おいしけりゃなんでもいい!

身近にある美味しいものを探したい。おいしけりゃ、なんでもいいんだけれど。

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ワインサロンまで展開する漫画「神の雫」が面白いので読んでみてほしい

ワインといえばそのマニアック度から数多のスノッブを生み出しているお酒の分野としても有名ですが、その話題に事欠かない点から作品の題材としても多く利用されています。


今回ご紹介する漫画「神の雫」もそのひとつ。ワイン関係の方からも賛否両論巻き起こる同作ですが、ややこしいワインスノッブはスルーしてもこれが読んでいて色んな意味で面白い作品なのです。


というワケで今回は漫画「神の雫」の魅力に迫っていきたいと思います。

ワイン業界に影響を与えた漫画「神の雫

ここ10年前後でもっとも業界に影響を与えた作品いえば漫画「神の雫」。


その影響力ははかり知れず、作中で取り上げられたワインは市場から姿を消すこともしばしば。連載開始から10年をとうに過ぎている現在でもワインショップや酒屋で「神の雫掲載ワイン」を恭しく掲げているほど。


長寿化しやすい傾向にあるグルメ漫画の例にもれず、44巻で第1部を完結させたのちに最終章と称した続編が連載中の同作。いまではワイン業界に多大な影響を与えた作品としてフランスでも評価を得ています。


あらすじとしては、世界中のワイン業界に影響力を持つ作中最強のワイン評論家にしてワイン愛好家・神咲豊多香を父に持つサラブレット主人公・神崎雫が、豊多香に養子に迎えられていた気鋭の天才ワイン評論家・遠峰一青と残された遺言のもとに彼のセレクトした十二使徒とその上に君臨する神の雫なるワインを探すバトルを繰り広げるというもの。


天才とサラブレットによる対決ですからそれはまさに常人には理解できない領域になること必至。この常人には到底理解しえないワインバトルが一周まわってワイン初心者である読者に親しみやすさを与えることになっている・・・というのは作者の意図した通りなのかは分かりませんが、ここからは個人的に神の雫がワイン初心者にとっても単純におもしろいグルメ漫画であるということについて語りたいと思います。

ココが面白いよ「神の雫

スケールの大きすぎるワインの表現

主人公とライバルによるワイン対決は遺言に残された各々のワインが与えるイメージをヒントに12本+1本のワインを探し当て、かつ的確にテイスティングし表現したどうかによって勝敗が決められます。


主人公達はこの選ばれたワインを探す過程でさまざまなワインと出会い、また目的の一本を見つけだしていくわけですが、その表現がとにかくすごい。


確かにワインの表現と言えば「濡れた犬の香り」とか「猫のおしっこ」といったような「それどこで嗅いだんだよ」という表現が使われる事で有名ですが、現実のテイティングにおいてこれらの表現は規格化された表現で、どのような場面で使うかは実はほぼ明確に定まっているものなのです。


それはつまり、ある音を聴いて「この音階はなにか」、と伝える時に「ファの#」と表現するのと同じような記号表現に近いワケなんですね。


しかし、そこは漫画の世界。神の雫において彼らが表現するのはそんな決まりきった記号表現ではありません。


たとえば第一の使徒を巡る戦いにおいて、主人公・神崎雫は第一の使徒「シャンボール・ミュジニー・レ・ザムルース/ジョルジュ・ルーミエ 2001」を以下の様に表現します。

2匹の絡み合う蝶はどこか謎めいていて・・・・ 捕まえられる 今なら― ああ 行ってしまった・・・・・
でも俺は自分から近寄っていけた ただ遠巻きに眺めるだけでなく 想像の翼を広げてこの光景の中に舞い降りることができた―
神の雫」 第6巻


と、このように一本のワインからここまでの表現を得ています。
一応解説しておくと第一の使徒である「シャンボール・ミュジニー・レ・ザムルース/ジョルジュ・ルーミエ 2001」、この2001年とは必ずしもブルゴーニュワインにとって恵まれた年ではありませんでした。


しかしだからこそ人の努力・工夫が介入する余地があった。第一の使徒は天に一方的に与えられた自然と完成されたワインではなく、人の手が介入した痕跡を感じさせるものであったということをこの雫の表現は示しているのです。


ちなみに作中最強の評論家であり遺言を残した本人である神咲豊多香はこのワインをこのようにして表現しています。

深い森の奥に佇む泉に舞うつがいの蝶

私は原生林に覆われた深い森の中を彷徨っている 苔生した木々から湿り気を帯びた生命の香りが漂う中
癒やしを求めて森の中を目指して歩く ふと目の奥に差し込む一条の光に私は気づく
森の中にあるはずのない花や赤い果実の香り 胸に手を当て逸る心を納めながら歩美を速める
不意に森が開け 奇跡のように湧き出した澄みきった小さな泉 砂漠の中のオアシスのように澄みきった水に手を浸し
そっと上澄みを口に運ぶ なんという甘さ なんという気高さ
自然の恵みがもたらしたこの豊かさは 人の手の及ばぬこの処女地にこそふさわしい
おお見よ あの絡み合うふたつの菫色の蝶たちを! この泉はお前たちの聖地なのかもしれない


うーん。壮大過ぎるスケール。一本のワインからこの風景を感じとる豊多香もすごいですが、この遺言から一本のワインを見つけ出す主人公たちのすごさは改めて身に沁みます。


まさに詩的世界。神の雫はワインの持つ詩的で芸術的な側面をこれでもかというほど強調した作品なのです。すごい。


ちなみに作中で登場するワインの別ビンテージ。さすがは選ばれし使徒だけあり、なかなかのお値段ですね・・・。

グルメ漫画のお約束、ワインが人の人生を変える

作中に登場する人物はすべからくワイン好き、もしくはワインを好きになる運命にあります。初登場時はワインを嫌っている人物も雫や一青の影響でワインに感化されていく運命にあります。


そんな中、ワインによって人生を変えられてしまう人々のドラマも神の雫のみどころのひとつ。



例えば原作1巻より登場しているサブキャラクターの美島壮一郎。もともとはワインに実直な愛情を示していたものの、過去の失恋を機に性格をこじらせてしまっている初回登場時はワインを金儲けの道具程度にしか捉えられなくなってしまっている典型的な嫌味キャラでしたが、雫の奮闘によりワイン愛を取戻し、かつての想い人と結ばれ、以後はことあるごとに主人公達を手助けするサポーターへと転身します。


ブルゴーニュの天才・アンリジャイエの代わりとして美嶋のために見つけ出した雫が見つけ出したエマニュエル・ルジェ。中でも99年のルジェのクロ・パラントゥはジャイエが作ったという噂があるという・・・。


神の雫の世界では、時に仕事を成功せたり、時に恋を成就させたり、ある時は病気と向き合い、ある時は死んだ人と対峙させられたりと、ワインによって実にドラマティックなストーリーが展開されていきます。


ワインとの出会いで人生を変えられる登場人物もさることながら、1~2本のワインでここまで話をふくらませてしまう原作者に感服。すごい。

ワインのためなら命をかける天才ワイン評論家・遠峰一青さん

個人的にこの漫画の最も注目したいポイント。本作は基本的に雫と一青の視点が切り替わりながら進行するダブル主人公モノ。雫が王道路線でストーリーを展開させるのに対し、もう一人の主人公である一青のワイン探しは常軌を逸しています。一青のイカレ具合はもはや作中の登場人物たちにすら認められている模様で、身近な人々にまでドン引きされるシーンも・・・。


そんな一青さんのワインにかける情熱を、ここではざっと振り返ってみましょう。

ワインを求めて世界的ワイン評論家に養子縁組する

神の雫(1) (モーニングコミックス)

神の雫(1) (モーニングコミックス)

かなり初期の方でさらっと明かされてしまうのと、一青さんの他の言動・行動と比べるとインパクトに欠けるためあまり注目されていませんが、ワインのために養子縁組までしてしまう一青さん。半端ないです。(ちなみに物語が進むにつれ、こうなる運命だったことを裏付ける事実が明かされるわけですが・・・)

ワインを求めて土を食べる

神の雫(2) (モーニングコミックス)

神の雫(2) (モーニングコミックス)

ブルゴーニュテロワール、すなわち土地の個性を完璧に理解するため、ワインを作っている畑の土を片っ端からテイスティングしていく一青さん。土を食べてどこの畑か言い当てていく様はまさに鬼神。恐怖すらも感じます。

ワインを求めてタクラマカン砂漠で遭難

神の雫(8) (モーニングコミックス)

神の雫(8) (モーニングコミックス)

第二の使徒戦においてはワインを求めてはるばるタクラマカン砂漠へ命がけで乗り込む一青さん。途中遭難して死にかけるも、現地ガイドの女の子と出会い窮地を免れます。まさかここで出会った女の子が後々までキーパーソンになるとは思いもよらず・・・。後にも先にも一青さんの旅先アバンチュールでメインの座を射止めたのは彼女だけでしたね。

ワインを求めてマッターホルンで行き倒れる

神の雫(17) (モーニングコミックス)

神の雫(17) (モーニングコミックス)

第五の使徒戦ではライバル・雫と同日別ルートでマッターホルンに挑戦。途中で高山病に倒れるも奇跡的に救出されるという神業を披露。ワインのためとあらば死地へも果敢に挑戦する一青さんのイカレぶりに周りの人達もヒヤヒヤです。

ワインを求めて100万で朝まで遊園地を貸切にする

神の雫(11) (モーニングコミックス)

神の雫(11) (モーニングコミックス)

第三の使徒戦では遊園地に答えがあると踏んだ一青さん。数日間毎日遊園地で過ごすも飽き足らず、結局わいろを渡して100万で朝まで遊園地を貸切に。はたして100万で一介の遊園地を貸し切れるのかは分かりませんが、メリーゴーランドで天啓を受ける一青さんの姿は特筆モノと言えるでしょう。

ワインを求めてインスタラクターの静止を振り切ってスキューバーダイビング

神の雫(33) (モーニングコミックス)

神の雫(33) (モーニングコミックス)

まともな訓練経験もないのにインストラクターの静止を振り切ってダイビングを続ける一青さん。最終的にはインストラクターを手籠めにして危険深度へ決死のダイビング。失神するもなんとか助け出されるという、そろそろデジャヴな神業を披露しています。

ワインを求める過程でなぜか世界中の女性とアバンチュール

若く聡明でイケメンな一青さん。ワインのためにことあるごとに世界中に旅立つ冒険家的な側面をもっていますが、旅先ではジェームスボンドよろしく、まるでボンドガールかのように決まって美しい女性が傍に・・・。その内の多くの女性と関係を持つも、後々まで登場するのはタクラマカンで出会ったローランのみ。中にはなにもなく放置される女性もいたり・・・。いやいや、罪な男ですね。

神の雫の原作者・亜樹直に注目!

神の雫は原作者と漫画執筆を別の人が行っているタイプの漫画。絵の方も非常に描写力に溢れていて、写実的な風景から漫画チックな表現までを多彩にこなし、色気のある女性を描かせたらトップレベルなオキモトシュウさんにも注目したいところですが、今回は原作の亜樹直さんに注目。


亜樹直樹林 伸という漫画原作者、小説家、脚本家などの顔を持つライターの名義のひとつ。樹林伸氏は他にも別名義で安童 夕馬、青樹 佑夜、天樹 征丸など様々な名義を持つ人物で、神の雫の名義である亜樹直は実は実姉との共同名義。


もともとは講談社の社員として編集に携わっていた経歴を持ち、ワインに関してはプライベートでもオタク級の愛を注いでいると言われています。


ワイン好きと神の雫効果がこうじて神の雫ワインサロンなる通販サイトまで立ち上げているので、神の雫の世界感を堪能したいなら挑戦してみても面白いでしょう。


また、樹林伸と聞いてピンと来る人も多いと思いますが実はこの方、金田一少年の事件簿』、『探偵学園Q』(天樹征丸名義)『クニミツの政』(安童夕馬名義)、『GetBackers-奪還屋-』(青樹佑夜名義)、『BLOODY MONDAY』(龍門諒名義)とメディアミックスでも話題になった有名作品たちの原作者でもあります。


正直これだけ錚々たる作品の原作を手掛けている人物はいないのではないかと思えるくらい人気作に関わっており、かつ幅広い引出を持った作品展開に驚かされますね。


神の雫に興味のある方、もしくは上記の作品を読んで気に入った経緯のある方はぜひ氏の作品を横断して楽しんでみても良いのでは?

まとめ

ワイン漫画「神の雫」の魅力についてお伝えして参りました。正直本格的にワインが好きな人にとっては色々と物申したいことも出てくる作品なのかもしれませんが、ワインの教科書という売り方をしているワケではないですし、ワインになんとなく興味があるとい方にはとっつきやすい作品だと思います。


もちろんこれを読んでワインを語るのはナンセンスだと思いますが、ひとつの漫画作品としては非常に良く出来ていると言えるでしょう。知識をそのまま鵜呑みにするようなことをしなければワイン好きにも楽しめる作品だと思いますので、ぜひチャレンジしてみてほしいですね。

神の雫(1) (モーニングコミックス)

神の雫(1) (モーニングコミックス)

神の雫(44) (モーニングコミックス)

神の雫(44) (モーニングコミックス)


十二の使徒との対峙をおえた雫と一青がいよいよ神の雫へ挑む・・・最終章と称した第二章も好評連載中!
第二章のテーマは"マリアージュ"。また難解で個人差の大きいテーマを掲げた作者に拍手。

マリアージュ~神の雫 最終章~(11) (モーニング KC)

マリアージュ~神の雫 最終章~(11) (モーニング KC)




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