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海外からの評価も高いジャパニーズウイスキーが外国産や混ぜ物だった?

2018年3月26日。東洋経済新聞より以下のような記事が公開されました。

toyokeizai.net

当ブログでも度々取り上げているジャパニーズウイスキーブームとそれに伴うさまざまな状況の変化。各種ラインナップの整理オークションでの値段の高騰などについて取り上げていましたが、今回はいよいよジャパニーズウィスキーの繁栄が単に喜ばしいだけではないということについてお伝えする事となりそうです。

「ジャパニーズウイスキー」に関する東洋経済新聞のまとめ

まずは、ざっくりと東洋経済新聞オンラインにて公開された「「ジャパニーズウイスキー」の悲しすぎる現実 輸入モノが「国産」に化ける、緩すぎる規制」という記事の要約。



ジャパニーズウイスキーの現状

  • 国内外から評価が高まっている
  • 需要と供給のバランスが崩れ、原酒不足が頻発している
  • 大手メーカーでは一部商品を終売・休売することでバランスをとっている


こうした状況下で浮かび上がる問題点

  • 一部メーカーで販売量の確保と品質安定化のために海外産輸入ウイスキーを混ぜてジャパニーズウイスキーとしている
  • 日本の酒税法ではウォッカなどのスピリッツを混ぜてもウイスキーを名乗れてしまう

ジャパニーズウイスキーには海外産ウイスキーが使われていた?

本記事のポイントのひとつが、ジャパニーズウイスキーと名乗る以上当然国産100%かと思われていたものが、じつは海外からの輸入品を混ぜ込んでいたという事でしょう。


これについてはウイスキー好きの人達の間では割と有名な話で、あのサントリーも一昔前までは原酒の量が少なく、一部の商品には海外産をメインにブレンドしていたという話です。


しかし、まぁ昨今のウイスキーブームのなかで新規にウイスキー、特にジャパニーズウイスキーに興味を持った人にとっては驚きの事実かもしれません。もちろん山崎や余市のようなシングルモルトとして販売されているウイスキーに関しては100%その蒸留所のものを使用しているはずですが、この辺りの基準の曖昧さが信頼を損なう可能性はゼロではないですね。


>>ウイスキーの分類、シングルモルトやブレンデットの違いについてはコチラ


スコットランドやアメリカのようなウイスキー先進国では、自国のウイスキー文化を守るために厳密な法律を定めていて、自国で生産したものでないと自国産ウイスキーを名乗ることができません。日本にはまだこのような規制が無いのが現状です。

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年間の製造量が一定量必要?

この問題には別の側面もあり、じつは日本の酒税法においてはウイスキーのような種類を製造する許可を免許という形で得る必要があるのですが、この免許を得るのに年間6キロリットルを製造する見込みが必要であると決まっています。(酒税法第7条)


この量はサントリーのような大手にとっては大したことのないものなのでしょうが、近年増えつつある小規模の生産者にとっては足かせになる部分も多く、この規定をクリアするために海外モノを混ぜ込む以外にないという現状の造り手も存在するのではないかと考えられます。


今後を考える上ではこのあたりの問題も争点になるかもしれませんね。

ジャパニーズウイスキーは混ぜ物が許されている?

もうひとつ、ジャパニーズウイスキーの問題点として挙げられているのが、ジャパニーズウイスキーではウイスキー以外のアルコールの添加が許されているという点でしょう。


なんと、日本の酒税法の定義でいけば、全体の9割までがブレンド用アルコールやウオッカなどのスピリッツで満たしていいことになっています。9割って・・・もはやどっちがメインか分かりません。


もちろん、9割も混ぜてしまっては味自体がウイスキーではなくなってしまうため本末転倒なのでしょうが、現状の酒税法を利用すればいくらでも品質低下やコスト削減して量産が可能なことになります。


従来は一部マニアのみが目を付けていたジャパニーズウイキーも今やミーハーな人や海外からの観光客が注目するようになり、品質が悪くても「ジャパニーズウイスキー」というだけで購入していく人は少なくないはず。


また、品質を保てていても海外産のウイスキーが混ざっている現状をどう考えるのか。素直に国産ウイスキーだと胸を張っていいのか。という問題が生じてきそうです。

今後のジャパニーズウイスキーの課題

今回の件はジャパニーズウイスキーに明確な定義が存在しないことが一因として挙げられるでしょう。ウイスキーに限らず、世界的に見ればワインやブランデー、テキーラなど、国レベルの取り決めによって厳密に製法などが管理されているお酒はたくさんあります。そして、その規制が一種のブランド力を醸成してきたこともまた事実。


しかし、日本においてはウイスキーの歴史は浅く、市場規模としてもシェアが拡大してきたのはつい最近。しかも急激に成長した分野です。今まではないがしろにされていたジャパニーズウイスキーの定義をこの機に本格的に考えても良いのではないか、ということで最近では業界にも動きがあるとかないとかいう話も出てきているそうです。



今後、ジャパニーズウイスキーがどのように定義されていくかはまだ分かりませんが、ひとりのファンとしてジャパニーズウイスキーの今後の動向に注目しつつも、微力ながら発信できる場を持つ者として少しずつでも誤解のない国産ウイスキーの実態をまとめていければと思います。そのためにはまず自身の知識の整理も必要になりそうですが・・・。


ジャパニーズウイスキーの今後に注目

世界に誇れるジャパニーズウイスキーといえども、中には海外産のウイスキーを混ぜたり、ブレンド用アルコールを用いたものがあり、それらもまたジャパニーズウイスキーと名乗ることが出来る現状には確かに疑問が残ります。


今後この辺りをしっかりと整理し、徹底したブランディングを行っていかないとジャパニーズウイスキー自体が愛想を尽かされてしまうかもしれませんし、消費者としても不安が残ってしまいます。


早い段階でしっかりと「ジャパニーズウイスキー」と「そうでないもの」を区別する取り決めがなされるのが一番なのでしょうね。それと同時に消費者である我々も安易に"国産"というバリューに飛びつかず、冷静に商品を分析することも必要になるでしょう。


いずれにせよジャパニーズウイスキーの今後の動向にますます注目すべき理由が見つかったようですね。


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