルコールビールテイスト飲料「オールフリー オールタイム」どこから突っ込む?

上述のニュース概要を見て頂くと、いろいろと突込みどころを感じて頂いている人もいらっしゃると思います。安心してください、筆者がこれからちゃんと(?)代弁していきます。


ということで今回のニュースリリースについて感じた突込みどころを整理してみたいと思います。

透明でライムフレーバー・・・それってそもそもノンアルといえどビールなの?

まずはコチラ。今回の商品は「麦芽量をおさえて色味を透明にする一方で、ホップやらなんやらと高いガス圧を用いてビール風の味わいを表現しました」ということですが・・・果たしてコレはビールといえるのか。ノンアルといえど、ということ。


確かに日本の大手ビールメーカー、特にサントリーはノンアルビール市場を牽引してきた存在で、年々そのクオリティが上がっているのは事実ですが、従来はアルコールを含まないながらも味わいだけはビールに近づけることに腐心してきたはず。しかし今回、ビールたる様相を捨てて全く新しい何かを生み出そうとしています。


麦芽量を減らして色を透明にし、ライムフレーバーをおそらく人工的に添加して、炭酸を注入して、ペットボトルにいれてって・・・それはただの清涼飲料水なのでは?麦芽風味の清涼飲料水なのでは?サイダー麦味なのでは?

常に新しいモノを生み出し続ける姿勢は大切ですし素晴らしいのですが、これをノンアル"ビール"として売り出そうと踏み切るのは純粋にすごいなぁと思いますね。たぶん他の小さなメーカーがやったら話題にもならないレベルなのではないでしょうか。

オールタイムは仕事中も含む!どんな時もビール風飲料が飲みたいビール中毒者は必見

今回の商品名はその名もズバリ「オールタイム」。そう、ランチ中でもデート中でも、はたまた会議中でも飲んでほしいというのがサントリーの狙いのようです。気兼ねなく飲めるようにするための透明感とペットボトルなんですね。


さて、いろいろと突込みどころはあるのですが・・・まずランチや会議中にビール(ノンアル含む)を飲みたいと感じる人が今回の商品をビールとして飲んでくれるのだろうか・・・。


いや、分かります。売り手からすればこの商品がノンアル"ビール"として売れなくてもいいんでしょう。


「明らかにビール的な見た目のノンアルビールを昼間から飲むのは気が引ける・・・だったらそれに近いなにかで代用しよう。コーラ飲むよりはビールに近い」


こういう流れを狙っているんだと思います。きっと。売れてしまえばそれがビールとして飲まれているかどうかなんて関係ないですからね。


日本は欧米などと違って昼酒に対しては冷ややかな目が浴びせられます。これはいろいろ事情があって仕方ないとは思うのですが、昼酒に対して冷ややかな目を浴びせている人って「昼からお酒を飲んでるのはオカシイ」ということはもちろんですけど「まだ昼なのにお酒を飲みたいと思っているのはオカシイ」っていう発想も持ち合わせてるんだと思うんですよ。だからノンアルビールを飲むこともはばかられる。


それを考えると形を変えて色を変えても、ノンアルビールと謳う以上は堂々とは飲めないのではないか?とも思うのですが・・・。ここまでビジュアル的に清涼飲料水だと、そもそもこの商品のことを知らなければ気づかれないというのはあるんでしょうけど。

そもそもノンアルビール市場が伸びていることが不思議

筆者もビールをはじめお酒は大好きですが、ノンアルビールってそもそもどの層に需要があるのかわかってないんですよね。


ビールって(というかアルコール全般)アルコール感あってのものであって、それがコクのようなものにも繋っていますよね。だから味そのものをノンアルで飲んでまで求めようとは思えないんです。


そうなるとノンアルビールを飲む人の気持ちがイマイチわからない。いわば麦ジュースですからね。だったらコーラ飲むかなって感じです。


でもそんな思いに反してノンアルビールの人気は市場が証明してしまっているワケです。周りに飲んでいる人がいないからなおさら不思議に思ってしまう・・・いったいどこで消費されているのだろうと。

ビール市場が成熟した証ともとれる・・・のか?

さて、今回の「オールフリー オールタイム」のニュースリリースを受けて、筆者はビール市場がいよいよ成熟したなと感じたわけです。


キリン一番搾りやプレミアムモルツといった昔からあるタイプのビール、発泡酒や第三のビール、クラフトビール、ノンアルビール、そしてペットボトル入りの透明なノンアルビール・・・もはやビールという形で存在し得る限界のところまでビールはきてしまったんです。


ノンアルビールは基本的にはなんらかの事情でお酒を飲むことができない場面で、せめてビジュアルや味だけでもビールを楽しむための飲料ですが、さすがに仕事中にのもうとは思えないシロモノでした。


しかし、今回発売される「オールタイム」は販売元からもランチや会議中をはじめとしたさまざまなシーンで気軽に楽しんでもらいたい、ということで、姿形まで変えてきたうえでビールを名乗ろうとしているのです。


果たして市場や消費者はこの商品をどのように受け入れていくのか・・・大袈裟にいえばビールとはいったいなんなのかを問いかけるビールの真理に迫る新商品「オールタイム」の発売を注目したいと思います。

まとめ

ここまで書いてきて思い出しましたが、そういえば「ジーマ」なんかは今でこそカクテル風味ドリンクのような位置付けになっていますが、もともとはアメリカ生まれの無色透明のビールとして売り出されいたんですよね。


アメリカでは不人気でテイストを大幅に変更したリキュールベースのものが日本で爆発的にヒットしたわけですが・・・果たしてノンアル版ジーマとも呼べそうな「オールタイム」はどんなものなのか・・・筆者も怖いもの見たさでコンビニへ走ろうかと考えています。


皆さんも機会があればぜひチャレンジしてみてください。





www.oishikerya.com
最近のビール系商品のなかではなかなかの完成度だった本麒麟の記事もあわせてドウゾ。